【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華

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16】外回りの昼食

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16】外回りの昼食

 「お! 水野君、今日は顔色が良いね」

「おはようございます、田中さん」

昨日の弁当で力がついたのか、朝の満員電車には耐え。今日は元気にペシャ顔でない顔で出社すれば、田中さんが声をかけてくれた。

「その様子だと、昨日はお店に行けたのかな?」

「ええ、まぁ。おかげさまで。その節は有難うございました」

「うんうん、私も可愛い弟分が元気で何よりだよ」

「そうですね。なんか俺も色々考え過ぎてたなって」

「本当だよ。で? 昨日は何を食べたの?」

「コロッケです」

「コロッケとか、久しく食べてないわ。聞いたら食べたくなっちゃった。今日はお酒のお供にコロッケ買って帰ろっと。じゃあね、水野君。また何かあれば、この田中お姉ちゃんに言うのよ」

「はい、お姉ちゃん!」

「宜しい」

それだけ言うと、田中さんは自分の席へと戻って行った。何気に俺のことを気遣ってくれる、優しい先輩だ。よし、俺も今日も働くぞと気持ちを切り替え。社会人らしく準備をし、パソコンを開いた。

****
***

今日はお昼から外回りが入っている。
いつもの販売ルートの挨拶と、近況の確認。特に大変なことは無く、外回りの方が少し時間に余裕があって、好きだったりする。外だと自分の時間がとれて良い。

「じゃあ、外回り行ってきます」

「「「行ってらっしゃい」」」

この時代に、なんてホワイトな会社なんだ。スーツの上着を羽織り、会社を出る。
お得様を、一つ一つを回り。追加の注文を貰ったりしながら終わる頃には、ちょうど昼のピークが過ぎたくらいだった。目的の仕事も片付き、空腹だ。うーん、実に健康体。食欲があるって幸せだな。

「昼ご飯、どうしようかなぁ……」

いつもならコンビニで昼を買うか、適当に定食屋が入る。だが海野食堂の弁当を食べ始めると、何だか他へ行くのも……と迷ってしまった。

「だってなぁ……何だか最近、俺の一番の店。海野食堂だし」

お気に入りの店が出来るなんて、俺も立派な社会人に鳴り始めたものだと思いながら、駐車場に止めた車の中で、また「うーん」と昼ご飯一つに真剣に悩み出し。結局、近くの定食屋に入って軽くうどんを食べたのだった。

(弁当じゃ食べられないからな。うんうん。温かい汁ものとかも、食べたいし。これは浮気とかなんかじゃないから……!)

「ああ、そうだ。今度お昼にお店に行ってもいいな」

微妙に後ろめたさを感じたのは、気のせいということにする。

******
コメント嬉しいです(^^)有難うございます
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