【NL】ハイスペ幼馴染がいきなり一線を越えて欲しいと言ってきたんだけど?

彩華

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1】幼馴染からの提案

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1】幼馴染からの提案

 私の名前は、天音。あっという間に過ぎた学生時代を過ぎ、今では成人して大人の女性だ。だが、悲しいかな。年齢=彼氏がいない歴を、毎年更新している。

(まぁ、別に? 彼氏が欲しいわけじゃないし??)

半分本当。半分強がり。特別恋がしたいわけじゃないけれど、一度くらいは恋を経験したいという気持ちもある。
だが今までの経験上、恋愛って大変そうだという記憶の方が大きくて、自分からは動こうとしたことがない。

(だってさ、恋って人を狂わせるじゃん?)

フフンと、恋愛経験0の私が言うのも説得力に欠けるだろう。だが、私は多くの恋を見て来た。それもこれも、この会社の次期社長にして、私の幼馴染────伊集院 武のせい。

武は家が近所の幼馴染。悪い意味ではなく、まさか武のご両親が、こんな大きな会社を経営していただなんて。
物心がついた頃には、「武君は、将来社長になるらしい」の噂に始まり。これまた、私が言うのも何だが武自身ハイスペ男子だったのだ。高身長で、顔が良い。おまけに性格も良い。そんな男子を女子が放っておくはずも無かった。ファンクラブに始まり、学生時代も告白を受けるばかりの武は、対応が大変そうだった。同時に、誰が武の恋人になるかと、女子の間の内なる争いも見てきた私にとって、恋愛は非常に大変なものだと悟った。

(まぁ、そこで)

『天音ちゃんは、武君と仲が良くて良いよね』

と、色々な感情が私にも向いて、私の方だって色々と大変だったのだ。フラれて泣く子もいれば、好きなタイプを教えて欲しいと聞いてくる子。純粋に嫉妬してくる子。はぁ~~思い出すだけでも大変だった。だから、現実の恋愛にうんざりしてしまった部分もある。

(それは、武も同じなのかな)

そういうわけで、武はモテたが一度として誰かと付き合うことは無かった。それは大学でも。変わらずモテ続け、一見するとエリート街道のようにお父さんの経営する会社に入社した武。私は武と親しい関係だとバレると面倒なので、関係を隠しているが武がそうしてくれない。


「全く……」

今日だってそうだ。携帯にメッセージが入ったのが朝のこと。一体何だと思っていれば、最初のメッセージが「天音に頼みたいことがある」と書かれていた。武にしては、こういう文章を送ってくるのは珍しい。というか、初めてかも。最初不信に思い「詐欺?」と返事をすれば「ごめん、俺。武」と返事が来た。そうこう休憩時間にやり取りをして、武に会うことになった。それは会社から離れた、レストランなんかも有名なホテル。


「武、どうしたの? 相談って」

「あー……」

「武? 一体どんなこと?」

「頼む……! 天音にしか、頼めないことなんだ……!」

うんうん、で? 私にしか頼めないことって? そう思っていると、随分と困った様子で武が言った。

「俺と、一線を越えて欲しい……!」

「は?」

(ちょっと何言ってるか、分からないんだけど?)

結構自分でも驚きながら、軽く引いた声が出た。何、一線を越えるって。

「いや、一線を越えるも何も……私たち、ただの幼馴染なだけだし。特別な関係じゃないでしょ」

スパッ、と武の発言を一刀両断。だってそう。私たちは、何もない。ただお互いに独身なだけ。

「あ゛ッ! ごめん。言い方が悪かった」

「悪かったどころじゃないわよ。私じゃなかったら武、大変なことになってるよ」

「天音で良かった~~」

へにゃりと半泣きになる表情は、昔と変わらない。普段は顔の良いイケメンが、こうして油断した表情になるのだから質が悪い。きっと私じゃなかったら、好きになってる。

「良くないっての。で? ちゃんと説明して」

「そのっ……俺、今まで恋愛経験が無くて。ちょっと不味いなってことになって……」

「うんうん」

「だから、練習した方が良いって思ったんだけど、頼めるのが天音しかいなくて」

「うん?」

「天音。俺と恋人がすることをして欲しいんだ」

「うん??」

(いや、だから何言ってるか分からないんですけど??)

「いや、だから何言ってるか分からないんだけど」

おっと。心の声と同じ言葉が口から出てしまった。そうすれば、顔を赤くした武が、私の手を握った。

「例えば、こういう風に手を握ったり。デートしたり。恋人がする練習をして欲しいってことなんだけど……」

握った手を、そのまま口元へと持っていく。私の手の甲に、触れるだけのキスを一つ。ちゅっ、とか柔らかな感触を感じながら目を見開いてしまった。

(いやっ……もう、こんなに出来てるんだから練習とか必要なくない!!?)

無自覚ハイスペのスパダリって怖い。

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