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2】会議室に残されて
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2】会議室に残されて
「あの、社長が俺に何の用でしょうか? しかも、あの。吹雪君も一緒で」
「うん。高橋君を吹雪君の専属マネージャー任命しようと思って」
「は……はい……??」
ニコリと微笑む社長と吹雪、それからぽかんと口を開いた俺だけが会議室にいた。いつもの日常に、ちょっとした変化が起きた朝だった。とんとん拍子に物事が進みそうで、一旦冷静になる。だが、口調は勢いがあった。
「……って、待って下さい! 確かに。確かに俺自身も、受け持つ人数の相談とか、専属とかしたいなとは思っていましたけど……!」
「何だ、思っていたんだ。なら丁度良いじゃないか。吹雪君だけの専属になれば」
「丁度良いって、社長。俺は彼と初対面ですよ。しかもです! 今話題の新人で、とても大事な時期じゃないですか!!」
「うんうん、やっぱり高橋君は分かってるね」
俺の言葉に、うんうんと嬉しそうな社長。対して、分かっているね、じゃないですよ。と頭を抱える。社長相手だが、昔からの付き合いもあり、お互い人の目がなければ親しく話せる間柄なのは嬉しい。だが、それどころではない。
「大事な時期の吹雪君は、俺ではなくもっと経験豊富な人がいいですよ……!」
そこは譲れない。きっと俺よりも、経験豊かな人が導いた方が良い。そう思ったのに。
「でも、その吹雪君が、高橋君じゃないと嫌だっていうんだもの。ねぇ?」
コクリ、と黙ったまま首を縦に振る吹雪。
「え……?」
何で? 俺、君のこと広告でしか知らないけど。とは言えず。チラリと吹雪君の方を見れば、今度はペコリと小さく会釈された。
「高橋君じゃなきゃ、別の所に行くか辞めるっていうんだもの。それは困るだろう?」
「それは……困りますね」
困るどころではない。事務所にとって、大ダメージだ。
「だから、高橋君。宜しくね」
「え!? ちょっ! しゃ、社長……!」
「君が受け持っていた子は、もう別の人に任せているし、人員も増やしたから安心してね。じゃあ、あとは若い二人で親睦を深めて。二人とも、今日は休み扱いでいいからね」
「社長~~!」
お見合いじゃないんですよ! とか、俺聞いてないですよ!? と、出て行く背中に言いたかった。だが言えるはずもない。ただ会議室に残された俺たち。
(いや、誰かの専属にとは思ってたけど)
(こんなに突然になるとは思わないだろう!?)
立ったままだった吹雪君が席に着き、俺の方を見た。
「えっと、吹雪君?」
とりあえず君呼びで、様子を伺う。
「吹雪でいいです。君じゃなくて、吹雪って呼んで下さい」
初めて声を聞いた。いや、声だけじゃない。初めて会ったが、妙にドキドキする。アレな言い方だが、加工無しでコレか? このレベルなのか? と思わず目を瞑りたくなる。
(か……顔が良い゛……!)
そんな内なる俺を抑えつつ、マネージャーとして冷静に答えた。
「分かった。じゃあ、吹雪。俺は高橋夏希っていうんだ。好きに呼んでくれ」
「じゃあ、夏希さんで」
「ああ、うん。分かった」
(高橋の方じゃないのか)
まさか下の名前を選ばれるとは思わず、意外だと思った。
********
おきにいりありがとうございます
「あの、社長が俺に何の用でしょうか? しかも、あの。吹雪君も一緒で」
「うん。高橋君を吹雪君の専属マネージャー任命しようと思って」
「は……はい……??」
ニコリと微笑む社長と吹雪、それからぽかんと口を開いた俺だけが会議室にいた。いつもの日常に、ちょっとした変化が起きた朝だった。とんとん拍子に物事が進みそうで、一旦冷静になる。だが、口調は勢いがあった。
「……って、待って下さい! 確かに。確かに俺自身も、受け持つ人数の相談とか、専属とかしたいなとは思っていましたけど……!」
「何だ、思っていたんだ。なら丁度良いじゃないか。吹雪君だけの専属になれば」
「丁度良いって、社長。俺は彼と初対面ですよ。しかもです! 今話題の新人で、とても大事な時期じゃないですか!!」
「うんうん、やっぱり高橋君は分かってるね」
俺の言葉に、うんうんと嬉しそうな社長。対して、分かっているね、じゃないですよ。と頭を抱える。社長相手だが、昔からの付き合いもあり、お互い人の目がなければ親しく話せる間柄なのは嬉しい。だが、それどころではない。
「大事な時期の吹雪君は、俺ではなくもっと経験豊富な人がいいですよ……!」
そこは譲れない。きっと俺よりも、経験豊かな人が導いた方が良い。そう思ったのに。
「でも、その吹雪君が、高橋君じゃないと嫌だっていうんだもの。ねぇ?」
コクリ、と黙ったまま首を縦に振る吹雪。
「え……?」
何で? 俺、君のこと広告でしか知らないけど。とは言えず。チラリと吹雪君の方を見れば、今度はペコリと小さく会釈された。
「高橋君じゃなきゃ、別の所に行くか辞めるっていうんだもの。それは困るだろう?」
「それは……困りますね」
困るどころではない。事務所にとって、大ダメージだ。
「だから、高橋君。宜しくね」
「え!? ちょっ! しゃ、社長……!」
「君が受け持っていた子は、もう別の人に任せているし、人員も増やしたから安心してね。じゃあ、あとは若い二人で親睦を深めて。二人とも、今日は休み扱いでいいからね」
「社長~~!」
お見合いじゃないんですよ! とか、俺聞いてないですよ!? と、出て行く背中に言いたかった。だが言えるはずもない。ただ会議室に残された俺たち。
(いや、誰かの専属にとは思ってたけど)
(こんなに突然になるとは思わないだろう!?)
立ったままだった吹雪君が席に着き、俺の方を見た。
「えっと、吹雪君?」
とりあえず君呼びで、様子を伺う。
「吹雪でいいです。君じゃなくて、吹雪って呼んで下さい」
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そんな内なる俺を抑えつつ、マネージャーとして冷静に答えた。
「分かった。じゃあ、吹雪。俺は高橋夏希っていうんだ。好きに呼んでくれ」
「じゃあ、夏希さんで」
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