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第六章 黒竜、王都へ行く
第二十話 誕生日の贈り物
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仕事を終えたウラノス騎兵団長が自室に入ると、その日、仕事を早く終えて一足先に部屋へ戻っていたエイベル副騎兵団長が、近寄って来た。
「お帰りなさい、ウラノス」
二人は指輪を交換し、すでに婚姻を結んでいた。
だから、今やエイベルは、寮内のウラノスの部屋で当然のように一緒に暮らしていた。
エイベルは今、竜騎兵団の制服も脱いで私服を着ていた。テーブルの上にはその日、特別に用意した食事が並べられていた。
エイベルはウラノスを見て、眩しいような笑顔でこう言った。
「お誕生日、おめでとうございます」
自分の誕生日をすっかり忘れていたウラノスは、目を少し見開いていた。
そして考え込む様子を見せた後、笑顔のエイベルと、テーブル上の豪華な食事を見て合点したように頷く。
「ああ、そうか。私の誕生日か」
彼は、今日という日が自分の誕生日であることなど頭の片隅にも無かったようだ。
おそらくそうだろうと思っていたエイベルは苦笑した。
「本当は、毎年、貴方の誕生日が来るたびに、一緒に祝いたかったんです」
少しばかり恨み言を言ってしまう。
黒竜シェーラの不能の呪いを受けていたウラノス騎兵団長は、恋愛などまったく眼中にない仕事人間であった。長年想いを寄せていたエイベル副騎兵団長のことも、完全スルー状態であった。
それでもしつこくエイベルはウラノスのことを想い続けていた。
そしてようやくやっと、その想いも遂げることが出来た。エイベルの喜びもひとしおである。
「そうか」
「さぁ、食べましょう」
ワインが開けられる。テーブルにはウラノスの好物ばかりが並べられ、二人は向かい合って座り、楽しく食事をとった。
ワインで上気したエイベルの顔。エイベルの楽しそうな様子を見ることは、ウラノスも嬉しかった。どこか妖精めいた繊細な美貌の青年であった。絹糸のような銀の髪に、薄い紫色の瞳は吸い込まれるように美しい。いつまで見ていても、飽きることがない。
この美貌の副騎兵団長が、長い間自分に想いを寄せ、時に拗らせていたことを、今はウラノスもよく理解していた。そうまでして自分のことを想い続けてくれたことに、ウラノスは感謝にも似た想いを抱いていた。
食事を終え、しばらく歓談した後、エイベルはウラノスを寝室へ誘った。
寝台の上にウラノスを押し倒し、彼の上に跨るように座ると、エイベルはプチプチとウラノスのシャツの胸ボタンを外していく。非常に楽しそうな顔をしている。
ウラノスはエイベルの好きなようにさせていた。
歌でも歌い出しそうなほど上機嫌な様子のエイベルは、ウラノスにこう言った。
「貴方のお誕生日に、何を贈るべきか私はずっと考えていました」
竜騎兵団長の団長という役職に就くウラノスは、すでに多くのものを持っていた。今更改めて何かを贈ろうとしても、彼は必要としていないだろう。
「随分と悩みましたが」
チエリ宝飾店で、エイベルの前に並べられた宝石を見ても、どうもピンとこなかった。
だから。
エイベルは銀の髪を留める紐を解く。
そしてキラキラと輝くその髪の下で、今度はその白い指が自分の胸元のボタンを外していく。
騎兵らしくよく鍛えられたその上半身の胸元に、細身の銀の鎖で、青灰色の宝石が輝いていた。
その色合いの石は、ウラノスの瞳の色と全く同じ色合いのものであった。
チエリ宝飾店で、エイベルが自分に群がる店員達に頼んだものは、ウラノスの瞳と同じ色合いの石を探させることだった。
「貴方の色のものを付けた、私を贈ろうと思いました」
その言葉に、ウラノスは声を上げて笑った。
クククッと笑い続ける男のその胸元に、手を這わせる。そして首元を軽く噛みつくような仕草を見せると、エイベルのその白い肌の上をシャラリと銀の鎖が揺れて、綺麗にカッティングされた青灰色の宝石が揺れた。艶めかしく美しい様子だった。
自分を贈るというのも、自身の美しさを知り尽くした彼だからこそ、言える台詞だった。
だが、悪くはなかった。
銀の髪の誰よりも美しいエイベルが、ウラノスの色を身に付けて甘く囁く様子は悪くなかった。
だから、口づけを求めてきたエイベルの頬に手を添え、ウラノスも口づけ、そして二人で寝台を軋ませながら、優しく愛し合ったのだった。
「お帰りなさい、ウラノス」
二人は指輪を交換し、すでに婚姻を結んでいた。
だから、今やエイベルは、寮内のウラノスの部屋で当然のように一緒に暮らしていた。
エイベルは今、竜騎兵団の制服も脱いで私服を着ていた。テーブルの上にはその日、特別に用意した食事が並べられていた。
エイベルはウラノスを見て、眩しいような笑顔でこう言った。
「お誕生日、おめでとうございます」
自分の誕生日をすっかり忘れていたウラノスは、目を少し見開いていた。
そして考え込む様子を見せた後、笑顔のエイベルと、テーブル上の豪華な食事を見て合点したように頷く。
「ああ、そうか。私の誕生日か」
彼は、今日という日が自分の誕生日であることなど頭の片隅にも無かったようだ。
おそらくそうだろうと思っていたエイベルは苦笑した。
「本当は、毎年、貴方の誕生日が来るたびに、一緒に祝いたかったんです」
少しばかり恨み言を言ってしまう。
黒竜シェーラの不能の呪いを受けていたウラノス騎兵団長は、恋愛などまったく眼中にない仕事人間であった。長年想いを寄せていたエイベル副騎兵団長のことも、完全スルー状態であった。
それでもしつこくエイベルはウラノスのことを想い続けていた。
そしてようやくやっと、その想いも遂げることが出来た。エイベルの喜びもひとしおである。
「そうか」
「さぁ、食べましょう」
ワインが開けられる。テーブルにはウラノスの好物ばかりが並べられ、二人は向かい合って座り、楽しく食事をとった。
ワインで上気したエイベルの顔。エイベルの楽しそうな様子を見ることは、ウラノスも嬉しかった。どこか妖精めいた繊細な美貌の青年であった。絹糸のような銀の髪に、薄い紫色の瞳は吸い込まれるように美しい。いつまで見ていても、飽きることがない。
この美貌の副騎兵団長が、長い間自分に想いを寄せ、時に拗らせていたことを、今はウラノスもよく理解していた。そうまでして自分のことを想い続けてくれたことに、ウラノスは感謝にも似た想いを抱いていた。
食事を終え、しばらく歓談した後、エイベルはウラノスを寝室へ誘った。
寝台の上にウラノスを押し倒し、彼の上に跨るように座ると、エイベルはプチプチとウラノスのシャツの胸ボタンを外していく。非常に楽しそうな顔をしている。
ウラノスはエイベルの好きなようにさせていた。
歌でも歌い出しそうなほど上機嫌な様子のエイベルは、ウラノスにこう言った。
「貴方のお誕生日に、何を贈るべきか私はずっと考えていました」
竜騎兵団長の団長という役職に就くウラノスは、すでに多くのものを持っていた。今更改めて何かを贈ろうとしても、彼は必要としていないだろう。
「随分と悩みましたが」
チエリ宝飾店で、エイベルの前に並べられた宝石を見ても、どうもピンとこなかった。
だから。
エイベルは銀の髪を留める紐を解く。
そしてキラキラと輝くその髪の下で、今度はその白い指が自分の胸元のボタンを外していく。
騎兵らしくよく鍛えられたその上半身の胸元に、細身の銀の鎖で、青灰色の宝石が輝いていた。
その色合いの石は、ウラノスの瞳の色と全く同じ色合いのものであった。
チエリ宝飾店で、エイベルが自分に群がる店員達に頼んだものは、ウラノスの瞳と同じ色合いの石を探させることだった。
「貴方の色のものを付けた、私を贈ろうと思いました」
その言葉に、ウラノスは声を上げて笑った。
クククッと笑い続ける男のその胸元に、手を這わせる。そして首元を軽く噛みつくような仕草を見せると、エイベルのその白い肌の上をシャラリと銀の鎖が揺れて、綺麗にカッティングされた青灰色の宝石が揺れた。艶めかしく美しい様子だった。
自分を贈るというのも、自身の美しさを知り尽くした彼だからこそ、言える台詞だった。
だが、悪くはなかった。
銀の髪の誰よりも美しいエイベルが、ウラノスの色を身に付けて甘く囁く様子は悪くなかった。
だから、口づけを求めてきたエイベルの頬に手を添え、ウラノスも口づけ、そして二人で寝台を軋ませながら、優しく愛し合ったのだった。
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