転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

文字の大きさ
121 / 711
第七章 ある護衛騎士の災難

第五話 雪の降り積もる巣に屋根を作る

しおりを挟む
 北方地方が雪の季節を迎えた。
 ルーシェと王子が、山間の崖にある自分達の巣に足を運んだ時、二人は驚いた。
 巣の奥にある湖が凍りつき、そしてぶ厚い氷の上に雪が積もり始めていたからだ。

「…………王子、これはまずいんじゃないかな」

 ぽつりと言うルーシェ。
 王子の傍らに立つ彼は、今は王子だけがそばにいることもあって、人の姿をとっている。白いローブをまとっただけのその姿は、一見凍えそうにも見えるが、竜の化身である彼は寒さをまったく感じていなかった。
 足も素足である。ズボッと素足のまま雪を踏みしめている。
 それで凍りついた小さな湖の上に立っていた。
 小さな湖は、その上に五十センチほど雪が積もっていた。
 見上げれば、頭上に空いた穴から灰色の雲が重く垂れこめている様子が見え、しんしんと音もなく雪が降り続けている。それどころか、しばらく見ていると、上から雪が雪崩落ちて、湖の奥の方から雪で埋もれつつあった。

「このまま雪が降り続けて、上から雪がどんどん雪崩落ちてきたら、部屋の方まで雪が押し寄せてくるんじゃないかな……」

「そうなるな」

 王子は冷静に答えている。

「……」

 ルーシェは頭上の穴が空いている部分を見上げた。

「何か手当しないと、折角の俺達の巣が雪で埋もれちゃうじゃないか!!!!」

 手塩に掛けた二人の巣が真っ白い雪にみっちりと埋まって、最後には雪に押しつぶされて壊れる様子が思い浮かぶ。大変なことだと叫ぶルーシェに、王子は淡々と告げた。

「ルーが、土魔法で屋根を作ればいい」

 王子の言葉に、ルーシェはぽんと手を叩く。

「そうか。それもそうだな。屋根を付ければいいのかな」

「上にヤマ型になるような屋根がいいだろう」
 
 そうすれば、この湖部分に雪が落ちて溜まることはなくなる。

「分かった」

 ルーシェはすぐさま丸く円形に空いていた天井部分を塞ぐように土魔法を使い始めた。ルーシェが黒い瞳でずっと天井を睨むように見つめていると、天井の穴部分が徐々に土で覆われていく。
 それから彼は「ふん!!」と声を上げると、どうやらその声に合わせて天井部分がとんがり屋根になったようで、ズザザザザーと外で雪が雪崩落ちる大きな音が響き渡った。

 しかし、頭上の天井部分に手当ができた半面、天井部分の穴を埋めたことによって、外からの明りが一切入らなくなり、湖のある場所は暗闇に包まれてしまった。

「ルー、何も見えないのだが」

 室内が真っ暗闇になってしまったアルバート王子の困惑した声に、ルーシェはすぐさま王子に身をくっつけて、それからこう言った。

「俺は竜だから、目が見える。王子を出口まで案内するよ」

 闇の中、ルーシェの黒い目がキラキラと輝いている。
 竜であるルーシェは、暗闇の中も目が見えるのかと、今更ながら、その竜の能力を知らされた。ルーシェは王子の手を取り、ゆっくりと歩きながら説明した。

「そこに小さな段差があるから、気を付けて。まっすぐ進んで来られる?」

 ルーシェは、暗闇の中で手を引くだけということでも、自分が王子に頼られていることが嬉しいようで、その声も弾んでいた。普段は王子のことを、自分の主として尊敬しているルーシェは、王子の言うことには絶対のように従っていた。
 そう言えば、ルーシェが自分の言葉に逆らったのは、今まで一度しかないとアルバート王子は思い出していた。
 リヨンネを救うため、野生竜のテリトリーに入り込んだあの一件である。戻って来るように命じても、彼は飛んでいってしまった。最後には自分の手の中に戻って来たが、ルーシェを失うかも知れないと思った、まさにあれは悪夢のような出来事だった。

 ルーシェの手に引かれ、アルバート王子が湖の部屋から、いつも寛いでいる広い円形の部屋の入口部分に辿り着こうとした時、ふいに王子の唇に柔らかなものが触れた。
 暗闇の中、どうやらルーシェが背伸びをして、王子の唇に口づけたのだ。
 それから「ふふふふふ」と楽しそうな笑い声がする。

「ルー」

 アルバート王子がその名を呼ぶと、また唇に彼の唇が触れ、今度は上唇を挟むようにまれた。
 なおもルーシェの悪戯っぽく笑う声がする。

「ルー」

 もう一度呼ぶと、またルーシェが唇に口づけたその瞬間、アルバート王子は左手でルーシェの腰を捕らえるように抱き止め、もう片手でルーシェの後頭部を抑え込むようにして逃がさなかった。
 それにはルーシェの黒い目が見開かれて、「うむむむむむ」と戸惑うような声が上げられるが、それに構わず、ルーシェの柔らかな口の中に強引に舌をねじ込んだ。

「ふ、あ」

 鼻から息が抜け、甘く声を上げる。
 悪戯なルーシェを懲らしめるように、王子は長々とどこか乱暴にルーシェと口づけを交わす。舌が口内をまさぐり、歯列を舐め、柔らかなルーシェの小さな舌にも絡みつく。逃さないような強引な口づけだった。ようやく唇を離した時には、ルーシェは息も上がり、暗闇の中で真っ赤な顔をして少し震えていた。唇をごしごしと擦っている。

「王子、ひどい」

「お前が悪戯するからだ」

「ひどいんだ、王子」

「ルー」

 王子はルーシェの手を掴むと、再度抱きしめて、その唇に唇を重ねた。
 今度はひどく優しいものだった。触れ合うようなその口付けが、やがてゆっくりと濃厚なものに変わっていく。互いの舌を絡めるそれに、ルーシェは目を細め、今度は大人しく受け入れた。

 やがてすっかり発情してしまった二人は、広い円形の部屋の中に入ると、寝台の上でお互いの服を脱がし始め、いつものように互いを求め始めたのだった。



 屋根が出来たことで、奥の湖の部屋に雪が落ちることはなくなったが、天井部分を塞いだことによって光が入らず真っ暗闇になってしまっている。ルーシェが、明りの魔道具をまた追加購入するため、リヨンネ先生に頼まなければならないと独り言ちると、王子はルーシェの白い体を抱きしめながらこうも言っていた。

「土魔法で、ぶ厚い水晶のような陽の光を通す板は作れないのか。それで屋根を作ればいい」

「俺の王子は本当に頭がいい!!!!」

 ルーシェは嬉しそうにそう叫んだ後、二人は見つめ合い、また口づけを交わしたのだった。
しおりを挟む
感想 276

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います

緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。 知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。 花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。 十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。 寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。 見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。 宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。 やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。 次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。 アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。 ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。 魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・ なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️ エブリスタにも、掲載しています。

処理中です...