転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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第八章 黄金竜の卵

第九話 驚愕する黒竜と青竜

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 翌日、リヨンネは青竜エルハルトに、自分とユーリスを観察地の拠点建物まで運んでくれるように頼んだ。

 青い竜の背に、ユーリスがおっかなびっくり跨り、その後ろにリヨンネが座る。そしてそのリヨンネの後ろにキースが座った。青竜エルハルトは三人の人間を運ぶことが可能だった。
 そしてそのユーリスの胸元の袋から、「キュイキュイキュルキュル」と小さく甘える竜の声が聞こえることに、エルハルトは「おや」というような視線を人間達に向けた。それでエルハルトは竜の卵から雛が孵ったことを知ったのだ。
 リヨンネは青竜エルハルトの背をさすり、「詳しくは観察地に着いたら話すよ」と言って、飛んで向かうように促したのだった。



 そして観察地拠点の離着陸場へ、青竜エルハルトは到着した。
 キースはすぐさま建物の入口の方へ向かい、リヨンネが、ユーリスが青竜の背から下りるのを手伝ってやる。人間達が降りると同時に、エルハルトが、青い髪の大男の人間の姿に変わったことにユーリスは驚いていた。

「こんな簡単に、人に姿が変えられるのか」

 そして素っ裸のエルハルトを見て、ユーリスは頬を赤らめて顔を背け、何故かユーリスの前に掛けられている布袋から苦情を言うような「キュルキュルキューキュー」と少し怒った雛の声が聞こえていた。

「ん、竜の子が何故、俺が裸でいることに怒っているんだ」

「目のやり場に困るからだろう……」

「関係ないだろう」

「いや、素っ裸でいられるのは、周りは困る」

 リヨンネが「これを機会にシェーラから服を着たまま人化する方法を習ったらどうかな」と言っているが、その件についてはいつもエルハルトは「別にいいだろう」と全裸支持でいるのだ。

 慌ててキースが事前に用意していた服を持ってエルハルトに近づき、それでようやくエルハルトは服を着ていた。その間、ずっとユーリスの下げられた布袋の中で、小さな竜の雛が怒って「キュルキュルキューキューキュー!!(ユーリスの前でそんな格好でいるな!!)」鳴いていたのだった。

「なんだ、神経質な竜の雛だな」

 エルハルトはそんなことを言って、建物の中へと足を運んで行く。
 そして部屋の中には、当然のように黒竜シェーラが人化して椅子に座っており、テーブルの上に置いたお気に入りの恋愛本に手をやり、リヨンネに向かって金色の目を輝かせて言った。

「新刊を持って来てくれたの!!」

 リヨンネの来訪を期待するのはそれかと、なんとなしにエルハルトはリヨンネを憐れむような視線で見つめる。リヨンネは額に手を当て頭を振った。

「…………いいえ、違います」

「…………なんだ、そうなの。もう、早く新刊を持って来て頂戴」

「ハイ、また王都で仕入れてきます」

 リヨンネと黒髪の女の会話を、ユーリスは少しばかり唖然として眺めていた。
 そしてその時になってようやく黒竜シェーラは、ユーリスの存在に気が付いたのだ。
 そして口元に手を当て「まぁまぁまぁまぁ」と頬を赤らめている。
 黒髪に切れ長の瞳のユーリス青年もまた、シェーラ好みの美貌の持ち主だった。

「初めまして、私はシェーラです。貴方は……リヨンネの」

 リヨンネが答えた。

「私の甥です」

「甥!!」

 シェーラはリヨンネとユーリスを比べるように見つめる。リヨンネは説明を続けた。

「シェーラが、先日お世話になった王都のバンクール商会の商会長の息子です。私の兄の子ですね」

「そうなの。あらあらあらあら」

 新刊は持って来てもらえなかったが、美貌の人間を連れてきてくれたことは、十分リヨンネを褒めてもいいことだった。

「ふん、まぁリヨンネ。いい働きをしたと褒めてあげてもよくてよ」

 長い黒髪をファサリと掻き上げ、どこか上から目線でリヨンネに向かってそういう女性を、ユーリスはいったい叔父にとってこの女性は何なのだろうと頭を悩ませる。
 そしてその間、ずっとユーリスの胸元の布袋から不機嫌そうに「キュュルルルルルルルルルルルルルルルルル」と唸るような雛の声が聞こえるのだった。

 それにシェーラは気が付いた。

「何、あなたの胸元からずっと怒っている声がするのだけど……」

 同じ竜である。その声音で感情も伝わる。

「だめだろう、初めて会う人にそんな声を出したら」

 そうユーリスが怒ると、今度は打って変わって甘えるように「キュルキュルキュッキュッ」と声がする。それに、シェーラとエルハルトは顔を見合わせた。

「リヨンネが、この間まで温めていたのに、無くしたという卵が見つかって、孵したということか?」

 そのエルハルトの問いかけに、リヨンネも頷いた。

「はい。私がこの間まで、温めて、話し掛けて歌も歌って大事に大事にしていた卵が、一度無くなったのですが、その後発見できて、無事に孵りました」

 台詞にすると奇妙なことである。
 無くなっていた卵が無事に見つかり、孵化したことはめでたいのだが。

 いつものようにテーブルに皆が座り、キースがお茶を淹れたところで、リヨンネがおもむろに口を開いた。

「それで、孵った雛のことで、シェーラやエルハルトに聞きたいことがあります」

「そう。私は一度も卵を生んだことがないから、雛の育て方とか聞かれても困るわ」

「…………千年以上生きているのに、つがったことがないのか」

 少しだけエルハルトが驚いたようにシェーラを見ると、シェーラは顔を真っ赤に染めていた。

「わ、私にふさわしい竜がいなかっただけよ!!!!」

「まぁ、そういうことにしておいてやろう」

 なんとなしにシェーラが悔しそうにエルハルトを睨みつけ、それからリヨンネに話の先を促した。

「それで?」

 その言葉に、リヨンネは合図するようにユーリスに視線をやると、ユーリスは承知したように頷いて、自分の胸元に下げていた布袋から、竜の雛を取り出して、テーブルの上に載せた。

 そこに立ったのは、燦然と金色に輝く鱗に、黄金を溶かしたような美しい瞳の小さな竜だった。

 黄金竜の雛を目にしたシェーラとエルハルトは、凍りついたように動きを止めていた。
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