転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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第十二章 黒竜、再び王都へ行く

第五話 隣家の双子

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 王都の家にやってきたシェーラは、新しい土地と家に来たことに、興奮したのか、いつもよりもうんと朝早く目が覚めてしまった。
 彼女は魔法で服を変えると、早速、家の玄関の扉を開けて、この家の敷地をチェックし始めた。

 竜たるもの、テリトリーの把握は重要な仕事であった。

 到着した昨夜は夜も遅かったため、庭の様子を見て回ることができなかった。だから、シェーラは玄関の扉を開けた後、そのまま庭へ続く道をズンズンと歩き始めた。緑の芝生に、よく手入れされた植栽。木々の間を抜けると、隣家の塀が見えた。
 一応、北方の山間に棲んでいるシェーラでも、壁があるところまでが自分達のテリトリーであることは理解していた。その壁沿いに沿って歩き始める。そしてこの家が、西側が道に面し、東と南、北側は隣家の壁に接している状態だということを理解した。王都の家としては庭も広く充分大きな敷地であると言えるが、北方地方の広大な大自然の中、ほら穴で暮らしてきた黒竜シェーラにしてみれば、玩具のように小さな家だということが家の感想であった。

(まぁ、ちっぽけな人間のテリトリーだから、仕方ないわね)

 竜と人間はその体長自体が違う。シェーラが元の大きな黒竜の体に、この小さな家の中で変身してしまえば、倒壊すること間違いなかった。

「二人で竜の姿に変わったら、この敷地にも溢れるわね」

 そう思ったらおかしくなり、思わずいつもの癖で「そう思わない、エルハルト」とあの青竜に話しかけてしまった。だが、そばにエルハルトはいなかった。彼は怒って、まだ北方地方の山間に残ってしまっている。

 シェーラは一気に不機嫌になり、眉を寄せていた。

「………………」

 自分がウッカリあの青竜がそばにいるものと思って話しかけてしまったことが腹立たしい。
 北方の山間の観察拠点の建物の中ではいつも一緒のテーブルの席について、お茶をしたり、酒を飲んだりしていたから。
 つい癖で、彼がそばにいるものだと思ってしまう。

「………………」

 シェーラがカツンと足元の石を蹴ったところで、隣家の塀の向こうで、二人の子供がヒョイと顔を覗かせていた。

「おはようお姉さん」
「朝も早いねお姉さん」

 二人とも同じ顔をしていたので、シェーラは驚いた。
 双子の子供であった。年齢は十歳くらいであろうか。二人とも短いプラチナブロンドに、青い瞳の男の子供であった。見分けがつかないくらいそっくりであったが、よく見れば、二人とも顔の別々の位置に黒子があったためにそれで判別できる。
 朝も早くから子供が顔を覗かせたことに驚いたのだ。

 右目の下に黒子がある男の子が名乗った。

「僕はヒューイレット」

 左目の下に黒子がある男の子が名乗った。

「僕はヴィオレット」

 それから何故か二人声を揃えてこう言った。

「「アンサンムル家の愉快な双子とは僕らのことだ」」

 シェーラはじっとその双子の男の子達を見つめ、短く言った。

「バカじゃないの」



「すごい毒舌!!」

「名乗って早々、秒で馬鹿にされたのは初めての経験だ!!」

 双子は顔を見合わせてそんなことを言っている。後ろから声が聞こえた。
 どうやらシェーラを呼んでいるようだ。
 そのまま双子を無視して行こうとしているシェーラの背中に、双子の少年達は声を掛けた。

「お姉さん、お隣に引っ越してきたの?」

「名前はなんて言うの?」

 そう次々に尋ねてくる。
 双子の話し相手というのは大変なものだとシェーラは思った。

「引っ越してきたの。私の名前はシェーラよ」

「ふぅん」

「バンクール家の人なんだ」

 双子達は、この隣家の建物がバンクール家の所有するものだと知っているらしい。彼ら二人、バンクール家とアンサンムル家の間にある境界の煉瓦の塀をよじ登り、そこに座って足をぶらぶらさせながら手を振った。

「またね、お姉さん」

「朝食が出来たのかもね、お姉さん」

 そう言って見送る。

「……変な双子ね」

 そう独り言ちながら、シェーラは家に戻り、リヨンネから「勝手に外に出歩かないで下さい。家中探し回りましたよ」と怒られたのであった。どうやら、家の方角から聞こえた声は、シェーラの名を呼びながら探す声であったようだ。

「別に庭を散歩していただけだからいいじゃないの」

「それでも一言くらいあってもいいでしょう」

 呪いが十八番の黒竜なのである。目を離したら何をしでかしているのか分からない。
 リヨンネの心配はそれである。
 注意されたシェーラは、ムッと来ていた様子だったが口答えをすることはなかった。
 なんとなしに、青竜エルハルトの「ほら、俺の言う通りだろう」と言う腕を組んだ偉そうな姿が脳裏によぎったからだ。
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