転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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第十五章 この世界で君と共に

第十五話 副竜騎兵団長との再会

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「殿下」

 騎竜ロザンナから飛び降り、銀の髪に紫色の瞳を持つ麗しい副騎兵団長エイベルが、王宮の中庭に迎えに出てきたアルバート王子達を見つけて、すぐに再会の喜びの声を上げた。

 そしてエイベル副騎兵団長の後ろでは、順番に空から大きな竜が降下して、竜騎兵を地面へ下ろすと、竜から人の姿に変わっている。

 エイベル副騎兵団長以下、十名の騎兵と騎竜が、この日とうとうハルヴェラ王国へやって来たのだった。
 まるで麗しい美姫のような副騎兵団長の登場に、ハルヴェラ王国の女官達も侍従達も口に手を当て、頬を赤く染めて熱い視線を向けている。

 エイベル副騎兵団長はそうした人々からの熱い視線に慣れっこだったので、とりたて反応を見せず、アルバート王子のそばに向かって歩いて行く。

「エイベル副騎兵団長。長旅お疲れさまでした。皆、首を長くして副騎兵団長がいらっしゃるのを待っておりました」

 アルバート王子も久しぶりに副騎兵団長エイベルに再会できて嬉しそうである。彼のそばにはいつものように護衛騎士バンナムがついており、そして同席しているレネ魔術師も軽く頭を下げて挨拶していた。

 そしてすぐさま、アルバート王子が先頭に立って竜騎兵達を案内しようとする。アルバート王子の足元で、小さな子供姿のルーシェが両手を上げて抱っこをせがむので、アルバート王子はヒョイと彼を抱き上げて歩いていく。

「ここではルーシェを、子供姿にさせているのですか」

 その様子を見てエイベル副騎兵団長が驚いて尋ねた。このハルヴェラ王国の王宮内で、紫竜ルーシェが竜から子供の人の姿に変われることをオープンにしていることに驚いたのだ。

「はい。子供姿でも問題なく過ごしています」

 むしろ、毎日のように皆から「可愛い、可愛い」と言われて可愛がられ、女官や侍従達からお菓子をせしめられて子供姿のルーシェは大喜びだった。

「…………ラウデシア王国には報告されないようにしなければなりません」

 エイベル副騎兵団長が声を潜めながらそう言うと、アルバート王子は頷く。

「心得ています。ハルヴェラ王国の方々も、ある程度ラウデシア王国の王宮の内情もお聞き及びのようで」

 次期国王と称されるリチャード王子が、アルバート王子の伴侶にどうやら想いを寄せている。
 その話は、アルバート王子を大層不機嫌にさせるものだった。

 だが、リチャード王子は、アルバート王子の伴侶シアンが、人ではなく竜であることを知らない。
 そしてその竜が人の姿を取ることが出来ることも知らない。そして時にこうして子供の姿を取ることが出来ることも知らない。

 このまま何も知らないまま、時が過ぎていけば良いと思っている。

「…………………………………まだ、リチャード王子は俺のこと」

 俺のことをまだそんなに好きなの?

 アルバート王子に抱き上げられているルーシェが、小さな声で不安そうにそう言って、アルバート王子の胸元の布を小さな手でギュッと掴んでいる。

「心配するな」

 チュッとアルバート王子はルーシェの頬に口づけする。

「うん」

 エイベル副騎兵団長は、アルバート王子がハルヴェラ王国へ出発した後、王宮にいるリチャード王子から、アルバート王子の伴侶シアンへの様子伺いや、具合が悪いと言われるその体調について問い合わせる手紙や見舞いの品を頻繁に受け取っていた。手紙の内容は「シアンの体調が悪くなったのなら王宮へ連れてくるように」というものであったため、ウラノス騎兵団長は呆れてため息をつき、エイベル副騎兵団長はすぐにそれらの手紙を紐で縛って箱の中に仕舞いこんでいた。その箱の中にも預かり続けている贈り物が山のようになっていた。

 ウラノス騎兵団長も不機嫌である。

「国の大事であるのに、他人の伴侶にうつつを抜かすとは。このような方ではなかったはずなのに」

 それも次期国王と称される王子である。
 
 だが、エイベル副騎兵団長は、第一王子リチャードのことを困った御方だと思いながらもその心情が少し理解できるのだ。そんなことをウラノスに言ってしまえば、彼から責められるような気がしてウラノスには告げていない。
 エイベル副騎兵団長も長い間、叶わぬ恋をしてきた。どんなにかそれを諦めようと思っても、諦めることは出来なかった。胸の奥で燻り続ける恋心の火は、どれほど小さくあろうとも決して消えることはない。
 きっとリチャード王子もそうなのだろう。

 リチャード王子は、伴侶であるカミラ妃とは政略結婚だと聞く。カミラ妃との間にはおそらく、お互いを尊重するような礼儀正しい愛情はあっても、胸を焦がすような恋情の想いはないのだろう。

 エイベル副騎兵団長は、アルバート王子と紫竜ルーシェが愛し合い、共に仲睦まじく過ごしていることを知っていた。だから、リチャード王子の恋が決して叶わないことも知っていた。

 そしてそのことをアルバート王子とルーシェの二人を知る全ての者達が理解していた。あの二人の間に他人が割り込むことは絶対に出来ないと。

 でも、恋というのはそう簡単に、終わらせることの出来るものではないのだ。



 その後、ハルヴェラ王国の王宮に到着したエイベル副騎兵団長以下のラウデシア王国の竜騎兵と騎竜達は、ハルヴェラ国王や王太子達に挨拶をし、夜には歓迎の宴なども開かれた。こうして、ラウデシア王国の竜騎兵達は、きたるべきサトー王国との対決の日に備え、ハルヴェラ王国に迎え入れられたのだった。
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