転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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外伝 ある護衛騎士の災難  第一章

第一話 ある護衛騎士の災難(上)

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 ある日の晩。
 王国二番目の王子アンリの部屋の窓の外で、小さな何かが部屋の中を覗き込むように動いていることに護衛騎士達は気が付いた。王子のそばに最低限の警護の騎士を残してすぐさま走り出した。
 この私、殿下の護衛騎士のハヴリエル=ルーセントもその一人であった。
 残念なことに、現場へ急行した時にはすでにその存在はどこかへ消え失せていた。

 アレは明らかに部屋の中を覗き込んでいた。
 小さなもので、目を光らせて覗き込んでいた。
 人ではないだろう。

 では、アレは一体なんなのだろうか。

 その正体を考え込んでいる背後で悲鳴が聞こえた。

「殿下、アンリ王子殿下、大丈夫ですか」
「医師を呼べ」

 慌てて室内へ戻ると、アンリ王子が意識を失って倒れ、近くにいた護衛騎士の一人に抱きかかえられている。
 医師の診察を受けたが、アンリ王子が意識を失った原因は不明であった。
 何ら外傷もなく、単純に意識を失ってしまっただけのようだ。その内、目を覚ますのではないかという見立てであったが、翌朝を迎えてもアンリ王子は目を覚ます様子はなかった。

 心配したアンリ王子の妃アビゲイルがお見舞いにいらしたが、王子は目を覚ますことはなく、その後も、父たる国王や母たる王妃、アンリ王子の兄弟である王子、王女方もお見舞いにいらしたが、変わらず王子が目を覚ます様子はなかった。

 意識を失う前、アンリ王子は北方の竜騎兵団に視察へ行くと述べ、熱心に、竜騎兵団にいる七番目の弟王子に手紙を出していた。どうもその七番目の王子の元に、アンリ王子が好きそうな美しい子供がいるらしい。その子会いたさに視察へ行きたいと言っているアンリ王子に対して、私は内心呆れていた。それと同時に真冬の北方地方なんぞ絶対に行きたくないと思っていたのに、アンリ王子は連れていく護衛の中に私の名を真っ先に書き込んでいた。

 絶対に、それはアンリ王子の意地の悪さの表れだと私は思っていた。

 だから、少しだけ、このままアンリ王子の具合の悪い状態が続けば、北方地方の竜騎兵団への視察が中止になるかも知れないと、願うような気持ちもあった。
 真冬の北方地方なんぞ、絶対に行きたくない。
 それも殿下が美少年(美幼児?)会いたさに行くというのだ。それに付き合わされる護衛の身になって欲しい。


 そう思っている一方で、意識を失った翌日も目を覚まさず、寝台で横になっているアンリ王子の様子に、さすがに私も少し心配になり始めた。
 このまま、目を覚ますことなく眠り続ければ、身体は衰弱していって最後には死んでしまうだろう。
 例え美少年趣味で、時々嫌味を言ったりジロリと睨んだりすることのある王子だとしても、そうなってしまえは後味が悪かった。

 皆、アンリ王子に対して、腫れ物にでも触るように距離を置いて様子を眺めている。
 だが、私は単純に思っていた。

 揺すったら、王子も目を覚ますのじゃないかと。

 そう思ったら、即試してみたいと思うのが、人の情であろう。
 
 私は早速眠っている王子のそばに座り、王子の肩を両手で掴んで起き上がらせ、グラグラと揺すった。
 なお、周囲の護衛騎士達にはちゃんと「ちょっと王子殿下を揺すってみる」と断っている。慌てて護衛騎士達は止めようとしていたが、私はやり切った。

 グラグラとその身体が揺れ、王子の金の髪も揺れる。
 やがて、彼の碧い目がパチリと開かれた。

 やっぱり、揺すれば良かったのじゃないか!!

「ほら、私の言った通りだろう!!!!」

 そう叫んだ私の周りの護衛騎士達は、皆、何故か顔色を青ざめさせていた。
 アンリ王子の目は開かれ、そして私の顔をじっと凝視して、それから私の手首を掴んだ。

「…………ハヴリエル卿」

「殿下、お礼なら結構です。私は騎士として為すべきことをしただけです」

 それでも是非お礼をして下さるなら、殿下が北方の竜騎兵団へ連れて行く護衛騎士のリストから自分の名を外してもらえるだけでもいいと伝えたかった。
 私は寒い所は苦手だった。絶対に雪のこんもり積もっているであろう北方地方なんぞ行きたくなかったのだ。

 アンリ王子はずっと私の手を握り締めている。
 もう離して下さっても良いのに、握り締め、そして彼はどこか熱っぽい眼差しで自分を見つめ続けていた。
 彼は言った。

「そなたが、私の運命だったのだな!!!!」

 王子が何を言っているのか、全く理解できなかった。
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