転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です  第一章 五番目の王子との学園時代

第十二話 王子は腕利き冒険者からの話を聞く

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 シルヴェスター王子は十二の年で冒険者ダンカンと出会って以来、学園で授業を終えた後、彼と出かけるようになっていた。
 ダンカンと共に過ごす時間は楽しかった。彼はシルヴェスターに目を掛け、優秀なシルヴェスターは彼の前では、そう、ダンカンの率いるクランの冒険者達の前では、存分にその素晴らしい能力を隠すことなく見せていた。

 今ではダンカンは、シルヴェスターの素性を知っていた。
 それはそうだろう。ダンカンは王国でも腕利きの冒険者であり、貴族出身で、更に彼は情報通でもある。
 バンクール商会の長子ユーリスと親しい、金髪碧眼の少年。
 王立学園に在籍している二人の王子のうちの一人。
 “放置されている”方の王子であることを、ダンカンは早い段階で知り得ていた。
 だがダンカンは、それを口にすることなく、むしろそのことを知ってからは益々、シルヴェスターに目を掛け、彼を寮から連れ出すようになっていた。
 優秀なシルヴェスターは、十分冒険者ダンカンの役に立ち、彼の率いるクランにとってもシルヴェスターは魅力的な存在になっていた。剣の腕前も、魔法の才能も素晴らしい彼は、ダンカンにとって、息子のようにも思える存在で、ダンカンは存分にその才能を伸ばしてやりたかった。



 だからある時、ダンカンはこう述べた。
 クランの所有する建物で、シルヴェスターと二人きりになった時に掛けられた言葉だった。

「シルヴェスター、君は、俺の息子になるつもりはないか」

 シルヴェスターは驚く。
 ダンカンはそんなシルヴェスターの様子を笑って見つめ、シルヴェスターの金の髪を撫でた。
 こうして彼の頭に触れる許しを得ているのは、このダンカンとユーリスしかいなかった。
 
「…………私は」

 シルヴェスターは黙り込んで、俯く。
 息子になると答えていいものなのか、分からない。
 そう言ったら、自分はどうなるのだろうか。
 その疑問を見透かしたように、ダンカンは話し始めた。

「冒険者の息子だ。君も冒険者になる。君はとても優れた冒険者になれるだろう。それは俺が保証する」

 そんな未来があるのかと、シルヴェスターは顔を上げてダンカンを見つめた。
 
 今のこの、王子の身分を捨てて、冒険者という新しい人生を歩む。
 そんなことが出来るのかと。

 ダンカンは、突然、シルヴェスターの体をぎゅっと抱きしめた。
 咄嗟のことに、抗うこともできなかった。ダンカンは抱きしめたシルヴェスターの耳元で言った。
 
「今すぐに、返事をしなくてもいい。ただ、君がもし、それを選択したのなら、この国を出なければならないだろう」

 その言葉にシルヴェスターの碧い目は見開かれた。

「俺は、君のことをよく知っている。この国を出なければ、君はその選択をすることが出来ない。理由を君は知っているだろう。だからもし、俺の息子になると言うのなら、共に他の国へ渡ることになる」

 王族であることは、この国にいる限り、逃れられない。
 そしてこの国にいる限り、ダンカンの下で冒険者などという仕事に就くことは出来ない。
 当たり前だ。王子なのだから。
 そしてそんな自由を、王宮にいるメロウサ王妃達は決して許さないはず。
 必ず反対され、妨害される。

 だから、ダンカンはこの国を一緒に出てもいいと言っているのだ。
 もしシルヴェスターが、自分の息子になると言ってくれるなら。

 そうまでして自分に手を差し伸べてくれる、ダンカンの想いが伝わって、シルヴェスターは碧い目を潤ませていた。言葉もなく、ダンカンの抱きしめる体に、背に手を回す。

「いつでもいい。その気になったのなら、教えてくれ」

「……………分かった」

 でも、そうしたダンカンの言葉を聞いた時、脳裏に浮かんだのはユーリスの白い顔だった。

 ユーリスと離れたくなかった。

 ユーリスがいるから、今まで、自分は生きてこられた。そんな気持ちすらしてしまう。
 六歳の時、王立学園の寮の部屋で出会った美しい黒髪の少年は、それ以来、自分の心の中に棲みついている。以来、一緒に兄弟のように成長してきた。

 彼が好きだった。

 でもこの国を出ることになれば、彼とは会えなくなってしまう。




 

 それが、嫌だった。
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