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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第二章 黄金竜の雛の番
第十話 雛竜と共に旅立つ
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翌日、叔父のリヨンネは、ユーリスに、この北方地方の山間に棲む野生竜達に会っておこうと言った。リヨンネが親しくしている野生の竜達が棲んでいるそうだ。
リヨンネとユーリス、そしてリヨンネの従者キースは、青い竜の背に跨り、山間の竜の観察拠点の建物にまで飛んで到着した。
そしてそこでユーリスは、小さな黄金色の竜の雛を、二人の野生竜達、黒竜シェーラと青竜エルハルトに披露した。黒竜も青竜も非常に驚愕して、そして小さな竜に対して恭しい態度を見せた。
黄金竜の雛はそこでも、ユーリスは自分の番であると宣言していた。
黄金竜の雛の勝手な言い草に対して呆れるユーリスは、「私はこの竜の番ではない。この子が勝手にそう言っているけど、そうじゃないから。あまりそのことを言うのなら、私は君をこの山へ置いていくからな!!!!」と言うと、小さな黄金竜は慌てて鳴いてユーリスに飛び付き、言い訳じみた様子を見せていた。
ユーリスと黄金竜の雛のやりとりを、黒竜シェーラも青竜エルハルトもどこか呆然と見つめていた。
リヨンネは笑いながら言った。
「ウェイズリーは、ユーリスのことを番だと言い張っているんだ。シェーラ、エルハルト、この子をユーリスがこの国から連れ出しても、何か竜達にとって問題はないだろうか」
それにすかさず、シェーラは答えた。
「問題ありません」
「そうか。じゃあ、ユーリス、その子を連れて行けばいい」
「竜の一頭もいない遠い国へ、黄金竜の雛を連れていって、本当にいいのでしょうか」
未だユーリスは、そのことを迷っている。
生まれたばかりの小さな雛なのである。竜達のいる国で育つ方がいいとユーリスは思っていた。
しかし、黄金竜ウェイズリーは、ユーリスから離れないと懸命に言い張るのだ。
「黄金竜の望みは、全て叶えられてしかるべきです」
シェーラは静かに答える。
「それは、どういうことですか?」
いつものシェーラと違い、淡々と紡がれる言葉に、リヨンネもキースもなんとなく奇妙なものを感じた。リヨンネが聞き返すと、シェーラは言う。
「そのままの意味です。どうせ、誰も……」
黄金竜ウェイズリーはピッタリとユーリスの胸に張りつき、ぐりぐりとその小さな頭を押し付けている。
その一人と一頭の様子を見ながら、シェーラは言った。
「誰も逆らうことを許されないのですから」
それから、ユーリスは青竜エルハルトに雛竜を育てるにあたって注意すべきことなど話を聞いたのだった。竜騎兵団の拠点で話を聞くと、ユーリスが小さな竜の雛を育てることがバレてしまう。黄金竜の雛を育てることは秘密にしなければならない。だから、ユーリスが雛竜を連れている姿はあまり人目にさらさない方が良い。ユーリスは上着の下に布袋をしまって、そこに雛竜がいることが分からないようにしていた。
すでに、ルーシェとアルバート王子、護衛騎士バンナムとレネには、ウェイズリーが黄金竜であることも、ユーリスが竜の卵を孵して、その雛を育てることも、秘密にするように頼んでいる。彼らは快く、その頼みを聞き入れてくれた。
そもそも紫竜ルーシェが、誰よりも美しい人の姿に変われることも秘密にしている彼らにとって、ウェイズリーが黄金竜であることを隠すことも、負担になることではなかった。
数日間、ユーリスは山間の観察拠点の建物に滞在した後、出立し、王都を経由してアレドリア王国へ向けて旅立つことにした。
ユーリスは上着の下の胸元に、布袋を斜めに掛けていたが、その布袋の中に、小さな黄金色の雛竜がいることは誰にも気づかれなかった。時に、その小さな雛竜は甘えるように「キュルキュルキュー」と小さく鳴く。するとユーリスは、その雛竜の入った布の膨らみを優しく撫でるのだった。
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そしてそこでユーリスは、小さな黄金色の竜の雛を、二人の野生竜達、黒竜シェーラと青竜エルハルトに披露した。黒竜も青竜も非常に驚愕して、そして小さな竜に対して恭しい態度を見せた。
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それにすかさず、シェーラは答えた。
「問題ありません」
「そうか。じゃあ、ユーリス、その子を連れて行けばいい」
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未だユーリスは、そのことを迷っている。
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しかし、黄金竜ウェイズリーは、ユーリスから離れないと懸命に言い張るのだ。
「黄金竜の望みは、全て叶えられてしかるべきです」
シェーラは静かに答える。
「それは、どういうことですか?」
いつものシェーラと違い、淡々と紡がれる言葉に、リヨンネもキースもなんとなく奇妙なものを感じた。リヨンネが聞き返すと、シェーラは言う。
「そのままの意味です。どうせ、誰も……」
黄金竜ウェイズリーはピッタリとユーリスの胸に張りつき、ぐりぐりとその小さな頭を押し付けている。
その一人と一頭の様子を見ながら、シェーラは言った。
「誰も逆らうことを許されないのですから」
それから、ユーリスは青竜エルハルトに雛竜を育てるにあたって注意すべきことなど話を聞いたのだった。竜騎兵団の拠点で話を聞くと、ユーリスが小さな竜の雛を育てることがバレてしまう。黄金竜の雛を育てることは秘密にしなければならない。だから、ユーリスが雛竜を連れている姿はあまり人目にさらさない方が良い。ユーリスは上着の下に布袋をしまって、そこに雛竜がいることが分からないようにしていた。
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