転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

文字の大きさ
454 / 711
外伝 その王子と恋に落ちたら大変です  第二章 黄金竜の雛の番

第十話 雛竜と共に旅立つ

しおりを挟む
 翌日、叔父のリヨンネは、ユーリスに、この北方地方の山間に棲む野生竜達に会っておこうと言った。リヨンネが親しくしている野生の竜達が棲んでいるそうだ。

 リヨンネとユーリス、そしてリヨンネの従者キースは、青い竜の背に跨り、山間の竜の観察拠点の建物にまで飛んで到着した。
 そしてそこでユーリスは、小さな黄金色の竜の雛を、二人の野生竜達、黒竜シェーラと青竜エルハルトに披露した。黒竜も青竜も非常に驚愕して、そして小さな竜に対して恭しい態度を見せた。

 黄金竜の雛はそこでも、ユーリスは自分の番であると宣言していた。
 黄金竜の雛の勝手な言い草に対して呆れるユーリスは、「私はこの竜の番ではない。この子が勝手にそう言っているけど、そうじゃないから。あまりそのことを言うのなら、私は君をこの山へ置いていくからな!!!!」と言うと、小さな黄金竜は慌てて鳴いてユーリスに飛び付き、言い訳じみた様子を見せていた。

 ユーリスと黄金竜の雛のやりとりを、黒竜シェーラも青竜エルハルトもどこか呆然と見つめていた。
 リヨンネは笑いながら言った。

「ウェイズリーは、ユーリスのことを番だと言い張っているんだ。シェーラ、エルハルト、この子をユーリスがこの国から連れ出しても、何か竜達にとって問題はないだろうか」

 それにすかさず、シェーラは答えた。

「問題ありません」

「そうか。じゃあ、ユーリス、その子を連れて行けばいい」

「竜の一頭もいない遠い国へ、黄金竜の雛を連れていって、本当にいいのでしょうか」

 未だユーリスは、そのことを迷っている。
 生まれたばかりの小さな雛なのである。竜達のいる国で育つ方がいいとユーリスは思っていた。
 しかし、黄金竜ウェイズリーは、ユーリスから離れないと懸命に言い張るのだ。

「黄金竜の望みは、全て叶えられてしかるべきです」

 シェーラは静かに答える。

「それは、どういうことですか?」

 いつものシェーラと違い、淡々と紡がれる言葉に、リヨンネもキースもなんとなく奇妙なものを感じた。リヨンネが聞き返すと、シェーラは言う。

「そのままの意味です。どうせ、誰も……」

 黄金竜ウェイズリーはピッタリとユーリスの胸に張りつき、ぐりぐりとその小さな頭を押し付けている。
 その一人と一頭の様子を見ながら、シェーラは言った。

「誰も逆らうことを許されないのですから」



 それから、ユーリスは青竜エルハルトに雛竜を育てるにあたって注意すべきことなど話を聞いたのだった。竜騎兵団の拠点で話を聞くと、ユーリスが小さな竜の雛を育てることがバレてしまう。黄金竜の雛を育てることは秘密にしなければならない。だから、ユーリスが雛竜を連れている姿はあまり人目にさらさない方が良い。ユーリスは上着の下に布袋をしまって、そこに雛竜がいることが分からないようにしていた。
 すでに、ルーシェとアルバート王子、護衛騎士バンナムとレネには、ウェイズリーが黄金竜であることも、ユーリスが竜の卵を孵して、その雛を育てることも、秘密にするように頼んでいる。彼らは快く、その頼みを聞き入れてくれた。
 そもそも紫竜ルーシェが、誰よりも美しい人の姿に変われることも秘密にしている彼らにとって、ウェイズリーが黄金竜であることを隠すことも、負担になることではなかった。





 数日間、ユーリスは山間の観察拠点の建物に滞在した後、出立し、王都を経由してアレドリア王国へ向けて旅立つことにした。
 ユーリスは上着の下の胸元に、布袋を斜めに掛けていたが、その布袋の中に、小さな黄金色の雛竜がいることは誰にも気づかれなかった。時に、その小さな雛竜は甘えるように「キュルキュルキュー」と小さく鳴く。するとユーリスは、その雛竜の入った布の膨らみを優しく撫でるのだった。 
しおりを挟む
感想 276

あなたにおすすめの小説

腐男子♥異世界転生

よしの と こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、カクヨムさん、Caitaさんでも掲載しています。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

「隠れ有能主人公が勇者パーティから追放される話」(作者:オレ)の無能勇者に転生しました

湖町はの
BL
バスの事故で亡くなった高校生、赤谷蓮。 蓮は自らの理想を詰め込んだ“追放もの“の自作小説『勇者パーティーから追放された俺はチートスキル【皇帝】で全てを手に入れる〜後悔してももう遅い〜』の世界に転生していた。 だが、蓮が転生したのは自分の名前を付けた“隠れチート主人公“グレンではなく、グレンを追放する“無能勇者“ベルンハルト。 しかもなぜかグレンがベルンハルトに執着していて……。 「好きです。命に変えても貴方を守ります。だから、これから先の未来も、ずっと貴方の傍にいさせて」 ――オレが書いてたのはBLじゃないんですけど⁈ __________ 追放ものチート主人公×当て馬勇者のラブコメ 一部暗いシーンがありますが基本的には頭ゆるゆる (主人公たちの倫理観もけっこうゆるゆるです) ※R成分薄めです __________ 小説家になろう(ムーンライトノベルズ)にも掲載中です o,+:。☆.*・+。 お気に入り、ハート、エール、コメントとても嬉しいです\( ´ω` )/ ありがとうございます!! BL大賞ありがとうございましたm(_ _)m

死に戻りした僕を待っていたのは兄たちによる溺愛モードでした

液体猫(299)
BL
*諸々の事情により第四章の十魔編以降は一旦非公開にします。十魔編の内容を諸々と変更いたします。 【主人公(クリス)に冷たかった兄たち。だけど巻き戻した世界では、なぜかクリスを取り合う溺愛モードに豹変してしまいました】  アルバディア王国の第五皇子クリスが目を覚ましたとき、十三年前へと戻っていた。  前世でクリスに罪を着せた者への復讐は『ついで。』二度目の人生の目的はただ一つ。前の世界で愛し合った四男、シュナイディルと幸せに暮らすこと。  けれど予想外なことに、待っていたのは過保護すぎる兄たちからの重たい溺愛で……  やり直し皇子、クリスが愛を掴みとって生きていくコミカル&ハッピーエンド確定物語。  第三章より成長後の🔞展開があります。 ※濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭、ちょっとだけ重い展開あり。 ※若干の謎解き要素を含んでいますが、オマケ程度です!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

処理中です...