489 / 711
外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第三章 再びの出会い
第十七話 夢(上)
しおりを挟む
また夢を見た。
白い靄の漂う中、ユーリスは自分が現れると同時に、再び夢を見ていることをすぐに自覚していた。夢から目を覚ました時には、その夢を見た事すら忘れているのに。
ぬかるむ地面の上を歩いていくと、ユーリスを待ち構えるように、“始祖の王”カルヴァン=ベルリガードと名乗った美丈夫が、玉座のような立派な椅子に座っていた。
カルヴァンは肘当てに肘をつき、そしてユーリスに気が付くと碧い瞳を楽しそうに煌めかせた。
非常に楽しそうで、嬉しそうだ。
今まで、深刻そうな表情ばかり見せていたカルヴァンである。そのように明るい表情を見せるのは初めてであった。
彼は言った。
「そうか。そなたはアレの番でありながらも、恋人がいたのだな。真に愛する恋人が」
カルヴァンが、黄金竜ウェイズリーとシルヴェスター王子のことを言っていることがすぐに分かった。
番、黄金竜の雛ウェイズリーがいつも口にしていた言葉
真に愛する恋人、五年ぶりに再会した王国の五番目の王子シルヴェスター
ユーリスが黙り込んでいると、椅子に座ったカルヴァンは笑い声を上げていた。
「ああ、私の子孫と結ばれたユーリスのことを、アレは番に選んだのか。結局、黄金竜はいつも失敗する運命だな」
その言葉に、ギリギリと歯を軋らせる音がした。
見れば、カルヴァンの後ろから、黄金色の目を怒りに吊り上げ、皓歯を軋らせながら、黄金色の瞳の美しい女人が現れたのだ。再び黄金色の美女と会って、ユーリスは、今はもう彼女の正体を理解していた。
“始祖の王”と結ばれた黄金竜の雌。竜の女王である。
人にはない黄金色の瞳が、それの証であった。
黄金竜ウェイズリーと同じ、黄金を溶かしたかのような美しい双眸。
それを怒りに吊り上げていた。
「黄金竜は、我が子孫には手を出すことは出来ぬ」
カルヴァンはそう断じる。
竜の女王は、ダンと片足でぬかるみを強く踏んだ。
途端、グラグラと地面が地震のように大きく揺れる。
ふらつくユーリスの身体を、立ち上がった“始祖の王”カルヴァンが支える。
カルヴァンは顔をしかめ、竜の女王をたしなめた。
「何をする、マルヴェリーナ。止めよ」
「ウェイズリーの番、貴方は何故あれほどウェイズリーに愛されながらも、ウェイズリーを愛さないの」
「愛することを強制することは出来ぬ。分かっておろう、マルヴェリーナ」
カルヴァンに諭され、マルヴェリーナと呼ばれた女は、ポロポロと大粒の涙を零して泣き始めていた。
「うっ、ううう、うう」
涙を拭うこともせず、彼女は滂沱と涙を黄金色の両眼から流し続けている。
その面を見て、カルヴァンは困ったような顔をしながら、マルヴェリーナの涙を拭うための布を取り出して、彼女に手渡していた。
「そのように泣くでない」
「ウェイズリーが可哀想ではないですか。わたくしと同じように、番から愛されることがない」
「マルヴェリーナ」
“始祖の王”はいつの間にやら、竜の女王のそばに立っており、彼女を後ろから抱きしめていた。その耳元で優しく言っている。
「私はそなたを愛さなかったわけではない。分かっておるだろう」
「ううう、うううううっ」
彼女は眉を寄せ、そばに立つ“始祖の王”を詰った。
「でも陛下は、わたくしには卵を産ませて下さらなかった」
卵
また卵の話である。
前回の夢の時も、竜の女王はそのことを口にしていた。
『番に卵を生ませたいと望むのは当然のこと』
『貴方は決してそれを許さなかったけれど』
人間であっただろう“始祖の王”カルヴァン=ベルリガードが、竜の女王マルヴェリーナに卵を産ませることは出来ない。竜と人間では種が違うからだ。どんなにか竜の女王がそれを望んでも、叶わない。
「あの王宮下の、地下の遺跡には陛下と女王の卵は無かったのですか?」
それでも思わず、ユーリスはずっと心の中で抱いていた疑問を確認するように“始祖の王”達にぶつけていた。
遺跡の中には、卵を迎えるための部屋があったからだ。
“始祖の王”は答えた。
「無い。マルヴェリーナは随分と欲しがったがな。王宮下に“巣”を作ると言い張って、こやつは無理やり王宮を沈めたのだ。そうまでして作った“巣”であったが」
無理やり沈めた王宮。
だから、王宮の大きな窓もそのまま、地下へと沈んでそこから土が流れ込んでいた。
ユーリスは、自分が足を踏み入れたあの地下遺跡の王宮の様子を思い出していた。
産み落とした卵を載せる石の椅子まで用意していた。
その椅子の幾つかは壊れていた。
五つもの子供部屋が用意されていたが、その部屋はいずれも主を迎えることなく、空っぽであった。
カルヴァンは、マルヴェリーナがカルヴァンの他の人間の妃達と競うようにして、生まれてくるはずの卵のための部屋や家具を懸命に揃えていたことを知っていた。カルヴァンの人間の妃達が次々と子を孕み、それも五人にも至った時、マルヴェリーナも五つの部屋を用意して、自分の卵が生まれることをずっと願っていた。
生まれるはずがないのだ。
竜と人間が幾ら愛し合っても、人間の男の卵を、マルヴェリーナが孕むことは出来ない。
それで当然のようにユーリスは疑問を抱いた。そのことをそのまま口にする。
「ウェイズリーの親は、あなた方ではないのですか?」
あの可愛らしい黄金色の小さな竜は、王宮の地下遺跡からやって来たと自分で告げたのだ。
だからユーリスは、竜の女王と“始祖の王”が何らかの方法で、卵を産み出したのだと考えていた。しかし、竜の女王は「“始祖の王”は卵を産ませてくれなかった」とそれを否定した。
では、ウェイズリーの親とは一体誰なのか?
カルヴァンは頷いた。
「そうだ。アレはマルヴェリーナが一人で創った」
その言葉に、ユーリスは驚き、目を見開いていた。
白い靄の漂う中、ユーリスは自分が現れると同時に、再び夢を見ていることをすぐに自覚していた。夢から目を覚ました時には、その夢を見た事すら忘れているのに。
ぬかるむ地面の上を歩いていくと、ユーリスを待ち構えるように、“始祖の王”カルヴァン=ベルリガードと名乗った美丈夫が、玉座のような立派な椅子に座っていた。
カルヴァンは肘当てに肘をつき、そしてユーリスに気が付くと碧い瞳を楽しそうに煌めかせた。
非常に楽しそうで、嬉しそうだ。
今まで、深刻そうな表情ばかり見せていたカルヴァンである。そのように明るい表情を見せるのは初めてであった。
彼は言った。
「そうか。そなたはアレの番でありながらも、恋人がいたのだな。真に愛する恋人が」
カルヴァンが、黄金竜ウェイズリーとシルヴェスター王子のことを言っていることがすぐに分かった。
番、黄金竜の雛ウェイズリーがいつも口にしていた言葉
真に愛する恋人、五年ぶりに再会した王国の五番目の王子シルヴェスター
ユーリスが黙り込んでいると、椅子に座ったカルヴァンは笑い声を上げていた。
「ああ、私の子孫と結ばれたユーリスのことを、アレは番に選んだのか。結局、黄金竜はいつも失敗する運命だな」
その言葉に、ギリギリと歯を軋らせる音がした。
見れば、カルヴァンの後ろから、黄金色の目を怒りに吊り上げ、皓歯を軋らせながら、黄金色の瞳の美しい女人が現れたのだ。再び黄金色の美女と会って、ユーリスは、今はもう彼女の正体を理解していた。
“始祖の王”と結ばれた黄金竜の雌。竜の女王である。
人にはない黄金色の瞳が、それの証であった。
黄金竜ウェイズリーと同じ、黄金を溶かしたかのような美しい双眸。
それを怒りに吊り上げていた。
「黄金竜は、我が子孫には手を出すことは出来ぬ」
カルヴァンはそう断じる。
竜の女王は、ダンと片足でぬかるみを強く踏んだ。
途端、グラグラと地面が地震のように大きく揺れる。
ふらつくユーリスの身体を、立ち上がった“始祖の王”カルヴァンが支える。
カルヴァンは顔をしかめ、竜の女王をたしなめた。
「何をする、マルヴェリーナ。止めよ」
「ウェイズリーの番、貴方は何故あれほどウェイズリーに愛されながらも、ウェイズリーを愛さないの」
「愛することを強制することは出来ぬ。分かっておろう、マルヴェリーナ」
カルヴァンに諭され、マルヴェリーナと呼ばれた女は、ポロポロと大粒の涙を零して泣き始めていた。
「うっ、ううう、うう」
涙を拭うこともせず、彼女は滂沱と涙を黄金色の両眼から流し続けている。
その面を見て、カルヴァンは困ったような顔をしながら、マルヴェリーナの涙を拭うための布を取り出して、彼女に手渡していた。
「そのように泣くでない」
「ウェイズリーが可哀想ではないですか。わたくしと同じように、番から愛されることがない」
「マルヴェリーナ」
“始祖の王”はいつの間にやら、竜の女王のそばに立っており、彼女を後ろから抱きしめていた。その耳元で優しく言っている。
「私はそなたを愛さなかったわけではない。分かっておるだろう」
「ううう、うううううっ」
彼女は眉を寄せ、そばに立つ“始祖の王”を詰った。
「でも陛下は、わたくしには卵を産ませて下さらなかった」
卵
また卵の話である。
前回の夢の時も、竜の女王はそのことを口にしていた。
『番に卵を生ませたいと望むのは当然のこと』
『貴方は決してそれを許さなかったけれど』
人間であっただろう“始祖の王”カルヴァン=ベルリガードが、竜の女王マルヴェリーナに卵を産ませることは出来ない。竜と人間では種が違うからだ。どんなにか竜の女王がそれを望んでも、叶わない。
「あの王宮下の、地下の遺跡には陛下と女王の卵は無かったのですか?」
それでも思わず、ユーリスはずっと心の中で抱いていた疑問を確認するように“始祖の王”達にぶつけていた。
遺跡の中には、卵を迎えるための部屋があったからだ。
“始祖の王”は答えた。
「無い。マルヴェリーナは随分と欲しがったがな。王宮下に“巣”を作ると言い張って、こやつは無理やり王宮を沈めたのだ。そうまでして作った“巣”であったが」
無理やり沈めた王宮。
だから、王宮の大きな窓もそのまま、地下へと沈んでそこから土が流れ込んでいた。
ユーリスは、自分が足を踏み入れたあの地下遺跡の王宮の様子を思い出していた。
産み落とした卵を載せる石の椅子まで用意していた。
その椅子の幾つかは壊れていた。
五つもの子供部屋が用意されていたが、その部屋はいずれも主を迎えることなく、空っぽであった。
カルヴァンは、マルヴェリーナがカルヴァンの他の人間の妃達と競うようにして、生まれてくるはずの卵のための部屋や家具を懸命に揃えていたことを知っていた。カルヴァンの人間の妃達が次々と子を孕み、それも五人にも至った時、マルヴェリーナも五つの部屋を用意して、自分の卵が生まれることをずっと願っていた。
生まれるはずがないのだ。
竜と人間が幾ら愛し合っても、人間の男の卵を、マルヴェリーナが孕むことは出来ない。
それで当然のようにユーリスは疑問を抱いた。そのことをそのまま口にする。
「ウェイズリーの親は、あなた方ではないのですか?」
あの可愛らしい黄金色の小さな竜は、王宮の地下遺跡からやって来たと自分で告げたのだ。
だからユーリスは、竜の女王と“始祖の王”が何らかの方法で、卵を産み出したのだと考えていた。しかし、竜の女王は「“始祖の王”は卵を産ませてくれなかった」とそれを否定した。
では、ウェイズリーの親とは一体誰なのか?
カルヴァンは頷いた。
「そうだ。アレはマルヴェリーナが一人で創った」
その言葉に、ユーリスは驚き、目を見開いていた。
12
あなたにおすすめの小説
腐男子♥異世界転生
よしの と こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、カクヨムさん、Caitaさんでも掲載しています。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます
トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。
魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・
なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️
エブリスタにも、掲載しています。
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる