転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です  第六章 その王子と竜に愛されたら大変です(下)

第一話 後始末

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 サトー王国のサトー国王が討たれた後、再度イスフェラ皇国から“遠話魔道具”を使用した会議が開催された。同時に各国の文官達がイスフェラ皇国へ派遣される。条約締結のための事前打ち合わせ作業のためだ。大陸の四分の一を支配していたサトー王国の崩壊は、一気に地域の不安定化を招く。国王亡き後のサトー王国の領土をどう処理していくのか、それについての会議や事前の打ち合わせが開かれることになるのは当然のことだった。
 すでにイスフェラ皇国軍が旧サトー王国の領土内へ、独自に侵攻を開始しており、広い範囲を皇国軍が押さえているという話がある。そこでサトー王国軍の一部と交戦も発生していると聞く。たった一人で国の軍事力の多くを担っていたサトー国王亡き後、サトー王国内の者達が、急に国王に成り替わろうとしても簡単な話ではないだろう。時間はかかるとは思われるが、最終的にサトー王国の大部分の領土は周辺の国々に併合されていくのではないかとみなされていた。そして同じ動きをゴルティニア王国もしており、この戦後のドタバタの中、領土拡張に余念がないようだった。

 文官であるユーリスは、そうした動きにはあくまで国に仕える者の一人として淡々と業務を処理しており、深く関わることはなかった。
 だが、来春、国王に即位する予定のダンカンの、その後継者に迎えられるシルヴェスターは違う。彼は野心家であるダンカンと共に忙しく働いている。その会議にも出席し、喧々囂々の話し合いがそこであったという。
 シルヴェスターの心の重い負担になるような出来事が無ければ良いと思いながら、ユーリスは仕事に励む。そして毎夜、忙しい中でも必ず“転移”して、自分の元へ帰ってくるシルヴェスターの無事を喜んでいた。



 避難民として各国に受け入れられていたアレドリア王国の人々も、サトー国王が倒された後、多くの者達がアレドリア王国へ帰還することになった。アレドリア王国の都が物理的に破壊されただけでなく、そこに住んでいた王族達や貴族達も、大学の教授も生徒達も、街の人々も殺された。そんな中、帰国していくとしても、その後の再建には相当の苦労があるだろうと考えられたが、やはり故郷へ帰りたいと願う人々は多かった。
 アレドリア王国の兄弟国と言われていたハルヴェラ王国が、アレドリア王国復興に全面的に協力するという話になっている。非常に時間はかかるだろうが、こちらもゆっくりと立ち直っていくだろう。

 ユーリスの護衛を務めていたゲランは、妻子や仲間達を連れて、ゴルティニア王国に身を寄せた。元は冒険者であるゲランは、クラン“竜の牙”の冒険者達にすんなりと受け入れられる。そして来春の建国の儀に併せて、ゴルティニア王国では騎士団も創設される。そこにゲランと仲間達は当然加わることになる。
 彼は「俺が騎士になるのか」と戸惑いながらも、少し嬉しそうだった。

 来年の春も早い時期、そう二月には建国の儀と、シルヴェスター王子とユーリス=バンクールの結婚式が挙げられる。
 ユーリスの父で、バンクール商会長ジャクセンは、いかなる伝手を使ったのか、個人で“遠話魔道具”を入手していた。入手が非常に困難だと言われている“遠話魔道具”を、彼が大枚はたいて入手したのは、愛息子で遠い国へ渡っていったユーリスの身を案じてのことだろう。
 父ジャクセンは、ユーリスの挙式について一つ注文を付けて来た。

「シルヴェスター王子殿下が新騎士団の制服を着なさって挙式へ臨まれるなら、お前は私達の方で用意する衣装を着て臨んで欲しい」

「はい」

 ユーリスはあっさりと頷き、父の望みを叶えることにした。
 建国の式典に参列する国王並びにその部下達は全員、新設される騎士団の制服を纏うことになっている。当然、シルヴェスター王子も騎士団の礼装姿だ。白を基調に、金の飾りがつくそれをまとう、黄金の髪に碧い瞳のシルヴェスターは、すらりとした長身に整った顔立ちも相まって、まさしく王子様然としていた。……実際、彼は王子なのだが。

 建国の儀に際して、シルヴェスターは母国ラウデシア王国の王族から離脱し、国王として即位するダンカンの養子に入る。一度王族を抜けたとしても、またしても新しい王族に加わり、王子となる。そして建国の儀から引き続いて行われる婚姻の儀で、ユーリスを伴侶として迎える。
 
 めでたいこと続きだと、シルヴェスター王子は機嫌も良かった。

 そしてユーリス自身も、シルヴェスター王子と自分が婚姻出来るという事実に、未だにふわふわとした夢の中にいるような心地があった。




 五年前、突如、自分の目の前から姿を消した愛しの王子だった。
 それまで、短い間ではあったけれど、恋人として睦み合った時間があったからこそ、彼を失った痛みは大きくて、立ち直るまでには長い時間を要した。

 どんなに探しても見つからず、諦めなければならないと思いながらも忘れることなど出来ず。
 そうした中で、彼の伝言を伝えに来た弟王子アルバート。

「いつか、必ず会いに行く」

 その伝言の言葉を聞いた時、喜びや嬉しさよりも、シルヴェスター王子に対する怒りが湧いたものだった。

 これ以上、もう待ちたくないから、自分からシルヴェスター王子に会いに旅立った。
 再会して、未だに彼が自分への変わらぬ感情を持っていることを知った時の喜び。胸を衝き上げるような強い想いだった。その感情は体の隅々まで爆発的な勢いで広がり、自分を包みこんでいった。

 きっとあの時の喜びの感情を、自分は一生忘れられないだろうと思う。


 その彼と婚姻できるのだ。
 それまでの苦労を思えば、未だに夢のように思えることも当然だった。


「キュウゥゥゥゥゥゥゥ」

 そして胸元に飛び込んでくる小さな黄金色の竜の雛。
 大好きなウェイズリー。
 彼ともこれから先、ずっと共に過ごすことになる。




 何故かユーリスの周囲の人々は(黄金竜とシルヴェスター王子が“同化”していることを知っている者は、クラン長ダンカンやフィア、父ジャクセンとその妻といった限られた者だけだったが)、黄金竜の雛がシルヴェスター王子と“同化”していることを知ると、「本当に大丈夫なのか?」と心配するように尋ねてくる。別に心配することなど何一つない。

 ユーリスは小さな黄金竜の雛ウェイズリーのことが大好きで、今ではこの小さな竜がそばにいない生活など考えられなかった。黄金竜の雛が、愛しい王子と“同化”したことだって、ユーリスがウェイズリーに「王子の命を助けて欲しい」と望んだから、したことなのだ。竜と王子の“同化”を厭うことなどあり得なかった。

 婚姻によって、シルヴェスター王子だけではなく、黄金竜ウェイズリーとも結びつけられる。






 その事実の持つ意味を、ユーリスはまだよく理解していなかった。
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