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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第九章 蝶の夢(上)
第十話 大言壮語を吐く小さな黄金竜(下)
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北東の国プトレイセンからの国民の流出問題については、飢饉の時の対応を含め条約を締結することでとりあえずは収めたが、火種は他にもあるとの報告を受けていた。
ゴルティニア王国が旧カリン王国の領土を併合するに際して、プトレイセン近くの土地を併合した時の手続きに不備があると言い始めたのだ。
つまり、プトレイセン王国は、プトレイセン王国から流出した国民がいるその付近の土地を、ゴルティニア王国が割譲しろと暗に言っている。それを聞いたシルヴェスター国王は当然のことながら、それを認めず、これ以上の申し立ては、宣戦布告であると言い放ち、プトレイセン王国からきた使者を蒼白にさせ、震えあがらせていた。
シルヴェスターは、ユーリスに言った。
「ウェイズリーの話に乗ってしまいたい自分がいる」
黄金竜ウェイズリーが、ユーリスの膝の上で「大陸の各地に私とお前の子が散らばれば、この大陸全土も支配が可能だぞ」と大言壮語を放った時のことを言っているのだ。
ユーリスはシルヴェスターの顔を笑いながら見つめた。
「でも、そんなことがお出来にならないことは貴方もよくお分かりでしょう」
「ああ」
シルヴェスターも理解している。そんなことは出来ないし、してはならない。
黄金竜がたとえ神の如し強力な力を持っていたとしても、それで全人類を支配することが正しいことだとは、シルヴェスターも思わなかった。それに、このゴルティニア王国一国でさえ、国王の仕事に追われる日々なのである。その仕事の範囲が大陸全てになってしまっては、国王の仕事量たるは想像も出来ないものになる。そして黄金竜は永遠に等しい時間を生きる。永遠に大陸全土を治める? 心の底から勘弁して欲しかった。
養親のダンカンと、クランの仲間達と作ったこのゴルティニア王国に対して、シルヴェスターは愛情にも似た想いを抱いている。この国に住む国民には誰一人不幸になって欲しくない。幸せな気持ちで毎日を送って欲しい。そのためには、シルヴェスターは身を粉にして国の為に働くつもりだった。
そしてユーリスもシルヴェスターのその気持ちを、よく理解しているはずだった。
口元に微笑を浮かべて見つめているユーリスの頬に手をやり、そっと口づけた。
自分の想いをユーリスはよく理解している。そして意を汲んで彼は動いてくれる。
これ以上ないくらいふさわしい伴侶だった。
「ダンカンから、お前にはよくよく感謝するようにと言われた」
シルヴェスターがそう言うと、ユーリスはまた笑って、今度はシルヴェスターの唇に音を立てていささか乱暴に口づける。
「陛下に感謝して頂けるなんて、まこと光栄です」
わざとらしく、シルヴェスターが嫌う“陛下”という呼び方を使うユーリス。それにシルヴェスターは「こいつ」と言って、彼もまた笑いながらユーリスの肩を寝台に押し倒し、二人してクスクスと笑いながら口づけを交わし合い、いつものように互いの服を脱がし、また寝台を軋ませながら、優しく愛し合ったのだった。
ゴルティニア王国が旧カリン王国の領土を併合するに際して、プトレイセン近くの土地を併合した時の手続きに不備があると言い始めたのだ。
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シルヴェスターは、ユーリスに言った。
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黄金竜ウェイズリーが、ユーリスの膝の上で「大陸の各地に私とお前の子が散らばれば、この大陸全土も支配が可能だぞ」と大言壮語を放った時のことを言っているのだ。
ユーリスはシルヴェスターの顔を笑いながら見つめた。
「でも、そんなことがお出来にならないことは貴方もよくお分かりでしょう」
「ああ」
シルヴェスターも理解している。そんなことは出来ないし、してはならない。
黄金竜がたとえ神の如し強力な力を持っていたとしても、それで全人類を支配することが正しいことだとは、シルヴェスターも思わなかった。それに、このゴルティニア王国一国でさえ、国王の仕事に追われる日々なのである。その仕事の範囲が大陸全てになってしまっては、国王の仕事量たるは想像も出来ないものになる。そして黄金竜は永遠に等しい時間を生きる。永遠に大陸全土を治める? 心の底から勘弁して欲しかった。
養親のダンカンと、クランの仲間達と作ったこのゴルティニア王国に対して、シルヴェスターは愛情にも似た想いを抱いている。この国に住む国民には誰一人不幸になって欲しくない。幸せな気持ちで毎日を送って欲しい。そのためには、シルヴェスターは身を粉にして国の為に働くつもりだった。
そしてユーリスもシルヴェスターのその気持ちを、よく理解しているはずだった。
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自分の想いをユーリスはよく理解している。そして意を汲んで彼は動いてくれる。
これ以上ないくらいふさわしい伴侶だった。
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