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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第十章 蝶の夢(下)
第十三話 王城にて(中)
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シルヴェスターが伴侶ユーリスの記憶を失って、一年近くが経とうとしていた。
何故か、シルヴェスターの伴侶のユーリスは再びゴルティニア王国の王城に現れることはなかった。白銀竜達は、ユーリスがシルヴェスターを取り戻しにくるかと思っていたのに、拍子抜けである。
シルヴェスターのそばに、ユーリスがいない。
だから白銀竜エリザヴェータは、弟のコンラートともにシルヴェスターのそばに居続けることにした。
シルヴェスターの息子ルドガーは、二人が約束を破って留まり続けることを強く批判したが、ルドガーの反対は容易に抑え込める。
ルドガーが愛してやまない祖父ジャクセンを、生き返らせることの出来る鍵を、白銀竜達が握っていたからだ。その代償を支払うことが出来るのは、白銀竜達だけだった。だからルドガーは、白銀竜達に逆らうことが出来ない。
最初は、本当に、一月の間だけ、黄金竜の王の元に仕えることが出来れば良いと思っていた。
ゴルティニア王国を統べる若く美しい王、シルヴェスター。
その彼に仕えることが出来て、心から嬉しく思った。
そう。エリザヴェータは一目、シルヴェスターと会った時から、彼に心を奪われていた。
それは白銀竜が、黄金竜のために生まれ、黄金竜のために働き、黄金竜を愛するように作られたせいなのだろう。弟のコンラートも、黄金竜ルドガーの愚かさを笑いながらも、ルドガーのことを想っている様子がある。
白銀竜とは、そういう生き物なのだ。
諦めにも似たその思いがある。
どれほど恋い焦がれても、愛し求めても、彼らは応えてくれない。
エリザヴェータもコンラートも、そのことを分かっている。
過去にも愛した黄金竜に疎まれた結果、長い間封印されてしまったこともあるのだから。
現に今も、シルヴェスターはエリザヴェータの想いに応えてくれることはない。
決して、想いが叶うことの無い切なさと同時に、自分の呪わしいほどのこの想いが嫌になる。好きになってはいけないと思いながらも、想うように作られたこの身。
呪わしい、呪わしい、呪わしい
そう呪詛のように自分の身の厭わしさを思いながらも、自分から死ぬことすら許されない。
だって、白銀竜は黄金竜のために作られた生き物だから。
自分で死ぬことすら許されぬ呪われた生き物だということを、誰が知っているだろうか。
何故か、シルヴェスターの伴侶のユーリスは再びゴルティニア王国の王城に現れることはなかった。白銀竜達は、ユーリスがシルヴェスターを取り戻しにくるかと思っていたのに、拍子抜けである。
シルヴェスターのそばに、ユーリスがいない。
だから白銀竜エリザヴェータは、弟のコンラートともにシルヴェスターのそばに居続けることにした。
シルヴェスターの息子ルドガーは、二人が約束を破って留まり続けることを強く批判したが、ルドガーの反対は容易に抑え込める。
ルドガーが愛してやまない祖父ジャクセンを、生き返らせることの出来る鍵を、白銀竜達が握っていたからだ。その代償を支払うことが出来るのは、白銀竜達だけだった。だからルドガーは、白銀竜達に逆らうことが出来ない。
最初は、本当に、一月の間だけ、黄金竜の王の元に仕えることが出来れば良いと思っていた。
ゴルティニア王国を統べる若く美しい王、シルヴェスター。
その彼に仕えることが出来て、心から嬉しく思った。
そう。エリザヴェータは一目、シルヴェスターと会った時から、彼に心を奪われていた。
それは白銀竜が、黄金竜のために生まれ、黄金竜のために働き、黄金竜を愛するように作られたせいなのだろう。弟のコンラートも、黄金竜ルドガーの愚かさを笑いながらも、ルドガーのことを想っている様子がある。
白銀竜とは、そういう生き物なのだ。
諦めにも似たその思いがある。
どれほど恋い焦がれても、愛し求めても、彼らは応えてくれない。
エリザヴェータもコンラートも、そのことを分かっている。
過去にも愛した黄金竜に疎まれた結果、長い間封印されてしまったこともあるのだから。
現に今も、シルヴェスターはエリザヴェータの想いに応えてくれることはない。
決して、想いが叶うことの無い切なさと同時に、自分の呪わしいほどのこの想いが嫌になる。好きになってはいけないと思いながらも、想うように作られたこの身。
呪わしい、呪わしい、呪わしい
そう呪詛のように自分の身の厭わしさを思いながらも、自分から死ぬことすら許されない。
だって、白銀竜は黄金竜のために作られた生き物だから。
自分で死ぬことすら許されぬ呪われた生き物だということを、誰が知っているだろうか。
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