転生したら竜でした。が、マスターが性的に俺の上に乗っかろうとしています。

曙なつき

文字の大きさ
698 / 711
外伝 その王子と恋に落ちたら大変です  終章

第一話 白銀竜の魔法の継承者

しおりを挟む
 白銀竜の姉弟に記憶を改竄されたシルヴェスターは、自分の記憶の全てを取り戻していたが、それでもここ一年の記憶には少しばかり混乱があった。
 ユーリスが、シルヴェスターのその混乱している記憶の部分を一つずつ、一緒に修正しようとしてくれる。そのことがシルヴェスターには非常に有難かった。

 そして、白銀竜エリザヴェータに半壊させられた空中城。
 黄金竜ウェイズリーは、空中城の惨状を目にして、それをしたエリザヴェータに対して怒り狂っていた。「キュルキュルキュイキュイキュルゥ!!(あの女は、罰してから珠にしてやるべきだった!!)」と言っていた。
 しかし、空中城を半壊させた白銀竜はもうこの世にはいない。
 怒りながらも、黄金竜ウェイズリーは自分の手で空中城の修復をするしかなかった。
 ※なお、白銀竜達に封印されていた黄金竜ウェイズリーは、白銀竜エリザヴェータが珠になったところで解放され、自由になっていた。

 一通り空中城の修復が終わると、小さな黄金竜の姿になったウェイズリーは、番のユーリスの胸元に飛び込んで、胸元に頭を擦りつけ、「キュルゥキュルキュルキュルゥ(いっぱい働いたから疲れた。ユーリス労わってくれ)」と甘えて鳴いている。
 その様子を見て、黄金竜ウェイズリーの中のシルヴェスターは呆れ(このエロ竜が!!)と思っていたが、ユーリスはウェイズリーに甘えられるのが嬉しいようで、ぎゅっとウェイズリーの小さな身体を抱きしめている。それどころか、ウェイズリーの頭頂に優しく口づけを落として、ウェイズリーを有頂天にさせていた。

 小さな黄金竜ウェイズリーが、再び現れるようになって、喜んでいた者がもう一人いた。
 ユーリスの副官セリムだった。

 彼は、シルヴェスターが小さな黄金竜ウェイズリーに姿を変えて現れたのを見た時、号泣した。
 そう。文字通り、号泣してダンと勢いよく両膝を床についていた。

「ヴォ……オォォ、ヴェイズリーが……ウェイズリーが生き返っで良かっだです!! 本当に、本当にあの時は申し訳ありませんでした!!」

 両手も激しく床について、頭を下に下にと下げる。

 そう。
 セリムが“結界の指輪”を指にはめることによって、生じた結界で、小さな黄金竜は魔法が使えなくなり、白銀竜エリザヴェータに噛み殺された一件を言っているのだ。
 黄金竜ウェイズリーは、頭を下げ、涙を滂沱と流し続けて謝罪しているセリムのそばまで飛んで行くと、こう言った。

「キュルキュルキュイキュイキュイキュルル(あれは私の鱗一枚に起きた出来事だ。気にするな)」

 寛大な黄金竜の言葉を、ユーリスが通訳すると、セリムはなおも泣いていた。

「それでも、私のせいで、私のせいで……申し訳ありません」

「大丈夫だよ、セリム」

 ユーリスもそう言って、小さな黄金竜を抱きしめながら、セリムに優しく言った。

「ウェイズリーもこうやって生きているから」

 ただ、セリムにはそう言っていたが、実際には白銀竜の攻撃によって小さな竜が鱗に戻された時、そこに注いでいた黄金竜ウェイズリーの力の何分の一かが、失われてしまっていた。鱗を戻したとしても、以前よりも力が落ちている。
 しかし、力が落ちているとはいえ、黄金竜である。他とは隔絶した能力の持ち主であることは変わらなかった。また時間をかけて、以前の強さを取り戻していくだろう。そのことにユーリスは不安はなかった。

 それに、ユーリスはウェイズリーとシルヴェスター以外には伝えていないことがあった。
 白銀竜の命の竜珠で復活したユーリス。
 そのせいか、ユーリスには白銀竜の能力が移行していた。

 力の落ちてしまった黄金竜ウェイズリーのそばに、白銀竜の能力を持つユーリスがいるのである。
 他者からの攻撃を恐れる必要は、まったくなくなっていた。

 シルヴェスターは、ユーリスが白銀竜の持つ魔法を使えるようになったと聞いた時、正直驚いた。
 バンクール商会の嫡子として育ったユーリスは、どれほどの美貌、財を持っていたとしても平民であり、彼には生まれつき魔力が無かった。その彼が、白銀竜の竜珠による復活で、その身に魔力を帯び、魔法属性も持つようになったのだ。
 まったく期待していない新しい能力が、ユーリスの身に、にわかに降って来たといっても良いだろう。

 だがユーリスは「魔法を使わなくても、今まで困らなかったですから」と言って、しいて魔法を使おうとしていなかった。シルヴェスターは、ユーリスが魔法を使わないことには、理由があると感じていた。

 白銀竜の魔法
 その中には、他者の精神を支配する魔法も含まれる。
 ユーリスは、その魔法の力を忌んでいた。

 それはそうだろう。あれほどユーリスはひどい目に遭ったのだ。
 自分と同じ目に、その魔法によって他者を遭わせようとは考えないはずだ。

 しかし、魔法はひどく便利なものであり、自分の身を守るためにも、魔法の使い方を学んだ方が良い。
 今は到底、使う気にはなれないだろうが、ゆくゆくはユーリスには魔法の使い方を覚えてもらい、使えるようになって欲しいとシルヴェスターは考えていた。

 復活したユーリスに、時間は十分にあるのだから。これから先、気が変わることも十分考えられるし、魔法の能力を使いこなすための時間も十分あるのだ。

 そして今度は決して、ユーリスの身にいかなる危険も生じないよう、黄金竜ウェイズリーもシルヴェスターも厳重に備えることにした。
 (シルヴェスターと黄金竜ウェイズリーは、前回の教訓から、結果的に番の身を危険にさらしてしまった“融合”は二度としないと決意していた。そのため相変わらず二つの精神が、一つの肉体の中に収まる奇妙な状態が続いていた)

 シルヴェスターもウェイズリーも、番のユーリスの身に数多くの“金色の芽”をまとわせ、かつ今度は自分達の力によってユーリスに“黄金竜の加護”を授けた。

 そしてまた、寝台の上で睦み合いながらも、彼らはユーリスの下腹に、再び呪いの言葉を刻んだ。
 ユーリスの呆れの眼差しを受けながらも、結局シルヴェスターも、黄金竜ウェイズリーも、そうすることを止めることは出来なかった。

 ユーリスの真っ白い肌の上に刻まれた竜の古い呪いの言葉。

『この者、黄金竜の番なり。何人たりとも、手を出すことなかれ』

 溺れるように、シルヴェスターも、黄金竜の男も、番の青年を愛し続けていた。
 そして番の青年もまた、困ったように笑いながらも、溢れるほどの彼らの愛を受け止めるのだった。
しおりを挟む
感想 276

あなたにおすすめの小説

腐男子♥異世界転生

よしの と こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、カクヨムさん、Caitaさんでも掲載しています。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

「隠れ有能主人公が勇者パーティから追放される話」(作者:オレ)の無能勇者に転生しました

湖町はの
BL
バスの事故で亡くなった高校生、赤谷蓮。 蓮は自らの理想を詰め込んだ“追放もの“の自作小説『勇者パーティーから追放された俺はチートスキル【皇帝】で全てを手に入れる〜後悔してももう遅い〜』の世界に転生していた。 だが、蓮が転生したのは自分の名前を付けた“隠れチート主人公“グレンではなく、グレンを追放する“無能勇者“ベルンハルト。 しかもなぜかグレンがベルンハルトに執着していて……。 「好きです。命に変えても貴方を守ります。だから、これから先の未来も、ずっと貴方の傍にいさせて」 ――オレが書いてたのはBLじゃないんですけど⁈ __________ 追放ものチート主人公×当て馬勇者のラブコメ 一部暗いシーンがありますが基本的には頭ゆるゆる (主人公たちの倫理観もけっこうゆるゆるです) ※R成分薄めです __________ 小説家になろう(ムーンライトノベルズ)にも掲載中です o,+:。☆.*・+。 お気に入り、ハート、エール、コメントとても嬉しいです\( ´ω` )/ ありがとうございます!! BL大賞ありがとうございましたm(_ _)m

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

【本編完結】異世界で政略結婚したオレ?!

カヨワイさつき
BL
美少女の中身は32歳の元オトコ。 魔法と剣、そして魔物がいる世界で 年の差12歳の政略結婚?! ある日突然目を覚ましたら前世の記憶が……。 冷酷非道と噂される王子との婚約、そして結婚。 人形のような美少女?になったオレの物語。 オレは何のために生まれたのだろうか? もう一人のとある人物は……。 2022年3月9日の夕方、本編完結 番外編追加完結。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

処理中です...