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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 終章
第二話 小さな黄金竜の娘の誕生
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白銀竜がいなくなり、ユーリスが竜珠によって蘇ったところで、ユーリスの産んだ小さな竜の卵はピシリピシリとヒビが入り、とうとう卵から雛が孵る時がやってきた。
まるでこの小さな卵の中の竜には、卵を取り巻く状況が安全になったと理解出来ているかのように、ユーリスとシルヴェスターの前で卵は割れ、中から小さな小さな黄金竜の雛が飛び出してきた。
飛び出してきて、やはり「キュイキュイキュルルルゥゥ」と甘えて鳴きながら、ユーリスの胸元にしっかりとしがみつく。
前回の反省(?)から、今回、新たなユーリスの子である小さな黄金竜の誕生の場には、シルヴェスターが立ち会い、場合によってはウェイズリーはずっと引っ込んでいることになっていた。前回は、長男ルドガーと、父であるウェイズリーが、ユーリスの胸元の座をかしましく争い、大層面倒くさい状況になったからだ。
ユーリスの胸元にしがみつくことに固執していない、もう一人の父親であるシルヴェスターなら、まともに常識を弁えた対応をしてくれるはず。そういう期待がユーリスにはあった。
生まれたばかりの小さな黄金竜の雛は、ユーリスの胸元で甘えて鳴き続ける。
どこか優しい声と雰囲気に、ユーリスは小さな竜をそっと優しく撫でながら言った。
「女の子の竜かな。可愛い」
「キュルゥキュルキュルゥ」
小さな竜はコクコクと頷いたので、どうやら女の子の竜で間違いないらしい。
「可愛いな」
シルヴェスターもそう言うと、なんとその小さな竜は今度はシルヴェスターの胸元に飛んでいって、シルヴェスターの胸に頭を擦りつけている。
それにはシルヴェスターも笑顔になっていた。
「いい子だな」
「そうですね。いい子です」
ユーリスにべったり張り付いて離れず、常にウェイズリーと張り合っていた長男ルドガーとは大違いである。
これなら、黄金竜ウェイズリーとも仲良くしてくれるのではないかと、ユーリスはシルヴェスターに、黄金竜ウェイズリーにその身を代わってもらう。小さな竜は、目の前に現れた父である黄金竜ウェイズリーのそばまで、トテトテと、テーブルの上を歩いて近づいていく。それから、黄金竜ウェイズリーの前で挨拶するかのように「キュルキュルキュルゥゥ」と甘えて鳴いた。
同じく小さな黄金竜の姿に変わっていたウェイズリーは、びっくりしたように金色の目を瞠り、「キュッキュッキュルルルルルルゥゥゥゥゥゥ(こ、これが私の娘か!! 我が娘よ!!)」と妙に感動して、小さな黄金竜の娘にしがみついて、ぐりぐりと頭を押し付けていた。
前回(?)とは大違いの、仲良し親子の様子に、ユーリスも、黄金竜ウェイズリーの中のシルヴェスターも内心ホッと安堵していた。そしてユーリスは、二頭に瑞々しい果物を剥いてやり、仲良く食べさせてやる。二頭とも、ユーリスが給餌してくれるのを待つかのように、パックリと口を開けてユーリスの前で立って待っている。
しかし一方で、ウェイズリーの中のシルヴェスターは二頭のその様子を見てこうも思っていた。
(ウェイズリーはまったく、生まれたばかりの子と同じような反応で、こいつは生まれてから全然成長していないということではないか)
二頭仲良く、ユーリスから貰った果物を、シャクシャクと食べている。その口元から零れる果汁をユーリスは甲斐甲斐しく拭いている。
ユーリスは楽しそうであり、嬉しそうだった。
その様子を見て、(まぁ、突っ込むのは止めておこう)と思うシルヴェスターであった。
新たに生まれたユーリスと黄金竜ウェイズリー、そしてシルヴェスターの子は、アリアナと名付けられ、それから空中城の人々に大層可愛がられることになるのだった。
まるでこの小さな卵の中の竜には、卵を取り巻く状況が安全になったと理解出来ているかのように、ユーリスとシルヴェスターの前で卵は割れ、中から小さな小さな黄金竜の雛が飛び出してきた。
飛び出してきて、やはり「キュイキュイキュルルルゥゥ」と甘えて鳴きながら、ユーリスの胸元にしっかりとしがみつく。
前回の反省(?)から、今回、新たなユーリスの子である小さな黄金竜の誕生の場には、シルヴェスターが立ち会い、場合によってはウェイズリーはずっと引っ込んでいることになっていた。前回は、長男ルドガーと、父であるウェイズリーが、ユーリスの胸元の座をかしましく争い、大層面倒くさい状況になったからだ。
ユーリスの胸元にしがみつくことに固執していない、もう一人の父親であるシルヴェスターなら、まともに常識を弁えた対応をしてくれるはず。そういう期待がユーリスにはあった。
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どこか優しい声と雰囲気に、ユーリスは小さな竜をそっと優しく撫でながら言った。
「女の子の竜かな。可愛い」
「キュルゥキュルキュルゥ」
小さな竜はコクコクと頷いたので、どうやら女の子の竜で間違いないらしい。
「可愛いな」
シルヴェスターもそう言うと、なんとその小さな竜は今度はシルヴェスターの胸元に飛んでいって、シルヴェスターの胸に頭を擦りつけている。
それにはシルヴェスターも笑顔になっていた。
「いい子だな」
「そうですね。いい子です」
ユーリスにべったり張り付いて離れず、常にウェイズリーと張り合っていた長男ルドガーとは大違いである。
これなら、黄金竜ウェイズリーとも仲良くしてくれるのではないかと、ユーリスはシルヴェスターに、黄金竜ウェイズリーにその身を代わってもらう。小さな竜は、目の前に現れた父である黄金竜ウェイズリーのそばまで、トテトテと、テーブルの上を歩いて近づいていく。それから、黄金竜ウェイズリーの前で挨拶するかのように「キュルキュルキュルゥゥ」と甘えて鳴いた。
同じく小さな黄金竜の姿に変わっていたウェイズリーは、びっくりしたように金色の目を瞠り、「キュッキュッキュルルルルルルゥゥゥゥゥゥ(こ、これが私の娘か!! 我が娘よ!!)」と妙に感動して、小さな黄金竜の娘にしがみついて、ぐりぐりと頭を押し付けていた。
前回(?)とは大違いの、仲良し親子の様子に、ユーリスも、黄金竜ウェイズリーの中のシルヴェスターも内心ホッと安堵していた。そしてユーリスは、二頭に瑞々しい果物を剥いてやり、仲良く食べさせてやる。二頭とも、ユーリスが給餌してくれるのを待つかのように、パックリと口を開けてユーリスの前で立って待っている。
しかし一方で、ウェイズリーの中のシルヴェスターは二頭のその様子を見てこうも思っていた。
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その様子を見て、(まぁ、突っ込むのは止めておこう)と思うシルヴェスターであった。
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