異世界転移しても所詮引きこもりじゃ無双なんて無理!しょうがないので幼馴染にパワーレベリングして貰います

榊与一

文字の大きさ
54 / 165
王墓探索

第五十四話 アップルパイ

しおりを挟む
「おいしい!このアップルパイ凄くおいしいです!」

リンが2つ目のアップルパイを頬張りながら大絶賛する。
当然2つ目は俺から奪い取った物だ。
それすらもあっという間に完食し、羨ましそうな目で自分の分を口にしているフラムを見つめる。
普段は優しいフラムも、デザートの事になると冷徹な鬼と化す。
リンがどれ程懇願の眼差しを向けようとも、気にも留めず涼しい顔をしてデザートを平らげてしまうのだ。

「リンお代わり頼むか?」
「いいんですか!」

リンが目をキラキラ輝かせ聞いてくる。

リンにはダンジョンで頑張って貰わないと駄目だからな。

彩音は内気功の練習だか何だかで今は山籠もりしている為、今回の王墓探索には同行していない。
やばくなったら呼び出すつもりではあるが、しばらくはリンに頑張って貰う事になるだろう。

現在リンのレベルは126で、これに指輪の効果が加わると149になる。
うちのパーティーじゃ彩音に次ぐ堂々の第二位だ。
もっとも、彩音のレベルはリンの2倍以上だったりするわけだが……

俺の5倍以上とか笑えねーぜ。

因みに、レベルは新たに覚えた覗き見サーチで確認したもので、これがあれば敵の大まかな強さも把握できるため、ダンジョン探索にはかなり重宝しそうだ。
これ以外にも、セットしたトークンに転移できる目印転移トークンテレポートや、仲間を自分のもとに呼び寄せる呼び出しパーティーコール等、ダンジョン探索に役立ちそうなスキルを習得している。

「すいませーん。アップルパイ追加でもう一個お願いします」
「はーい、直ぐにお持ちしまーす」

エプロンを付けたニカが忙しそうに働きながら返事を返す。

ここは樫木邸のレストランスペースだ。
樫木邸はニカの言う通り、外観のお粗末さに比べて内装はしっかりしており、昨日出されたバララ蜥蜴の帝国風姿焼きは冗談抜きで最高の味だった。
この宿に辿り着けたのは本当にラッキーだったと言える。

「アップルパイお待ちどおさまー」

ニカが宣言通りアップルパイを直ぐに持ってきた。

よく働く子だな。

年齢はリンと同じ14歳。
まだまだ遊びたい年頃だろうに、勤勉に勤しむ少女に素直に感心する。
リンの方を見ると、テーブルに運ばれてきたアップルパイを必死に頬張っており、頬を膨らませもしゃもしゃ食べる姿はまるでハムスターだ。
とても同い年には見えず、思わず苦笑してしまう。

こんな無邪気にアップルパイに噛り付いてる子が、今やミノタウロスを一捻りできるぐらい強いと誰が思うだろうか。

ほんとアンバランスだよなぁ、リンは……

「御馳走様でした!」

リンがアップルパイを食べ終え、満足したのか満面の笑みで手を合わせて挨拶をする。

「飯も食い終わったし、王墓探索用の登録にいくか」
「リンちゃんいっぱい食べてたけど、お腹苦しくない?大丈夫?」
「はい!まだまだ食べれます!」

お前の胃袋は底なしか?そう言いかけたが、子供とは言え一応女の子なので言うのはやめておいた。
この年頃の女の子は特に扱いが難しいと聞く。
これからダンジョンに行くのに、メインにへそを曲げらでもしたら叶わんからな。

「お客さん達って、王墓に行かれるんですか?」
「まあ、そうだけど?」
「あ……あの、良かったら……あ、いえ何でもないです。頑張ってくださいね!」
「お……おう」

そう言うとニカは忙しそうに去っていく。

いったい何だってんだ?
少々気になるが、一々人の事情に首を突っ込んでいたら切りが無い。
どうしても伝えたい事があるのなら、そのうち言ってくるだろう。

「んじゃ行くか」
「はーい!」

俺達は席を立ち樫木邸を後にする。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...