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エルフの森からやってきた少女
第二十話 彩音依存症
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「エルフの森への救援ですか?」
ここはアルバート家の別邸だ。
リンがフラムを頼ってルグラント王国に来たと言うので、ここへ連れてきた。
「はい。森への被害が大きくて。このままじゃあ……」
「それはエルフ側からの正式な要請という事でしょうか?」
「あ…いえ、そういう訳では……」
どうやらリンは森の現状を憂いて勝手に飛び出して来たらしく、彼女の依頼はエルフ全体の総意ではないようだ。
「つまり個人的な御依頼であると?」
「そういう事になります……」
先程からティーエさんが淡々とリンに事実確認を行う。
明かにやる気がなさそうだ。
国からの正式な依頼じゃない上に、個人的に依頼を受けるメリットがティーエさんにはないもんなぁ……
彼女は聖女を目指している。
その為に多くの栄誉や名声を必要としてはいるが、それはあくまでも国内での話だ。
国交のないエルフの森を救うメリットは彼女にはない。
「申し訳ありませんが正式な要請でなければ、国や教会は動けません」
「で、でも、本当に大変なんです!」
「リン・メイヤーさん、貴方の故郷を思う気持ちは痛いほどわかります。ですが要請も受けていないのに国が勝手に動けば、最悪両国間で戦争にまで発展するかもしれません」
もっともな意見だ。
頼んでもないのに他所の国が大軍を送りつけたりしたら、そら問題になるわな。
戦争というのは少々大げさではあるが、問題が発生する可能性は高いと言える。
皆が皆、他人の善意を素直に受け止めるとは限らないのだから。
「ですので国からの救援は不可能です」
「そんな……」
「ですが、個人的な依頼ならば我々でお受けすることも可能かと」
え!?
ティーエさんの思わぬ一言に驚く。
正直、ティーエさんがこの仕事を引き受けるとは思わなかったからだ。
ティータの方を見ると彼も同意見だったらしく、明らかに驚いた顔をしていた。
「我々ならば貴方の望む働きを果たせると思います」
「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」
「ただ、私は2週間後に教会より拝命を控えている身ですので、仕事をお引き受けするのはその後という事になりますが、よろしいですか?」
「は、はい…」
返事に元気がない。不満がもろに声に出てしまっている。
今現在も被害が出続けてるわけだろうし、一刻も早く来て欲しいってのが本音だろう。
しかし頼みごとをしておいて、不満を含んだ返事をすれば相手から反感を買う事になるのだが、リンの年齢で処世術を求める方が酷というものか。
「ただ、たかしさんに頑張っていただけるんでしたら、もっと早くお引き受けすることも可能ですが」
「え?」
皆の視線が俺に集まる。
人に注目される事に慣れていないので、思わずおろおろしてしまう。
「たかしさん、申し訳ないのですが一足先にエルフの森に行って 帰還魔法で移動できるようにしておいて貰えませんか?」
ああ、成程。
帰還魔法で自由に行き来できる様にしておけば、2週間待つ必要が無いのか。彩音もいるし、森に行くだけなら楽勝だな。
「わかりました、行ってきます」
「たかしさんありがとうございます!!」
リンが満面の笑顔で力いっぱいお礼を言ってくる。
美少女に頼られるのは気持ちのいいものだ。
天にも昇る気分とは正にこの事。
「私は付いてはいけないが頑張れ」
は?
彩音がとんでもないことを言いだす。
「は?何で?」
「私は明日から一週間騎士団の強化訓練に付き合う事になってしまってな、訓練が終わり次第合流するから、その間頑張れ」
ティーエさんが俺に頑張って貰うと言った理由を理解する。
彩音の事情を知っていたのだろう。
気分が一気に天国から地獄に落とされる。
「たかしさん、私も御一緒します!3人で頑張りましょう!」
フラムは付いて来てくれるようだが、一抹の不安は拭えない。
道中、変な魔物が出て来ない事を祈るばかりだ。
しかし彩音がいないってだけで、こんなにも不安になるとは……
完全に彩音依存症である。
ここはアルバート家の別邸だ。
リンがフラムを頼ってルグラント王国に来たと言うので、ここへ連れてきた。
「はい。森への被害が大きくて。このままじゃあ……」
「それはエルフ側からの正式な要請という事でしょうか?」
「あ…いえ、そういう訳では……」
どうやらリンは森の現状を憂いて勝手に飛び出して来たらしく、彼女の依頼はエルフ全体の総意ではないようだ。
「つまり個人的な御依頼であると?」
「そういう事になります……」
先程からティーエさんが淡々とリンに事実確認を行う。
明かにやる気がなさそうだ。
国からの正式な依頼じゃない上に、個人的に依頼を受けるメリットがティーエさんにはないもんなぁ……
彼女は聖女を目指している。
その為に多くの栄誉や名声を必要としてはいるが、それはあくまでも国内での話だ。
国交のないエルフの森を救うメリットは彼女にはない。
「申し訳ありませんが正式な要請でなければ、国や教会は動けません」
「で、でも、本当に大変なんです!」
「リン・メイヤーさん、貴方の故郷を思う気持ちは痛いほどわかります。ですが要請も受けていないのに国が勝手に動けば、最悪両国間で戦争にまで発展するかもしれません」
もっともな意見だ。
頼んでもないのに他所の国が大軍を送りつけたりしたら、そら問題になるわな。
戦争というのは少々大げさではあるが、問題が発生する可能性は高いと言える。
皆が皆、他人の善意を素直に受け止めるとは限らないのだから。
「ですので国からの救援は不可能です」
「そんな……」
「ですが、個人的な依頼ならば我々でお受けすることも可能かと」
え!?
ティーエさんの思わぬ一言に驚く。
正直、ティーエさんがこの仕事を引き受けるとは思わなかったからだ。
ティータの方を見ると彼も同意見だったらしく、明らかに驚いた顔をしていた。
「我々ならば貴方の望む働きを果たせると思います」
「ほ、本当ですか!ありがとうございます!」
「ただ、私は2週間後に教会より拝命を控えている身ですので、仕事をお引き受けするのはその後という事になりますが、よろしいですか?」
「は、はい…」
返事に元気がない。不満がもろに声に出てしまっている。
今現在も被害が出続けてるわけだろうし、一刻も早く来て欲しいってのが本音だろう。
しかし頼みごとをしておいて、不満を含んだ返事をすれば相手から反感を買う事になるのだが、リンの年齢で処世術を求める方が酷というものか。
「ただ、たかしさんに頑張っていただけるんでしたら、もっと早くお引き受けすることも可能ですが」
「え?」
皆の視線が俺に集まる。
人に注目される事に慣れていないので、思わずおろおろしてしまう。
「たかしさん、申し訳ないのですが一足先にエルフの森に行って 帰還魔法で移動できるようにしておいて貰えませんか?」
ああ、成程。
帰還魔法で自由に行き来できる様にしておけば、2週間待つ必要が無いのか。彩音もいるし、森に行くだけなら楽勝だな。
「わかりました、行ってきます」
「たかしさんありがとうございます!!」
リンが満面の笑顔で力いっぱいお礼を言ってくる。
美少女に頼られるのは気持ちのいいものだ。
天にも昇る気分とは正にこの事。
「私は付いてはいけないが頑張れ」
は?
彩音がとんでもないことを言いだす。
「は?何で?」
「私は明日から一週間騎士団の強化訓練に付き合う事になってしまってな、訓練が終わり次第合流するから、その間頑張れ」
ティーエさんが俺に頑張って貰うと言った理由を理解する。
彩音の事情を知っていたのだろう。
気分が一気に天国から地獄に落とされる。
「たかしさん、私も御一緒します!3人で頑張りましょう!」
フラムは付いて来てくれるようだが、一抹の不安は拭えない。
道中、変な魔物が出て来ない事を祈るばかりだ。
しかし彩音がいないってだけで、こんなにも不安になるとは……
完全に彩音依存症である。
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