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第二章 希望を求めて
第四話 わんわんお!
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「なるほど。まさかあの封印の地からやってこられたとは……」
ジェームズはにわかには信じ難いといった表情だ。
何百年も前に閉ざされてしまった場所から来たと言われて、素直に信じる人間はいないだろう。
だからこそ嘘で誤魔化そうとしたのだが。
結局神様のうっかりで嘘が破綻したため、あの後神様関連の話だけを伏せて本当の事を説明する羽目になってしまった。
リンは神様の事を知らないし、これならもう余計なぼろは出ないだろう。
神様の事を伏せたのは、話すと胡散臭さが倍増する為だ。
話が壮大すぎるとキチガイだと思われかねない。
「ええ!だから私嘘はついてないんです!だから馬鹿じゃないんです!」
リンがちょっと怒ったように此方を睨んでくる。
どうやら馬鹿呼ばわりされた事で相当傷ついていたようだ。
まあ謝礼も入る事だし、リンには後でお詫びにお菓子でも買ってやるとしよう。
甘い者食わせりゃきっと機嫌も直る。たぶん。
「悪かった悪かった。後でお菓子買ってやるから許してくれ」
「え!?ほんとですか!約束ですよ!!」
大声で嬉しそうに叫び、さっきまで怒っていたのが嘘のようにニコニコしだす。
そんなリンを見て思う。
いくら何でもちょろすぎだ。
「という訳で俺達無一文なんですよ。さっきの謝礼の話も本当はしたくなかったんですけど、流石に右も左も分からない世界で無一文はきつすぎるんで、失礼は承知でお願いしたんです」
とりあえず、遠回しに金に困ってるからなんか儲け話無いかと聞いて見る。
謝礼がいくら包まれるかわからないが、暫く食うに困らない額は流石に貰えないだろう。
「なるほど……」
ジェームズは自分の顎に手をやり、少し考えこんだ後口を開く。
「もしよかったら仕事を一つ頼まれていただけないでしょうか?勿論報酬は弾みます」
おお!伝わった!
やったぜ!と内心ガッツポーズをする。
いかんいかん!喜ぶのは仕事の内容を聞いてからだ。
これで仕事内容が暗殺とかだったりしたら笑えない。
「あの、どういった内容の物か一応先に聞かせてもらっていいですか?」
「ええ、実は―――」
▼
「凄いですね、彼女」
「おつむが弱い分、体力は有り余ってますから」
ジェームズの感嘆の言葉に適当な答えを返しておく。
出鱈目に強いのがまさかバンパイアだからとは、口が裂けても言えない。
「たかしさーん!やっつけました!!」
三匹いたケルベロス全ての首を刎ね終えたリンが、右手を振りながら駆け寄って来る。
その顔は満面の笑顔だ。
14歳の子供がワン公の首刎ね飛ばして笑顔とか、超怖いんだが。
などとちょっと引きつつも。
俺は気分を切り替えて、駆け寄ってきたリンに労いの言葉をかけた。
「おう!御苦労さん。偉いぞリン」
「えへへ」
偉い偉いと褒めつつ、俺はリンの頭を撫でる。
恒例のアホ毛チェックだ。
俺はリンを褒めつつ、アホ毛が生えてきていないかを確認する。
よし、大丈夫だな。
保護者としては、アホ毛がいつか生えてくるんじゃないかと気が気でない。
そんなものが生えてきた日には、マーサさんに顔向けできなくなってしまう。
兆候が見当たらなかったので撫でるのを終了し、千里眼で森の中のケルベロスを探索する。
「ここから南に5匹の集団がいますね」
「便利な精霊ですね」
ジェームズはフローティングアイを精霊と呼ぶ。
どうやら外の世界では、召喚モンスターは精霊に分類されるらしい。
目玉の化け物が精霊とか夢も希望もあったもんじゃねぇ。
日本の子供に、ほーら精霊だよってこいつ見せたら絶対怯えるぞ。
まあハーピー辺りなら大人気かもしれんが。
「魔獣討伐に一月はかかると思っていたんですが、その精霊の力があればかなり早く終わりそうですよ」
今俺達はサンロイスの南に広がるエニルの森でケルベロス退治を行っていた。
元々この森に魔獣の類はいなかったらしいが。
マイケルの一軒で森に調査隊を送り込んだところ、かなりの数のケルベロスが住み着いている事が判明したため、急遽討伐体が編成され。
俺達も報酬に釣られてそれに参加しているというわけだ。
「お役に立てて良かったです」
「これなら最初に依頼した時の倍額は支払えそうですよ」
「まじっすか!」
やったぜ!
ジェームズ愛してるぅ!
「精霊による索敵とリンさんの戦闘能力。まさかここまで優秀な方達だとは夢にも思いませんでしたからね」
「助かります!」
「嫌そんな悪いですよ」と普段なら社交辞令を返す所だが、余りに嬉しすぎて思わずそのまま返事してしまう。
正直さっきまではちょっと怠い仕事だと思っていたが。
報酬倍なら話は別だ。
俄然やる気が出てきた!
「よーしリン!この調子でバンバンケルベロス狩るぞ!終わったらお菓子いっぱい買ってやるからな!」
「ほんとですか!!頑張ります!!!」
人間とは現金な物だ。
やる気を出した俺とリンはバンバンケルベロスを狩りまくり、本来一月程度を想定されていた掃討作戦は一週間で終わる事となる。
後、何かリンが犬っころ一匹拾ってきた。
ジェームズはにわかには信じ難いといった表情だ。
何百年も前に閉ざされてしまった場所から来たと言われて、素直に信じる人間はいないだろう。
だからこそ嘘で誤魔化そうとしたのだが。
結局神様のうっかりで嘘が破綻したため、あの後神様関連の話だけを伏せて本当の事を説明する羽目になってしまった。
リンは神様の事を知らないし、これならもう余計なぼろは出ないだろう。
神様の事を伏せたのは、話すと胡散臭さが倍増する為だ。
話が壮大すぎるとキチガイだと思われかねない。
「ええ!だから私嘘はついてないんです!だから馬鹿じゃないんです!」
リンがちょっと怒ったように此方を睨んでくる。
どうやら馬鹿呼ばわりされた事で相当傷ついていたようだ。
まあ謝礼も入る事だし、リンには後でお詫びにお菓子でも買ってやるとしよう。
甘い者食わせりゃきっと機嫌も直る。たぶん。
「悪かった悪かった。後でお菓子買ってやるから許してくれ」
「え!?ほんとですか!約束ですよ!!」
大声で嬉しそうに叫び、さっきまで怒っていたのが嘘のようにニコニコしだす。
そんなリンを見て思う。
いくら何でもちょろすぎだ。
「という訳で俺達無一文なんですよ。さっきの謝礼の話も本当はしたくなかったんですけど、流石に右も左も分からない世界で無一文はきつすぎるんで、失礼は承知でお願いしたんです」
とりあえず、遠回しに金に困ってるからなんか儲け話無いかと聞いて見る。
謝礼がいくら包まれるかわからないが、暫く食うに困らない額は流石に貰えないだろう。
「なるほど……」
ジェームズは自分の顎に手をやり、少し考えこんだ後口を開く。
「もしよかったら仕事を一つ頼まれていただけないでしょうか?勿論報酬は弾みます」
おお!伝わった!
やったぜ!と内心ガッツポーズをする。
いかんいかん!喜ぶのは仕事の内容を聞いてからだ。
これで仕事内容が暗殺とかだったりしたら笑えない。
「あの、どういった内容の物か一応先に聞かせてもらっていいですか?」
「ええ、実は―――」
▼
「凄いですね、彼女」
「おつむが弱い分、体力は有り余ってますから」
ジェームズの感嘆の言葉に適当な答えを返しておく。
出鱈目に強いのがまさかバンパイアだからとは、口が裂けても言えない。
「たかしさーん!やっつけました!!」
三匹いたケルベロス全ての首を刎ね終えたリンが、右手を振りながら駆け寄って来る。
その顔は満面の笑顔だ。
14歳の子供がワン公の首刎ね飛ばして笑顔とか、超怖いんだが。
などとちょっと引きつつも。
俺は気分を切り替えて、駆け寄ってきたリンに労いの言葉をかけた。
「おう!御苦労さん。偉いぞリン」
「えへへ」
偉い偉いと褒めつつ、俺はリンの頭を撫でる。
恒例のアホ毛チェックだ。
俺はリンを褒めつつ、アホ毛が生えてきていないかを確認する。
よし、大丈夫だな。
保護者としては、アホ毛がいつか生えてくるんじゃないかと気が気でない。
そんなものが生えてきた日には、マーサさんに顔向けできなくなってしまう。
兆候が見当たらなかったので撫でるのを終了し、千里眼で森の中のケルベロスを探索する。
「ここから南に5匹の集団がいますね」
「便利な精霊ですね」
ジェームズはフローティングアイを精霊と呼ぶ。
どうやら外の世界では、召喚モンスターは精霊に分類されるらしい。
目玉の化け物が精霊とか夢も希望もあったもんじゃねぇ。
日本の子供に、ほーら精霊だよってこいつ見せたら絶対怯えるぞ。
まあハーピー辺りなら大人気かもしれんが。
「魔獣討伐に一月はかかると思っていたんですが、その精霊の力があればかなり早く終わりそうですよ」
今俺達はサンロイスの南に広がるエニルの森でケルベロス退治を行っていた。
元々この森に魔獣の類はいなかったらしいが。
マイケルの一軒で森に調査隊を送り込んだところ、かなりの数のケルベロスが住み着いている事が判明したため、急遽討伐体が編成され。
俺達も報酬に釣られてそれに参加しているというわけだ。
「お役に立てて良かったです」
「これなら最初に依頼した時の倍額は支払えそうですよ」
「まじっすか!」
やったぜ!
ジェームズ愛してるぅ!
「精霊による索敵とリンさんの戦闘能力。まさかここまで優秀な方達だとは夢にも思いませんでしたからね」
「助かります!」
「嫌そんな悪いですよ」と普段なら社交辞令を返す所だが、余りに嬉しすぎて思わずそのまま返事してしまう。
正直さっきまではちょっと怠い仕事だと思っていたが。
報酬倍なら話は別だ。
俄然やる気が出てきた!
「よーしリン!この調子でバンバンケルベロス狩るぞ!終わったらお菓子いっぱい買ってやるからな!」
「ほんとですか!!頑張ります!!!」
人間とは現金な物だ。
やる気を出した俺とリンはバンバンケルベロスを狩りまくり、本来一月程度を想定されていた掃討作戦は一週間で終わる事となる。
後、何かリンが犬っころ一匹拾ってきた。
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