異世界転移しても所詮引きこもりじゃ無双なんて無理!しょうがないので幼馴染にパワーレベリングして貰います

榊与一

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第二章 希望を求めて

第四十六話 魔法国

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ルグラント魔法国。
ルグラントの最北部に位置するその国は、その名の示す通り魔法関連に特化した魔法大国だ。

この国が魔法大国足り得たのは、ひとえに神聖王国時代の遺産の賜物と言えるだろう。
神聖王国時代、魔法の研究施設はルグラント北部に集中していた。そのため分裂時、それら研究施設は当然そこを領土とする魔法国が取り込む事となる。

これにより、当時最先端の魔法技術は魔法国によって独占され。更にその研究を国を挙げて支援し発展させた事で、長い年月を経ても尚他国の追随を許さず。魔法技術という分野においては、ほぼ独走状態と言っていいだろう。


「車か……」

煉瓦で綺麗に舗装された道を車が走っていた。それはキャンピングカーの様な見た目をしており、明らかに自走している。

「魔導車ですね。私も見るのは初めてです」

フラムが口にした言葉、魔導車。
明らかに魔法の力で走っていそうな名だが、見た目はキャンピングカーと殆ど変わらない感じだ。

ひょっとしたらエネルギー源が違うだけで、原理は同じ様なものなのかも知れない。まあ、車がなぜ動くのかなんて俺は全く知らないから確認のしようはないが。

「おおきーい」

「本当、大きいねー」

魔導車が近くを通る度にケロがはしゃぎ、リンも初めて見る光景に目を白黒させ。一緒になってはしゃぐ。

「ありゃどうやって動いてんだ?」

「私も詳しくは知らないんですけど、魔石をエネルギー源として動いているらしいです」

「魔石使ってねぇ。人間ってのは本当に色んな物を作り出すもんだな」

ガートゥも興味深げに視線を送る。
外の世界でも魔石を使ったマジックアイテムは多くあったが、流石に自走する乗り物の様な物はなく。彼女にとっても魔導車は物珍しく映るのだろう。

「それで、どうします?」

「そうだな、まっすぐ向かおう」

ここは魔法大国の首都、マギアルム。
此処にはつい先程着いたばかりだ。
帝国や王国とはまた趣が違い、金属的な建物や、大きなショーウィンドウを壁にはめ込んだ様な建物もチラホラ見受けられた。

まだ時間的に余裕がある事から個人的には色々見て回りたい気もするが、さっさと目的地へと向かう事にする。

何故なら周りの視線が痛いから。先程から道行く人々の視線が刺さり、居た堪れない気持ちでしょうがない。

原因?それ勿論フラムに決まっている。
彼女の服装は兎に角目立つのだ。それも悪い方に。それはこの魔法大国に於いても変わらない。

彼女との付き合いはもうそこそこになるが、未だこの羞恥プレイには慣れなそうにない。
まあ別に慣れたくもないが。

兎に角、俺はこの生き恥に終止符を打つべく先を急ぎたい。だが周りの奴らは、そんな俺のナイーブな気持ちなど御構い無しに反対意見を口にする。

「まだ時間もある事ですし、色々見て回りませんか?」

「たかしさん!私ケーキが食べたいです!」

「パパー!ケーキ!ケーキ!」

く。この我儘さん共め。
無邪気な子供達を前に俺は大きく溜息を吐く。

「たく、しょうがねーなー。まあリンには頑張って貰ったからな。その御褒美だ」

帝国の首都カルディオンから、ここマギアルムまで馬車なら三週間近く掛かる距離がある。それをリンの飛行能力で無理をして半日程度で飛んで来て貰ったのだ。そのお陰で相当早くここに着く事が出来た。まあその分我慢してリン達に付き合うとしよう。

「やったあ!」

俺の声にリンが嬉しそうに飛び跳ねる。
喜びの余りかアホ毛がまるでヘリのプロペラの様にグルングルン高速で旋回し、風がすごい。今にも飛んで行ってしまいそうだ。

ていうかよく見ると足が地面に付いてない?!俺は慌ててアホ毛を掴んでその動きを制した。アホコプターとかマジやめろ。

「その代わりケーキ食ったら真っ直ぐ城に向かう。観光は無しだ、いいな」

「「はあい!」」

リンとケロが揃って元気よく手をあげる。
フラムは少し不満そうだが、そもそもこいつは勝手に付いて来ただけなので意見は無視して良いだろう。

俺達は街をぶらつきながら、其れらしき店を探す。そこでショーケースにケーキが綺麗に陳列された一件の店へと立ち寄る。
店内はオシャレなカフェにっており、中途半端な時間にもかかわらず席の多くは客で埋まっていた。どうやらそこそこ人気の店の様だ。

「5名様ですか。此方へどうぞ」

黒を基調とした白い天板のテーブル席。
その中央にはピンクの花が一輪活けてある。
俺達は案内されたそこに腰掛け、メニューを開く。

「このメニュー可愛いですね!」

言われてみれば確かにそうだ。
帝国や王国じゃ白黒の味気ない文字だけの物しか無かったが、ここのメニューにはカラフルなイラスト付きで商品が載っている。これも魔法技術の恩恵なのだろうか?

「御注文はお決まりでしょうか?」

清潔そうな白のシャツに、黒のベストとズボンをはいた店員さんが伺ってくる。ケーキやデザートを合わせると30種類近くあり、少し迷ったが無難にマロンケーキと紅茶のセットを頼む。「あ、それ私も目を付けてたんです!」とフラムも俺と同じものを頼んだ。

「俺はいらねーな」

そう言ってガートゥはコップの水を一気に呷る。彼女は光合成する為食事を基本必要としない。本当にエコな生き物だ。

「リンとケロはメニューどうする?」

「あ、私はもう決まってます」

「ケロもー」

リンもケロもメニューを殆ど見ていない。
外のショーケースに展示されてた物の中で気に入った商品でもあったのかと思ったが、その考えは非常に甘かった。ケーキだけに。

「ケーキとデザート全種類下さい!」

「ケロもケロもー」

アホか……
道理でメニュー見ねー訳だ。
そもそもそんなに一気に頼んでもテーブルのりきらねーよ。

だがそんな考えは杞憂に終わる。
ケーキをまるで一気飲みするかの如く腹に収める2人の前に敵はなかった。

回転寿司の様に皿が堆く積み上げられていく。
そして最後の皿が積み上げられた時……伝説と共に2周目が始まる。
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