92 / 174
内弟子物語 第Ⅴ話 ガン6
しおりを挟む
藤堂はちょっと間を取り、話した。
「えーっ」 全員、絶句した。ガンという病名の響きには一種の絶望感がつきまとう。だからこの言葉を聞いた時点で、みんなの気持ちは一気に沈んだ。悲痛な雰囲気がその場を支配した。この時点では、先ほど藤堂と話して心が落ち着く方向に向いている御岳の表情のほうが良い。全体を見ると、だれが病人か分からない雰囲気になっている。
「みんながびっくりするのは無理はない。しかし、御岳君の場合、ガンといっても悪性度は低く、しかもごく初期の段階だそうだ。だから医者も直接、御岳君に告知した。君たちも癒しを学んでいるから、その意味は分かるな」
藤堂は医者が本人の告知した意味を問いかけた。どこまで理解したか分からないが、一同、表情が少し和らいだ。
「…それで、これからどうするんですか?」
高山が尋ねた。御岳と会って一番日が浅いが、それだけに御岳の存在は大きく、今後のことが気になった。
「まず郷里に帰り、入院する。そこできちんと治療を受けることになっている。当然、無事退院するつもりでの入院だ。そして、その後はまたみんなと一緒に内弟子として修業したいとさっき聞いた。病気との戦い、しかもガンとの戦いになるが、御岳君もみんなの先輩として引っ張ってきた人だ。決して病気に遅れを取ることはないと信じている」
藤堂が言った。それは御岳に対してのメッセージも含まれている。御岳自身もそのことは十分分かった。この言葉で、ガンに立ち向かう意識が明確になり、表情にも変化が生じた。
「みんな、心配してくれてありがとう。今、先生がおっしゃったように、俺はこれからガンと戦う。幸い、十分治る見込みがあるので、それを信じてがんばる。最初に聞いた時は正直、自殺という言葉も頭の中に浮かんだ。でも、内弟子として培ってきた根性のようなものが俺を立ち直らせた。だから、この病気を必ず治して、またみんなと一緒に稽古したいと思う。2~3日準備して田舎に帰るけど、みんな、後はしっかりがんばってください」
御岳は背筋を正し、みんなの目を見てしっかりと話した。そこにはこれまでの落ち込んだ様子は微塵もなく、内弟子の長男格として立派な態度だった。
「分かりました。御岳さん、がんばってください」
「また、一緒に稽古したいので、絶対帰ってください」
「お見舞いに行きます」
口々に御岳を励ました。御岳はその心をしっかり受け止め、改めてガンと戦う勇気を得た。
「えーっ」 全員、絶句した。ガンという病名の響きには一種の絶望感がつきまとう。だからこの言葉を聞いた時点で、みんなの気持ちは一気に沈んだ。悲痛な雰囲気がその場を支配した。この時点では、先ほど藤堂と話して心が落ち着く方向に向いている御岳の表情のほうが良い。全体を見ると、だれが病人か分からない雰囲気になっている。
「みんながびっくりするのは無理はない。しかし、御岳君の場合、ガンといっても悪性度は低く、しかもごく初期の段階だそうだ。だから医者も直接、御岳君に告知した。君たちも癒しを学んでいるから、その意味は分かるな」
藤堂は医者が本人の告知した意味を問いかけた。どこまで理解したか分からないが、一同、表情が少し和らいだ。
「…それで、これからどうするんですか?」
高山が尋ねた。御岳と会って一番日が浅いが、それだけに御岳の存在は大きく、今後のことが気になった。
「まず郷里に帰り、入院する。そこできちんと治療を受けることになっている。当然、無事退院するつもりでの入院だ。そして、その後はまたみんなと一緒に内弟子として修業したいとさっき聞いた。病気との戦い、しかもガンとの戦いになるが、御岳君もみんなの先輩として引っ張ってきた人だ。決して病気に遅れを取ることはないと信じている」
藤堂が言った。それは御岳に対してのメッセージも含まれている。御岳自身もそのことは十分分かった。この言葉で、ガンに立ち向かう意識が明確になり、表情にも変化が生じた。
「みんな、心配してくれてありがとう。今、先生がおっしゃったように、俺はこれからガンと戦う。幸い、十分治る見込みがあるので、それを信じてがんばる。最初に聞いた時は正直、自殺という言葉も頭の中に浮かんだ。でも、内弟子として培ってきた根性のようなものが俺を立ち直らせた。だから、この病気を必ず治して、またみんなと一緒に稽古したいと思う。2~3日準備して田舎に帰るけど、みんな、後はしっかりがんばってください」
御岳は背筋を正し、みんなの目を見てしっかりと話した。そこにはこれまでの落ち込んだ様子は微塵もなく、内弟子の長男格として立派な態度だった。
「分かりました。御岳さん、がんばってください」
「また、一緒に稽古したいので、絶対帰ってください」
「お見舞いに行きます」
口々に御岳を励ました。御岳はその心をしっかり受け止め、改めてガンと戦う勇気を得た。
20
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
ツルギの剣
Narrative Works
青春
室戸岬沖に建設された海上研究都市、深水島。
舞台はそこに立つ女子校、深水女子高等学校から始まる。
ある日、深水女子高等学校の野球部に超野球少女が入部した。
『阿倍野真希』と呼ばれる少女は、ささいなことから本を抱えた少女と野球勝負をすることになった。
勝負は真希が勝つものと思われていたが、勝利したのは本の少女。
名前を『深水剣』と言った。
そして深水剣もまた、超野球少女だった。
少女が血と汗を流して戦う、超能力野球バトル百合小説、開幕。
※この作品は複数のサイトにて投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる