112 / 174
内弟子物語 第Ⅴ話 ガン26
しおりを挟む
機先を制された感じで、2人は余計に恐縮した。先ほどまでの少し浮かれた気分が、どこかに飛んでしまっていた。
「さっき御岳君が電話をくれてね。それで昨日の君たちのことを知ったんだ。まあ、うまく争いを避けたということなんで不問に付すが、御岳君も君たちのことを心配してたよ。…いかんな、病人に心配をかけるようじゃ」
藤堂は2人をしっかり見据えて言った。しかし、いつもの教えをきちんと聞いてくれたことに、内心嬉しく思っていた。
そういう話をしているところに龍田と松池がやってきた。
「聞いたよ、2人ともゲーセンで何かあったようだね」
龍田が妙に嬉しそうに言った。もともと喧嘩好きな性格なので、そういう話はすぐに乗ってくる。藤堂にしても、特に龍田には注意しているが、堀田の件が龍田の場合でなくて良かったことは幸いだと思っている部分もある。龍田の場合、すぐに手が出る可能性があるからだ。随分おとなしくなってはいるし、一応教えは聞いているようなので以前のようにすぐに手を出すことはないと思われるが、場の勢いということがある。
もっとも、そういう可能性を考慮して、松池と組ませて見舞いに行かせたわけだが、前回は今回のようなことはなかった。
その分、今回の話は龍田が変に意識していた。頭の中では自分の場合だったら、と考えているかもしれない。ここはもう一度、みんなにきちんと内弟子としての心得を説いておかなくてはならないと、藤堂は考えた。
「こら、龍田君。あおるようなことを言うんじゃない。2人とも、普段の言いつけを守って喧嘩はしていない。無用な争いを避けたことは、賢明だった。改めてみんなに言っとくが、喧嘩はいかなる理由があろうとも御法度だ。それに反する場合は内弟子を辞めてもらう。破門だ」
藤堂は喧嘩の道具にするために武道・武術を教えているのではない。その意味が分からない者には一切教えない、ということを改めて明言した。
その後、堀田の怪我のことなどを引合いに出し、喧嘩をした時、結果として相手に負傷させた時のことを考えさせた。その上で、その場合の社会人としての責任や、その取り方などについて重ねて説明した。
同時に、武の哲学はそもそも戦いの技術でありながら、実は不戦の意識が根底にあることを再度説いた。対極の位置関係となる両者をどう統合し、自分の生涯に活かしていくかが武道として学ぶべき大切なことであると強調した。
血気盛んな年頃で、武の表面に興味津々の段階ではなかなか理解しにくいということは藤堂にも分かっているが、だからこそ繰り返し説かなくてはならない。
4人とも黙ったまま、藤堂の話を聞いていた。
「さっき御岳君が電話をくれてね。それで昨日の君たちのことを知ったんだ。まあ、うまく争いを避けたということなんで不問に付すが、御岳君も君たちのことを心配してたよ。…いかんな、病人に心配をかけるようじゃ」
藤堂は2人をしっかり見据えて言った。しかし、いつもの教えをきちんと聞いてくれたことに、内心嬉しく思っていた。
そういう話をしているところに龍田と松池がやってきた。
「聞いたよ、2人ともゲーセンで何かあったようだね」
龍田が妙に嬉しそうに言った。もともと喧嘩好きな性格なので、そういう話はすぐに乗ってくる。藤堂にしても、特に龍田には注意しているが、堀田の件が龍田の場合でなくて良かったことは幸いだと思っている部分もある。龍田の場合、すぐに手が出る可能性があるからだ。随分おとなしくなってはいるし、一応教えは聞いているようなので以前のようにすぐに手を出すことはないと思われるが、場の勢いということがある。
もっとも、そういう可能性を考慮して、松池と組ませて見舞いに行かせたわけだが、前回は今回のようなことはなかった。
その分、今回の話は龍田が変に意識していた。頭の中では自分の場合だったら、と考えているかもしれない。ここはもう一度、みんなにきちんと内弟子としての心得を説いておかなくてはならないと、藤堂は考えた。
「こら、龍田君。あおるようなことを言うんじゃない。2人とも、普段の言いつけを守って喧嘩はしていない。無用な争いを避けたことは、賢明だった。改めてみんなに言っとくが、喧嘩はいかなる理由があろうとも御法度だ。それに反する場合は内弟子を辞めてもらう。破門だ」
藤堂は喧嘩の道具にするために武道・武術を教えているのではない。その意味が分からない者には一切教えない、ということを改めて明言した。
その後、堀田の怪我のことなどを引合いに出し、喧嘩をした時、結果として相手に負傷させた時のことを考えさせた。その上で、その場合の社会人としての責任や、その取り方などについて重ねて説明した。
同時に、武の哲学はそもそも戦いの技術でありながら、実は不戦の意識が根底にあることを再度説いた。対極の位置関係となる両者をどう統合し、自分の生涯に活かしていくかが武道として学ぶべき大切なことであると強調した。
血気盛んな年頃で、武の表面に興味津々の段階ではなかなか理解しにくいということは藤堂にも分かっているが、だからこそ繰り返し説かなくてはならない。
4人とも黙ったまま、藤堂の話を聞いていた。
20
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる