内弟子物語 ー捨てきれない夢、武術の究極「活殺自在」を求める5名の青春群像ー

藤堂慎人

文字の大きさ
134 / 174

内弟子物語 第Ⅵ話 誘い20

しおりを挟む
 2人の組手を見ていた黒田たちも、その瞬間は思わず声を上げた。もし当たっていたら、間違いなく大怪我したはずだ。遠くで見ている者にしてそう感じさせる技だったのだ。
 しかし、黒田たちにも面子がある。驚いた顔ばかりはしていられない。気を取り直して見続けるが、内心、穏やかでないものが込み上げてくる。その程度は人によって違うが、立っている姿に落ち着きがなくなっている。
 そういう黒田たちの変化を尻目に、龍田と高山の組手は続いた。
 さきほど不覚を取りそうになった龍田は、慎重に戦いを進めた。高山の攻撃を捌き、その隙をつこうという作戦にチェンジした。一見、龍田が防戦一方になっているように見えるが、龍田の実力が知っている高山は、おいそれと攻撃を連発できない。うかつな攻撃ではすぐに返されるのが分かっているからだ。
 高山も地味な動きになっていく。その状態でにらみ合いが続く。
 ただ、道場での稽古ではそれで良いが、今回の稽古は黒田たちへの牽制という意味も含んでいるので、このままでは良くない。そう考えた高山は、今度は自分から仕掛けた。
 飛び回し蹴りの大技である。以前、高山が金的を蹴って怪我をさせた時、堀田が使った技だ。今度はそれを高山が行なった。
 だが、ここではその時のような展開にはならなかった。龍田は身体を沈め、蹴りをかわしたのだ。高山は目標を失い、中途半端な感じで着地した。この時、隙ができた。
 龍田はこの機を逃さなかった。中段の短い、しかしパワフルな回し蹴りを出した。この時は背足で当てるのではなく、脛で当てている。これが見事に極った。高山は踏ん張ることができず、そのままダウンした。防具を着けていても、このタイミングで脛で蹴られたらかなり腹に響く。瞬間、高山は呼吸が止まる感じがして、すぐに立ち上がることはできなかった。文句なしの1本だ。
 この結末も黒田たちにショックを与えた。だが、ここまでやってきておめおめと引き下がっては示しがつかないとばかり、黒田がメンバーに渇を入れた。このグループでは黒田に次いで2番目に位置するのが北島だ。だから黒田は北島を指名し、代表してグループの意識の引き締めを図った。
「てめぇら。今の見て、びびってるのか? 北島、歯を食いしばれ!」
 そう言って、北島の頬を殴った。黒田にとっては精一杯の虚勢であったが、その様子を見ていた藤堂たちは、もう少し揺さぶれば大丈夫と、逆に余裕が出てきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

ツルギの剣

Narrative Works
青春
 室戸岬沖に建設された海上研究都市、深水島。  舞台はそこに立つ女子校、深水女子高等学校から始まる。  ある日、深水女子高等学校の野球部に超野球少女が入部した。  『阿倍野真希』と呼ばれる少女は、ささいなことから本を抱えた少女と野球勝負をすることになった。  勝負は真希が勝つものと思われていたが、勝利したのは本の少女。  名前を『深水剣』と言った。  そして深水剣もまた、超野球少女だった。  少女が血と汗を流して戦う、超能力野球バトル百合小説、開幕。 ※この作品は複数のサイトにて投稿しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

処理中です...