内弟子物語 ー捨てきれない夢、武術の究極「活殺自在」を求める5名の青春群像ー

藤堂慎人

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内弟子物語 第Ⅵ話 誘い25

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 堀田は最初に高山たちが持っているほうを割り、すぐに振り返って龍田が持っているブロックを割ることにした。こういう場合、連続して割るといっても、一旦呼吸を整え、間をおいて割ることが多いが、それでは一つだけ割っていることとあまり変わりがない。連続割という以上、その間の時間をいかに短くするかがポイントと考えていた。
 そのためには両ブロックとの間合いが重要になる。振り向きざまに割ることが前提なので、一般的に見られる間合いの取り方よりは狭くなる。技自体が肘を用いるため、突きや蹴りよりも短い間合いが必要になり、この状態で割ることができたならば、下手に後ろからかかっていっても、すぐに撃破されるであろう、という印象を植え付けることができる。黒田たちに対するアピール効果を考えてのことだが、試割としてはかなりの難易度であることは藤堂たちは理解していた。それだけに、成功してほしいと願いながら、所定の場所にブロックを配した。
 堀田はブロックの前で構えた。呼吸をはかり、一度だけゆっくりと実際に行う動きを確認した。肘を前方に鋭く放つ前猿臂だ。身体の使い方としては逆突きと同様で、前足とは逆側で当てる。反対側については足を踏みかえることはなく、身体の転身だけで行う。藤堂が教えている動きは、よく試合で演武される形に見られる、足を踏みかえて転身する動きは教えていない。実戦で必要な身体動作として、いかに素早く振りむけるかは大変重要な身体操作法と理解させ、その上で具体的な立ち方とその使い方を教えていたのだ。それが堀田がとった正整立ちであり、この意識から技を出そうというのだ。
 松池と同様、大きな声で気合を入れ、他の内弟子たちもそれに呼応したと思った瞬間、堀田が動いた。その瞬間、堀田の肘がブロックを通り抜けたように見え、きれいに割れた。すかさず振り向き、反対側のブロックも同様に割れた。呼吸を変えることなく、一呼吸で前後のブロックが粉砕され、割れたことだけでなく、そのスピードにみんな驚嘆した。手による技で動きが小さいために、より素早く見えるということはあるが、実際にも速かった。当初、堀田が狙った通り、背後から攻撃をしても無駄だ、ということの十分なアピールになった。松田の場合と同様、内弟子全員から大きな拍手が起きた。
 もう黒田たちも、驚嘆の表情を隠すことはできなかった。
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