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22.実行委員
しおりを挟む学園祭の準備が本格化してから一週間が経った頃、1年A組の教室は連日大忙しだった。
「メイド服の試着はいつにする?」
「装飾の材料、もっと必要だよ」
「メニューも決めないと」
クラスメイトたちが熱心に準備を進める中、ぼくは少し圧倒されていた。みんなの期待が大きすぎて、プレッシャーを感じてしまう。
「凛音、大丈夫?」
真白くんが心配そうに声をかけてくれた。
「うん……でも、みんなの期待に応えられるかな」
「絶対に大丈夫だよ。凛音なら」
そんな会話をしていると、教室の扉がノックされた。
「失礼します」
入ってきたのは、見たことのない美しい上級生だった。
長い黒髪に整った顔立ち、すらりとした体型。でも何より印象的だったのは、その堂々とした雰囲気だった。姉御肌というか、頼りがいのある美人という感じだ。
「学園祭実行委員の水瀬 天音だ。1年A組の皆、準備の調子はどうだい?」
クラス全体がざわめいた。学園祭実行委員——学園祭全体を取り仕切る重要な役職の人だ。
「あ、はい。順調に進んでいます」
クラス委員長が慌てて答える。
「そうか、それは良かった。たしかメイド執事喫茶だったな」
水瀬先輩の視線が、教室を見回す。そして、ぼくを見つけた瞬間、少し微笑んだ。
「ああ、君が噂の柊凛音か」
「あ、はい」
思わず立ち上がってしまった。
「君は学園祭実行委員会でも話題になっているよ」
「そうなんですか……」
「ああ。『1年A組のメイド喫茶には、とびきり可愛い坊やがメイドをやる』ってな」
クラスメイトたちがどよめいた。もう学園全体に知れ渡っているらしい。
「でも、実際に会ってみて……」
水瀬先輩が一歩近づいてくる。
「噂以上だな。こりゃ学園祭当日が楽しみだ」
その言葉に、頬が熱くなった。
「あの……」
「どうした?」
「プレッシャーで、少し不安なんです」
正直な気持ちを話すと、水瀬先輩の表情が優しくなった。
「そうだな。注目されすぎて、大変だろう」
「はい……」
「でも大丈夫だ」
水瀬先輩がぼくの肩に手を置いた。
「お前なら、きっと素敵なメイドになれる。私が保証してやる」
その力強い言葉に、心が軽くなった。
「ありがとうございます」
「それに、何か困ったことがあったら、いつでも実行委員会に相談しろ」
「はい」
「特に……」
水瀬先輩が声を小さくした。
「当日、客が殺到して対応しきれなくなったら、私たちがサポートする」
「お客さんが殺到?」
「ああ。確実にそうなる」
水瀬先輩が苦笑いを浮かべる。
「お前のメイド姿を見たい奴らで、教室が溢れかえるだろうからな」
クラスメイトたちが嬉しそうにざわめいた。
「それじゃあ、準備頑張れよ」
水瀬先輩が出て行こうとした時、ぼくは思わず声をかけた。
「あの、水瀬先輩」
「何だ?」
「お時間のある時に、学園祭のことについて色々と教えていただけませんか?」
「おう、もちろんだ」
水瀬先輩が振り返る。
「今度、実行委員会の部屋に来い。詳しく話してやる」
「ありがとうございます」
「じゃあな」
水瀬先輩が去った後、教室が興奮に包まれた。
「すごいじゃん、凛音」
「学園祭実行委員の人に気に入られたんだ」
「これで安心だね」
みんなの喜ぶ声を聞きながら、ぼくは少しほっとしていた。
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