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特別な人
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今日は今日本で人気実力共にトップの女性ピアニストがラベルのコンチェルトを弾く。
話題のコンサートチケットを取るために、親友のコネを使った。彼女には勉強になるだろう。
コンサートの休憩時間、彼女とフロアで飲み物を注文して飲んでいたら、声をかけられた。
「あら、黎。今日もこの人と一緒なの?」
腕を取って、自分の顔をのぞき込んでくる。蓮見静香。
蓮見商事の社長令嬢だ。蓮見商事は父の会社のグループ会社。父と蓮見商事の社長は昔からの知り合いだったので、子供同士も小さい頃から知り合いだ。
静香は双子で弟がいる。ふたりは学年でいえば、黎より一年年上だ。
「……静香。今日もって、お前」
「この間、オペラにもふたりでいたでしょ?目立ってたわよ。しかもあの席だとグループ内のチケットよね。ウチもお母様が取っていて、私一緒に行ってたのよ。席近いから気付くかと思ったのに、彼女のことばかり見て、気付かなかったの?」
嫌みたらしく言う。見られていたとは思わなかった。グループ内のチケットだからそういうこともあるだろう。
今日のチケットは実は蓮見に頼んだのだ。弟のほうに。蓮見商事が文化事業に熱心で協賛している。
百合が驚いて固まっている。
「ねえ、こちらどなたなの?黎が最近デートしてるのってあなたなのね?噂になってるのよ。自分から女性を誘うことのない黎が機嫌良く女性と出かけているらしいってね」
「……っ!」
黎は静香の腕を引っ張った。
「……おい、余計なことを言うな」
百合はふたりを交互に見ながら、一歩後ろへ下がった。
「あら、逃げなくてもいいじゃない。ねえ、黎。紹介してよ」
黎は、諦めて彼女を紹介した。
「栗原百合さん。ピアニストだ。うちの会社で音楽方面の支援事業を始めたんだ。そこの所属アーティストだ」
「私は蓮見静香。蓮見商事という会社の社長の娘よ。黎とは幼馴染なの」
「初めまして」
紹介された百合は小さな声で静香に挨拶をする。
「ピアニストなの?ごめんなさい、知らなかったわ。失礼ながら、まだあまり有名じゃないわよね?私、コンサートも結構行くけど、お見かけしたことないわ」
百合は青ざめた。黎は舌打ちして、静香をとがめた。
「失礼だぞ、静香。自分の知識がないくせに。彼女は去年のコンクールの受賞者だ。海外で最近まで凱旋リサイタルをして日本へ戻ってきたばかりだぞ。お前が知らないだけだ」
静香は悪びれもせず、舌を出した。
「あらそうなの、失礼しました。でも、黎が連れ歩いていることの方が、彼女のお仕事より有名になりそうね、ふふふ」
百合は黙って聞いている。鐘が鳴った。
「あら、時間だわ。じゃあね、また」
そう言うと、静香は長いドレスを翻して戻っていく。
「すまない。失礼な奴なんだ。気にしないでくれ」
「いえ、事実ですから……」
百合はそう言うと、黎と目を合わせず、ひとり背中を向け入り口へ歩いていく。
黎は彼女の肩を触ろうとしたが、彼女から出る拒絶するような冷たい姿勢に手を下げた。
演奏は素晴らしかった。彼女は終わってもひと言も口をきかない。出口で駅へ向かおうとする彼女の腕を引いて引き留めた。
「百合さん」
「……はい」
「この後、連れて行きたいところがあるから、一緒に行ってくれるよね?」
「……いえ。今日は帰ります。黎さんの周りの方に誤解を招くようなことがあっては申し訳ないわ。私、今まで考えなしでお誘いに付いてきてしまってごめんなさい」
黎は、彼女の腕を握る手に力が入ってしまった。つい、声を荒げた。
「何言っているんだ。そんなことは関係ない。俺が君と出かけたくて頼んできてもらっているんだ。君は何も心配しないでいいんだ」
百合は黎の表情を見て、おびえた目をした。
「そんな目をするな。ごめん。大丈夫だから心配しないで……」
そう言うと、彼女の目をのぞき込んで、必死に口説いた。そして、手を引いてタクシーを捕まえると、彼女を乗せた。
「あ、あの……」
百合を奥へ座らせると自分も座って、マンションの住所を言った。
「黎さん……どこへ行くんですか?」
「イギリスで初めて会ったとき、仕事とプライベートで来てるっていったの覚えてる?一番の目的は母へ会いに行くことだったんだ。母は身体の調子が悪くてイギリスで療養中なんだ」
「そうだったんですか……それは大変ですね。でも、それがこれから行くところと関係あるの?」
黎は彼女の顔を見た。
「母は音楽が好きでね。マンションに部屋を借りてグランドピアノも入れていた。防音設備まで整えて夜も弾けるようにしていたくらいだ。その部屋の管理を母から任されたんだが、ピアノは弾かないと悪くなるって言うから、良かったら君が暇な時に弾いてもらいたくてね。それで連れて行きたいんだ。ダメかな?」
すがるような目で自分を見る黎を、百合は拒絶できなかった。しかも、お母様の話を聞いたらとても嫌だなどと言えない。
「……わかったわ。一緒に行きます」
黎はほっとして身体の力が抜けた。
「……はー」
「え?大丈夫?」
百合は後ろにがっくりと倒れる彼を見て、心配した。
彼女を斜め見して小さい声で答える。
「嫌われたのかと思った。避けられて……」
百合は彼のそんな姿見たことがなかった。いつも自信満々だから……。
「そんな……嫌いになったりしない。勘違いさせてごめんなさい。そうじゃないの、だって私のことを噂されたら迷惑かけてしまうから……」
黎は顔を上げた。手を握る。
「だから、迷惑なわけない。言っただろ、俺が一緒にいたいんだよ」
タクシーの中にもかかわらず声を上げてしまい、シーンとなった車中でお互いに顔を見合わせ赤くなる。
タクシーの運転手は何も言わないが、恥ずかしいことこの上ない。
着くまではお互い何も話さず静かにしていた。
「わあ、ステキね……夜景が綺麗。それにこのピアノ、すごいわ!」
彼女をピアノホールへ案内すると、白いグランドピアノへ近づいて、歓声を上げた。
振り向いた目がキラキラと輝いている。どれだけ彼女の興味を引いたのかすぐにわかった。
「弾いていいよ」
「ほんと?」
「ああ。適当に食べ物頼んで準備しておくから、それまで弾いていてくれていい」
「リサイタルの後は、その人が弾いていた曲が弾きたくなるの。嬉しい!」
そう言って、あっという間に座ってピアノの音を一音鳴らす。
ポーンという音が空中に舞う。
響きもいい。
「このピアノ。とても良いタッチ、そして柔らかい音。素晴らしいわ……」
そう言うと、今日のピアニストが弾いていた曲を弾き始めた。
もう、彼女の世界。静かに部屋を後にして、軽い食事を注文した。
ピアノのあるサロンには食事の出来るテーブルもある。
お酒も飲めるようにサイドボードも備えてある。
一番広く、明るい部屋。窓が大きく、夜景も映す。
ピアノを弾きながら、音楽を聴きながら、食事をしたり、お酒を飲んだり出来るのだ。
小さいときはソファで寝てしまったこともあった。
そんなときは母がブランケットを掛けてくれた。
また、このピアノが歌っている。しかも、黎の好きな女性が奏でている。
それだけで、黎は幸せだった。
百合は黎が入ってきて食事の準備をしているのも忘れるほど、熱中して弾いている。
黎は曲が終わるまで準備が出来ても声をかけずに待っていた。
最後の音を弾き終わると、心が戻ってきたのか、百合がようやくこちらを向いた。
黎は拍手をした。百合は嬉しそうに笑ったが、テーブルを見て表情を変えた。
「あ、ごめんなさい。お手伝いもせずに……」
テーブルにたくさんの軽食と飲み物がのっているのを見て、申し訳なさそうに立ち上がった。
「いや、いいよ。こちらこそ素敵な演奏を聴かせてもらった」
「この間、オペラのチケット代はピアノを弾いてもらうって言ってたわよね。何を聴きたい?……どうしたの、黎さん」
黎は彼女に見とれて黙っていた。夜景をバックに立つ百合はとても綺麗で引き寄せられるように彼女へ近づいて耳元で囁いた。
「君は綺麗だね……夜景が君の美しさを引き立てているようだ。白いピアノが君のイメージと合う」
「……やだ、黎さん」
百合は真っ赤になって、立ち尽くした。手を差し伸べると彼女も手を出してきた。
黎は椅子までエスコートした。テーブルを挟んで座った。ワインを開けて、グラスを持って乾杯した。
軽食とつまみを口にしながら、百合が話し出した。
「お母様は、ピアノを本格的にされていたんですか?」
「……いや。趣味だったらしい。でも好きだったね。そこそこ弾けるんだろうな」
「こんな素敵なピアノ、趣味で買えるだけでもすごいわ。お母様の嫁入り道具?」
「いや、母の実家にも多分ピアノがある。これは、結婚後父に頼んで買ってもらったんだ。家にあったんだが、母が父と喧嘩して、別居したくてマンションを借りてしまってね。ピアノをこちらに移した。いつでも好きなときにきて弾けるように。精神的なリセット場所だったらしい」
百合はその話をじっと聞いていた。おそらく、何か事情があるのだろう。それ以上聞くべきでないと思って、聞かなかった。
黎はそんな百合の気持ちに気付いたらしく、黙っている。
「先ほども言ったけれど、このピアノ、見た目も美しいうえに弾いてみると素晴らしいのがわかるわ。お言葉に甘えて、たまに弾かせてもらってもいいかしら?私も大学や家以外でこういう所があると助かるわ。実は私、マンションにはアップライトしかないの」
「え?」
黎は驚いて、百合をじっと見つめた。
百合はしずかにワインを一口飲むと話しだした。
「恥ずかしいけど、あまりいい育ちではないので、借りたマンションに防音設備もないし、消音にして弾いているの。グランドピアノは大学やプロダクションの部屋を借りられたときに弾くだけ。まさか、コンクールの受賞者になれるとは思っていなかった。その程度なのよ」
「とんでもないよ、君のピアノはとても透き通った音がする。さっきも言ったとおり、白い花は君のピアノのイメージなんだ。黄色は僕の好きな色であり、きみへの応援歌」
百合は嬉しそうにしたが、少し黙ってから、答えた。
「……白なんて。私は劣等感と育ちのことでかなり歪んでいる自覚があるの。黎さんのような素晴らしいおうちの御曹司とお話しできるような身分では本当はないのよ」
黎は驚いた。普段の百合からは見られない顔を見せたからだ。お酒のせいもあるのかもしれないと思った。
「何言ってるんだよ。あんな賞を受賞してどうしてそんなことを言うんだい?君は世間的にも立派なピアニストだろ。もっと胸張っていいんだよ。静香が言ったことなんて気にすることない。あいつは昔から無神経だからね」
百合は呼び捨てにしている彼女と黎との関係を考えると、寂しかった。
それに、社長令嬢である静香のあの様子を思い出すと、自分とはますます違う世界だと再認識せざるを得なかった。
忘れていたが、噂されているという話も彼女の心に暗い影を落とした。
黎は目の前の百合が静香のはなしでさらに顔を曇らせたことに気付いて、自分の馬鹿さ加減に呆れた。
すぐに、話を変えた。
「グランドピアノを気に入ってくれたことだし、これ渡しておこうかな」
そう言うと、合鍵を彼女に向けてテーブルへ置いた。
「え?これ……」
「そう、この部屋の合鍵。渡すつもりだったから、持ってきたんだ」
「……あの。黎さんはここにはおいでになることあるんですか?」
「もちろん。音楽を聴くだけでもこの部屋は素晴らしい。好きな曲を好きなボリュームで聴くことが出来るし、この通り食事も出来て、お酒も飲めるときてる。最高だからね。僕も休みの日や、リセットしたいときに来るんだ」
「それなら、黎さんが来るときは私来ないようにしますから、言ってね」
「馬鹿だな。君のピアノを聴きたいんだ。君がいるときはいつも来たいくらいだよ。君が弾いてくれるなら自分の聴きたい音楽はしばらく君のピアノだけでいい……僕ひとりのために弾いて欲しいんだ。独り占めしたいんだ、君のこと」
黎は射貫くような瞳で彼女を見つめた。
百合は息をのんだ。自分のピアノを独り占めしたいと言われたのは初めて……。
百合は自分のことを好きだといわれるより実は嬉しかった。自分にとってその言葉がどれだけ力があるか、はじめて気付いた。すごい衝撃だった。そして赤くなってしまった。
「……あ、あの、その……」
真っ赤になってオロオロする彼女を黎は嬉しそうに見てる。
「何?」
黎にこの夜景の見える大人の雰囲気のあるところで今の言葉をもらったことが、百合にとってどれだけ彼を意識するきっかけになったのか、わかっていない。
「私、ここへ来たら噂にならないかしら?外でお会いすると噂になるんでしょ?」
上目遣いに黎を見ながら聞く。黎は嬉しそうに答えた。
「そうだね。ここで密会しようか」
「え?」
黎は彼女のとなりに座った。そして手を握り彼女に言う。
「百合さん……俺の特別な人になってくれる?」
「……特別な人って何?ピアノを弾く人?」
黎はおどおどと彼に問いかける彼女をいたずらっ子のような目で見つめながら答えた。
「それだけだと思う?俺は君にもわかるように態度に出してきたつもりだったけど、わかってない?君は俺をどう見てる?君にとっても、俺は特別な人になりたいんだ」
百合は目をつむって、息を吐くと彼を見据えて意を決して答えた。
「あなたは私にとって大事な友人だけど、特別な人よ。色々教えてくれるし、一緒にいてとても楽しいわ」
「そう。じゃ、君の言う特別な人は男として見たらどう?君の相手として……」
「黎さん……」
「俺の気持ちはわかっているだろ?君が好きだ……その瞳に映るのが俺だけならいいとずっと思ってる。その口から出る男の名前は俺だけにして欲しい。リサイタル以外で君のピアノを聴くのは俺だけがいいんだ。すべて君を独り占めしたい」
真っ正面から両手を握って、殺し文句を投げられる。
至近距離で彼の整った美しい顔を見るだけでドキドキした。
百合はごまかすことができなかった。そして、答えた。
「私もあなたが好き……はじめてこういう気持ちになったの。先ほど会った女性は名前を呼び捨てしてた……仲がいいんでしょ?」
嫉妬のこもった言葉を投げかけられて、黎は彼女をそっと抱き寄せた。
「こんなふうに自分から抱き寄せたり、肩を抱いたのは君だけだよ。呼び捨てか……なら、百合って呼んでいい?」
胸から離して彼女の顔を覗くと赤くなってうなずいた。
「そうだ、君も俺のこと呼び捨てしてくれてかまわないよ、黎、と」
「呼び捨てなんて出来ないわ。だって、私よりお兄さんでしょ?」
小さい声で上目遣いに聞いてくる。黎は手で顔を覆って、上を向いた。
「はー。すごい威力。その下から見るの俺以外にするなよ」
黎は彼女の腰のうしろに両手を組んで自分へ引き寄せた。
「お兄さんだけど、恋人になったんだ。呼び捨てしていいよ」
「……恋人なの?」
黎は笑い出した。
「恋人じゃなければ、なんだい?君にとって俺は特別な人で好きな人なんだろ。そういうのを恋人っていうんだよ」
「……だって。私と黎さんとじゃ、釣り合わない。黎さんは大きな会社の御曹司なんでしょ?私は……」
黎は彼女を抱き寄せた。
「また始まった。すぐにネガティブになるんだな。これは癖か?イギリスでもそうだったね。黄色の花をあげただろ。勇気と元気をあげたはずだ。それなら、君にこれから自信をあげる」
そう言って、彼女の顎を捕らえ、キスを落とした。
百合は目を大きく見開いて彼を見た。
「さあ、目をつむって……」
そう言うと、角度を変えてまたキスをした。そっと唇を離し、何度も何度も……。
息継ぎをした彼女を捕まえて深いキスをする。
彼女の身体から力が抜けて、黎にしなだれかかった。
「自信ついた?俺が自分からこんなキスをしたのははじめてだよ。そう、これからもずっと君だけだ」
囁くように耳元で吐息まじりに言われる。百合は彼に倒れ込んでしまった。
「……私だって初めてよ」
「え?」
「あなたが初めて……キス」
黎は百合を見てにっこり笑う。想像通りだった。この喜びは大声を出したいぐらいだったが、彼女を見て聞く。
「どうだった?俺とのファーストキス」
百合は黎をつねった。
「いてっ」
「もう、自信満々で何?私が初めてとか嘘でしょ?黎さんモテまくりでしょ、どうせ……」
百合が口をとがらせて言う。
「そんなことはないんだな。周りに女性がいるのは否定しないが、俺は好みがうるさいんでね。今までひとりも俺の好みの女性がいなかった。ようやく現れた。君だよ百合。待った甲斐があったよ」
「ほんとう?信じていいの?」
「ああ。自信持っていいよ。俺の最初に愛した人は君だ」
そう言って、またキスをしてソファーへ彼女を倒して深いキスをした。
「はあ……」
彼女の吐息を聞いて、すべて欲しくなったが、今日はこれまでにしようと決めた。
彼女は何事も初めてだ。おびえさせたくない。両思いになったんだから、ゆっくり彼女を堪能する。
彼女を起こしてやり、手に鍵を握らせた。
「いつ来てもいいようにしておくから、気にしないで来てくれ。俺に連絡する必要もない。練習したいときに来ればいい」
彼女はうなずいた。
「わかったわ。私もベートーヴェンのソナタ全曲演奏の練習で使わせてもらうわ。ありがとう」
「これからは、練習だけでなく俺に会うためこの部屋へおいで。人目を気にしなくていいだろ?連絡をくれれば出来る限り会いに来る。俺も百合に会いたいときは連絡するからここへ来て……もう百合は俺の恋人だ……他の男をその目で見るなよ、いいね」
黎は百合の気持ちに気付いていると百合は思った。外で一緒にいるところを見られて、噂になるのが嫌だという気持ちを。
自然と彼が近寄ってくるから目を閉じる。柔らかいキスが落ちてきた。
心に広がるうれしさとときめきが百合を包んだ。
食事を終えるとタクシーを呼んでもらい、そこで別れた。
話題のコンサートチケットを取るために、親友のコネを使った。彼女には勉強になるだろう。
コンサートの休憩時間、彼女とフロアで飲み物を注文して飲んでいたら、声をかけられた。
「あら、黎。今日もこの人と一緒なの?」
腕を取って、自分の顔をのぞき込んでくる。蓮見静香。
蓮見商事の社長令嬢だ。蓮見商事は父の会社のグループ会社。父と蓮見商事の社長は昔からの知り合いだったので、子供同士も小さい頃から知り合いだ。
静香は双子で弟がいる。ふたりは学年でいえば、黎より一年年上だ。
「……静香。今日もって、お前」
「この間、オペラにもふたりでいたでしょ?目立ってたわよ。しかもあの席だとグループ内のチケットよね。ウチもお母様が取っていて、私一緒に行ってたのよ。席近いから気付くかと思ったのに、彼女のことばかり見て、気付かなかったの?」
嫌みたらしく言う。見られていたとは思わなかった。グループ内のチケットだからそういうこともあるだろう。
今日のチケットは実は蓮見に頼んだのだ。弟のほうに。蓮見商事が文化事業に熱心で協賛している。
百合が驚いて固まっている。
「ねえ、こちらどなたなの?黎が最近デートしてるのってあなたなのね?噂になってるのよ。自分から女性を誘うことのない黎が機嫌良く女性と出かけているらしいってね」
「……っ!」
黎は静香の腕を引っ張った。
「……おい、余計なことを言うな」
百合はふたりを交互に見ながら、一歩後ろへ下がった。
「あら、逃げなくてもいいじゃない。ねえ、黎。紹介してよ」
黎は、諦めて彼女を紹介した。
「栗原百合さん。ピアニストだ。うちの会社で音楽方面の支援事業を始めたんだ。そこの所属アーティストだ」
「私は蓮見静香。蓮見商事という会社の社長の娘よ。黎とは幼馴染なの」
「初めまして」
紹介された百合は小さな声で静香に挨拶をする。
「ピアニストなの?ごめんなさい、知らなかったわ。失礼ながら、まだあまり有名じゃないわよね?私、コンサートも結構行くけど、お見かけしたことないわ」
百合は青ざめた。黎は舌打ちして、静香をとがめた。
「失礼だぞ、静香。自分の知識がないくせに。彼女は去年のコンクールの受賞者だ。海外で最近まで凱旋リサイタルをして日本へ戻ってきたばかりだぞ。お前が知らないだけだ」
静香は悪びれもせず、舌を出した。
「あらそうなの、失礼しました。でも、黎が連れ歩いていることの方が、彼女のお仕事より有名になりそうね、ふふふ」
百合は黙って聞いている。鐘が鳴った。
「あら、時間だわ。じゃあね、また」
そう言うと、静香は長いドレスを翻して戻っていく。
「すまない。失礼な奴なんだ。気にしないでくれ」
「いえ、事実ですから……」
百合はそう言うと、黎と目を合わせず、ひとり背中を向け入り口へ歩いていく。
黎は彼女の肩を触ろうとしたが、彼女から出る拒絶するような冷たい姿勢に手を下げた。
演奏は素晴らしかった。彼女は終わってもひと言も口をきかない。出口で駅へ向かおうとする彼女の腕を引いて引き留めた。
「百合さん」
「……はい」
「この後、連れて行きたいところがあるから、一緒に行ってくれるよね?」
「……いえ。今日は帰ります。黎さんの周りの方に誤解を招くようなことがあっては申し訳ないわ。私、今まで考えなしでお誘いに付いてきてしまってごめんなさい」
黎は、彼女の腕を握る手に力が入ってしまった。つい、声を荒げた。
「何言っているんだ。そんなことは関係ない。俺が君と出かけたくて頼んできてもらっているんだ。君は何も心配しないでいいんだ」
百合は黎の表情を見て、おびえた目をした。
「そんな目をするな。ごめん。大丈夫だから心配しないで……」
そう言うと、彼女の目をのぞき込んで、必死に口説いた。そして、手を引いてタクシーを捕まえると、彼女を乗せた。
「あ、あの……」
百合を奥へ座らせると自分も座って、マンションの住所を言った。
「黎さん……どこへ行くんですか?」
「イギリスで初めて会ったとき、仕事とプライベートで来てるっていったの覚えてる?一番の目的は母へ会いに行くことだったんだ。母は身体の調子が悪くてイギリスで療養中なんだ」
「そうだったんですか……それは大変ですね。でも、それがこれから行くところと関係あるの?」
黎は彼女の顔を見た。
「母は音楽が好きでね。マンションに部屋を借りてグランドピアノも入れていた。防音設備まで整えて夜も弾けるようにしていたくらいだ。その部屋の管理を母から任されたんだが、ピアノは弾かないと悪くなるって言うから、良かったら君が暇な時に弾いてもらいたくてね。それで連れて行きたいんだ。ダメかな?」
すがるような目で自分を見る黎を、百合は拒絶できなかった。しかも、お母様の話を聞いたらとても嫌だなどと言えない。
「……わかったわ。一緒に行きます」
黎はほっとして身体の力が抜けた。
「……はー」
「え?大丈夫?」
百合は後ろにがっくりと倒れる彼を見て、心配した。
彼女を斜め見して小さい声で答える。
「嫌われたのかと思った。避けられて……」
百合は彼のそんな姿見たことがなかった。いつも自信満々だから……。
「そんな……嫌いになったりしない。勘違いさせてごめんなさい。そうじゃないの、だって私のことを噂されたら迷惑かけてしまうから……」
黎は顔を上げた。手を握る。
「だから、迷惑なわけない。言っただろ、俺が一緒にいたいんだよ」
タクシーの中にもかかわらず声を上げてしまい、シーンとなった車中でお互いに顔を見合わせ赤くなる。
タクシーの運転手は何も言わないが、恥ずかしいことこの上ない。
着くまではお互い何も話さず静かにしていた。
「わあ、ステキね……夜景が綺麗。それにこのピアノ、すごいわ!」
彼女をピアノホールへ案内すると、白いグランドピアノへ近づいて、歓声を上げた。
振り向いた目がキラキラと輝いている。どれだけ彼女の興味を引いたのかすぐにわかった。
「弾いていいよ」
「ほんと?」
「ああ。適当に食べ物頼んで準備しておくから、それまで弾いていてくれていい」
「リサイタルの後は、その人が弾いていた曲が弾きたくなるの。嬉しい!」
そう言って、あっという間に座ってピアノの音を一音鳴らす。
ポーンという音が空中に舞う。
響きもいい。
「このピアノ。とても良いタッチ、そして柔らかい音。素晴らしいわ……」
そう言うと、今日のピアニストが弾いていた曲を弾き始めた。
もう、彼女の世界。静かに部屋を後にして、軽い食事を注文した。
ピアノのあるサロンには食事の出来るテーブルもある。
お酒も飲めるようにサイドボードも備えてある。
一番広く、明るい部屋。窓が大きく、夜景も映す。
ピアノを弾きながら、音楽を聴きながら、食事をしたり、お酒を飲んだり出来るのだ。
小さいときはソファで寝てしまったこともあった。
そんなときは母がブランケットを掛けてくれた。
また、このピアノが歌っている。しかも、黎の好きな女性が奏でている。
それだけで、黎は幸せだった。
百合は黎が入ってきて食事の準備をしているのも忘れるほど、熱中して弾いている。
黎は曲が終わるまで準備が出来ても声をかけずに待っていた。
最後の音を弾き終わると、心が戻ってきたのか、百合がようやくこちらを向いた。
黎は拍手をした。百合は嬉しそうに笑ったが、テーブルを見て表情を変えた。
「あ、ごめんなさい。お手伝いもせずに……」
テーブルにたくさんの軽食と飲み物がのっているのを見て、申し訳なさそうに立ち上がった。
「いや、いいよ。こちらこそ素敵な演奏を聴かせてもらった」
「この間、オペラのチケット代はピアノを弾いてもらうって言ってたわよね。何を聴きたい?……どうしたの、黎さん」
黎は彼女に見とれて黙っていた。夜景をバックに立つ百合はとても綺麗で引き寄せられるように彼女へ近づいて耳元で囁いた。
「君は綺麗だね……夜景が君の美しさを引き立てているようだ。白いピアノが君のイメージと合う」
「……やだ、黎さん」
百合は真っ赤になって、立ち尽くした。手を差し伸べると彼女も手を出してきた。
黎は椅子までエスコートした。テーブルを挟んで座った。ワインを開けて、グラスを持って乾杯した。
軽食とつまみを口にしながら、百合が話し出した。
「お母様は、ピアノを本格的にされていたんですか?」
「……いや。趣味だったらしい。でも好きだったね。そこそこ弾けるんだろうな」
「こんな素敵なピアノ、趣味で買えるだけでもすごいわ。お母様の嫁入り道具?」
「いや、母の実家にも多分ピアノがある。これは、結婚後父に頼んで買ってもらったんだ。家にあったんだが、母が父と喧嘩して、別居したくてマンションを借りてしまってね。ピアノをこちらに移した。いつでも好きなときにきて弾けるように。精神的なリセット場所だったらしい」
百合はその話をじっと聞いていた。おそらく、何か事情があるのだろう。それ以上聞くべきでないと思って、聞かなかった。
黎はそんな百合の気持ちに気付いたらしく、黙っている。
「先ほども言ったけれど、このピアノ、見た目も美しいうえに弾いてみると素晴らしいのがわかるわ。お言葉に甘えて、たまに弾かせてもらってもいいかしら?私も大学や家以外でこういう所があると助かるわ。実は私、マンションにはアップライトしかないの」
「え?」
黎は驚いて、百合をじっと見つめた。
百合はしずかにワインを一口飲むと話しだした。
「恥ずかしいけど、あまりいい育ちではないので、借りたマンションに防音設備もないし、消音にして弾いているの。グランドピアノは大学やプロダクションの部屋を借りられたときに弾くだけ。まさか、コンクールの受賞者になれるとは思っていなかった。その程度なのよ」
「とんでもないよ、君のピアノはとても透き通った音がする。さっきも言ったとおり、白い花は君のピアノのイメージなんだ。黄色は僕の好きな色であり、きみへの応援歌」
百合は嬉しそうにしたが、少し黙ってから、答えた。
「……白なんて。私は劣等感と育ちのことでかなり歪んでいる自覚があるの。黎さんのような素晴らしいおうちの御曹司とお話しできるような身分では本当はないのよ」
黎は驚いた。普段の百合からは見られない顔を見せたからだ。お酒のせいもあるのかもしれないと思った。
「何言ってるんだよ。あんな賞を受賞してどうしてそんなことを言うんだい?君は世間的にも立派なピアニストだろ。もっと胸張っていいんだよ。静香が言ったことなんて気にすることない。あいつは昔から無神経だからね」
百合は呼び捨てにしている彼女と黎との関係を考えると、寂しかった。
それに、社長令嬢である静香のあの様子を思い出すと、自分とはますます違う世界だと再認識せざるを得なかった。
忘れていたが、噂されているという話も彼女の心に暗い影を落とした。
黎は目の前の百合が静香のはなしでさらに顔を曇らせたことに気付いて、自分の馬鹿さ加減に呆れた。
すぐに、話を変えた。
「グランドピアノを気に入ってくれたことだし、これ渡しておこうかな」
そう言うと、合鍵を彼女に向けてテーブルへ置いた。
「え?これ……」
「そう、この部屋の合鍵。渡すつもりだったから、持ってきたんだ」
「……あの。黎さんはここにはおいでになることあるんですか?」
「もちろん。音楽を聴くだけでもこの部屋は素晴らしい。好きな曲を好きなボリュームで聴くことが出来るし、この通り食事も出来て、お酒も飲めるときてる。最高だからね。僕も休みの日や、リセットしたいときに来るんだ」
「それなら、黎さんが来るときは私来ないようにしますから、言ってね」
「馬鹿だな。君のピアノを聴きたいんだ。君がいるときはいつも来たいくらいだよ。君が弾いてくれるなら自分の聴きたい音楽はしばらく君のピアノだけでいい……僕ひとりのために弾いて欲しいんだ。独り占めしたいんだ、君のこと」
黎は射貫くような瞳で彼女を見つめた。
百合は息をのんだ。自分のピアノを独り占めしたいと言われたのは初めて……。
百合は自分のことを好きだといわれるより実は嬉しかった。自分にとってその言葉がどれだけ力があるか、はじめて気付いた。すごい衝撃だった。そして赤くなってしまった。
「……あ、あの、その……」
真っ赤になってオロオロする彼女を黎は嬉しそうに見てる。
「何?」
黎にこの夜景の見える大人の雰囲気のあるところで今の言葉をもらったことが、百合にとってどれだけ彼を意識するきっかけになったのか、わかっていない。
「私、ここへ来たら噂にならないかしら?外でお会いすると噂になるんでしょ?」
上目遣いに黎を見ながら聞く。黎は嬉しそうに答えた。
「そうだね。ここで密会しようか」
「え?」
黎は彼女のとなりに座った。そして手を握り彼女に言う。
「百合さん……俺の特別な人になってくれる?」
「……特別な人って何?ピアノを弾く人?」
黎はおどおどと彼に問いかける彼女をいたずらっ子のような目で見つめながら答えた。
「それだけだと思う?俺は君にもわかるように態度に出してきたつもりだったけど、わかってない?君は俺をどう見てる?君にとっても、俺は特別な人になりたいんだ」
百合は目をつむって、息を吐くと彼を見据えて意を決して答えた。
「あなたは私にとって大事な友人だけど、特別な人よ。色々教えてくれるし、一緒にいてとても楽しいわ」
「そう。じゃ、君の言う特別な人は男として見たらどう?君の相手として……」
「黎さん……」
「俺の気持ちはわかっているだろ?君が好きだ……その瞳に映るのが俺だけならいいとずっと思ってる。その口から出る男の名前は俺だけにして欲しい。リサイタル以外で君のピアノを聴くのは俺だけがいいんだ。すべて君を独り占めしたい」
真っ正面から両手を握って、殺し文句を投げられる。
至近距離で彼の整った美しい顔を見るだけでドキドキした。
百合はごまかすことができなかった。そして、答えた。
「私もあなたが好き……はじめてこういう気持ちになったの。先ほど会った女性は名前を呼び捨てしてた……仲がいいんでしょ?」
嫉妬のこもった言葉を投げかけられて、黎は彼女をそっと抱き寄せた。
「こんなふうに自分から抱き寄せたり、肩を抱いたのは君だけだよ。呼び捨てか……なら、百合って呼んでいい?」
胸から離して彼女の顔を覗くと赤くなってうなずいた。
「そうだ、君も俺のこと呼び捨てしてくれてかまわないよ、黎、と」
「呼び捨てなんて出来ないわ。だって、私よりお兄さんでしょ?」
小さい声で上目遣いに聞いてくる。黎は手で顔を覆って、上を向いた。
「はー。すごい威力。その下から見るの俺以外にするなよ」
黎は彼女の腰のうしろに両手を組んで自分へ引き寄せた。
「お兄さんだけど、恋人になったんだ。呼び捨てしていいよ」
「……恋人なの?」
黎は笑い出した。
「恋人じゃなければ、なんだい?君にとって俺は特別な人で好きな人なんだろ。そういうのを恋人っていうんだよ」
「……だって。私と黎さんとじゃ、釣り合わない。黎さんは大きな会社の御曹司なんでしょ?私は……」
黎は彼女を抱き寄せた。
「また始まった。すぐにネガティブになるんだな。これは癖か?イギリスでもそうだったね。黄色の花をあげただろ。勇気と元気をあげたはずだ。それなら、君にこれから自信をあげる」
そう言って、彼女の顎を捕らえ、キスを落とした。
百合は目を大きく見開いて彼を見た。
「さあ、目をつむって……」
そう言うと、角度を変えてまたキスをした。そっと唇を離し、何度も何度も……。
息継ぎをした彼女を捕まえて深いキスをする。
彼女の身体から力が抜けて、黎にしなだれかかった。
「自信ついた?俺が自分からこんなキスをしたのははじめてだよ。そう、これからもずっと君だけだ」
囁くように耳元で吐息まじりに言われる。百合は彼に倒れ込んでしまった。
「……私だって初めてよ」
「え?」
「あなたが初めて……キス」
黎は百合を見てにっこり笑う。想像通りだった。この喜びは大声を出したいぐらいだったが、彼女を見て聞く。
「どうだった?俺とのファーストキス」
百合は黎をつねった。
「いてっ」
「もう、自信満々で何?私が初めてとか嘘でしょ?黎さんモテまくりでしょ、どうせ……」
百合が口をとがらせて言う。
「そんなことはないんだな。周りに女性がいるのは否定しないが、俺は好みがうるさいんでね。今までひとりも俺の好みの女性がいなかった。ようやく現れた。君だよ百合。待った甲斐があったよ」
「ほんとう?信じていいの?」
「ああ。自信持っていいよ。俺の最初に愛した人は君だ」
そう言って、またキスをしてソファーへ彼女を倒して深いキスをした。
「はあ……」
彼女の吐息を聞いて、すべて欲しくなったが、今日はこれまでにしようと決めた。
彼女は何事も初めてだ。おびえさせたくない。両思いになったんだから、ゆっくり彼女を堪能する。
彼女を起こしてやり、手に鍵を握らせた。
「いつ来てもいいようにしておくから、気にしないで来てくれ。俺に連絡する必要もない。練習したいときに来ればいい」
彼女はうなずいた。
「わかったわ。私もベートーヴェンのソナタ全曲演奏の練習で使わせてもらうわ。ありがとう」
「これからは、練習だけでなく俺に会うためこの部屋へおいで。人目を気にしなくていいだろ?連絡をくれれば出来る限り会いに来る。俺も百合に会いたいときは連絡するからここへ来て……もう百合は俺の恋人だ……他の男をその目で見るなよ、いいね」
黎は百合の気持ちに気付いていると百合は思った。外で一緒にいるところを見られて、噂になるのが嫌だという気持ちを。
自然と彼が近寄ってくるから目を閉じる。柔らかいキスが落ちてきた。
心に広がるうれしさとときめきが百合を包んだ。
食事を終えるとタクシーを呼んでもらい、そこで別れた。
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