BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月

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突然だが俺は、腐男子である。

男性諸君、逃げなくても大丈夫だ。俺の恋愛対象は女の子であって、男ではない。ただ単に男同士の恋愛を見るのが好きなだけである。

 さてそんな俺だが今ハマっているBLゲームが存在する。剣と魔術のライトな異世界ファンタジーの世界が舞台のBLゲームだ。

 もし俺がそのBLゲームの世界に行けるなら、どんな立場がいいかと問われればそれはモブである。

 俺は当事者になりたいという願望は、一ミクロンも持ち合わせていない。

主人公になりキャラを攻略したいわけでもなく、攻略キャラになり主人公といい関係になりたいわけでもない。というか当事者になるなんて御免である。

 というわけでそんな俺にとって、BLゲームのモブは最高の立ち位置だ。攻略される危険もなく、主人公と攻略キャラのイベントをみることができるのだ。

 

 そんな俺の願望が叶ったのか、俺は今まさにはまっているゲームの中でモブとして存在していた。

 だが早々に、問題に直面した。主人公が現れない。一応、設定としては主人公は、とある学園に入学してくることになっている。ファンタジーの世界らしく剣術と魔術に関する事が、学べる学園だ。


 けれど主人公の入学時期が分からない。ゲーム上では、いつに入学するのかが明記されていないからだ。もうすでに学園に、攻略キャラが在籍しているからそろそろだと思うのだがまだ現れない。

 そもそもこの学園は、現実みたいに何月に入学式と決まっているわけじゃない。いつ入るのかは、各自の自由になっている。年齢もバラバラだ。

 なので俺は主人公が現れるまでは、他のことに楽しさを見出すことにした。せっかく設定に剣と魔術とあるのだから、それを堪能する事にしたのだ。

 

 

 穏やかな日差しが差し込む室内で、俺は日課でもある魔術の勉強をしていた。

ここは学園内の図書館だ。図書室ではない。ここの学園の蔵書は何百万冊とある。一室じゃ収まりきらないので、独立した建物になっている。

 最初にここを見た時には、心が躍ったものだ。魔術とかいうファンタジーなものに関しての蔵書が、これでもかと収められていたからだ。

 あまりの蔵書の多さに学園に、通い出して4年たつがまだ読み切れない。昔、魔術に憧れたことのある身としては、ここに通い勉強して覚えたことを実験するのはもはやライフワークになっている。

 
 
「本から目を離して休憩にしないか?」

「邪魔をするな」

 本のページをめくると、頭上から声がかけられる。

 視線だけそちらに向けると、背の高い顔立ちの整った男の姿が見えた。

顔面のつくりがモブの俺とは、天と地ほどの差があるこいつはジルベールという攻略キャラだ。

 俺が熱心に魔術に関する本を読んでいるというのに、いつもいつも声をかけてきて集中を途切れさせる迷惑な奴である。

 眉を寄せて不愉快だと告げても、ジルベールは笑みを浮かべるだけで意に介した様子をみせない。微笑めばすべて許されるとおもっているのだろう。実際、イケメンはそれで許される。爆発してしまえばいいのにと思うが、爆発したら主人公とこいつのイベントを見るという楽しみがなくなってしまう。

 攻略キャラと関われてうれしいだろうと思うかもしれないが、俺は主人公と絡んでいる攻略キャラが見たいんだ。攻略キャラと、関わりあいになりたいわけではない。

「あいかわらず、つれないな」

 俺の言葉など聞く気はないようで、ジルベールは椅子をひいて隣に座ってくる。人の話を聞かなくても許されるイケメンに先ほどと同じ思考になりそうになる。

 これで同じ机に主人公がいれば、俺はこいつと主人公の会話をモブに徹して拝聴するという素敵な体験ができるというのにとても腹立たしい。

 本当に、主人公はいつ来てくれるのか。

 主人公には、ぜひ早く入学してジルベールと絡んでほしい。俺は攻略キャラとしてのジルベールは好きなのだ。

 そうでないジルベールは、見た目が良くて女の子にキャーキャー言われるうざい奴である。

 それにこいつが傍に来ると、女子が俺に向ける視線が厳しくなる。どうせモブのくせに、ジルベールと話しているのが気に食わないのだろう。

だが俺はこいつに来てくれなどと、一度たりともたのんでいない。知らぬ間にジルベールホイホイになったつもりもない。

 モブの存在が不愉快なら、勇気をだしてジルベールを引き取ってほしいのだがそんな猛者は現れてはくれなかった。


「あっあのジルベール、良かったら私と……」

 と、思ったら猛者が現れた。派手な顔立ちの美少女だ。スタイルもいい。よしこれならジルベールも、ここからいなくなるだろう。

 俺はまったく関心がありませんといった体を装い、本を読むために顔は下に向けて視線だけで様子をうかがう。

「悪いね、レイザードと過ごしたいんだ」

 ―― 断っただと?
 一体どういうつもりなのか。美少女だぞ。断るなんて、どうかしている。
 女子を侍らしている軽薄キャラのはずが、どういうことだ。どうして断る。

「そっそっか。ごめんね」

 美少女は見た目とは違って、気が強くなかったらしい。少し悲しそうな表情をして去って行く。出来ればもう少し粘ってほしい。
 あっ去り際に、俺を睨んでいった。俺がいるせいで断られたと思っているのか。それ完全に、筋違いの逆恨みだ。恨むなら断った当人を恨んでくれ。

「これで二人きりだね」

 今すぐ眼科に、行って来い。今この図書館にどれだけの人がいると思っているんだ。お前の目には、何が写ってるんだ。他の人が見えないなら、お前の視神経は仕事をしていない。

「……邪魔だけはするなよ」
「もちろん。俺がレイザードを困らせるようなことを、するわけがないだろう?」
 現在進行形で、迷惑している。だがこいつに何を言ったところで、ここからどかない事は、過去の経験で嫌というほど学んだ。所詮、モブには攻略キャラの意思を変えるすべなどないのである。
 


 俺はため息をつき、再び書面に視線を落とした。

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