BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている

青緑三月

文字の大きさ
49 / 151

49

しおりを挟む

「ジルベール先輩に、カッコイイと言ってほしい?」
「ああ」

 イベントを見るために、行動を起こすことにした。とりあえずロイにジルベールをさりげなく褒めてもらう。少しずつやっていけば、あいつも慣れるだろう。
 妙案だ。そう思ってロイに提案したんだが、いぶかしげな顔をされてしまう。
 どうやら唐突すぎたらしい。

「……あの先輩、僕がジルベール先輩にカッコイイと言っても喜ばれないと思いますよ」
「そんなはずはない」

 主人公であるロイが、言うんだぞ。きっとジルベールも大喜びだ。

「先輩が、そう言ったほうが喜ぶと思います」
「それはないだろう」

 あいつが照れていたのは、喜んでいたからじゃない。たんに同性に言われ慣れていないからという理由だ。
 それにしてもロイの反応が良くない。それほどジルベールに、かっこいいと言いたくないのか。もしや親密度が、そこまで上がっていないのだろうか。

 ――いや、だが

 このまえ二人が、一緒にいる所を目撃している。ジルベールは照れくさそうにしていたし、ロイもとても嬉しそうな顔をしていた。あの様子から判断するに、親密度はそこそこ上がっている。
 だがロイは渋った様子を見せたままだ。

 もしやあれか、ジルベールがカッコイイなんてもう知っているんだよ。お前に言われる筋合いはない。もしや彼を狙っているのか。とか思われたりしているのだろうか。

 ―― ないか……

 ロイは素直で、いいやつだ。そんなことは思ってはいないだろう。もしかして照れているだけなのかもしれない。

「あの先輩」
「なんだ」

 視線を下に向けていたロイが、頭を上げる。

「ジルベール先輩は……いえやっぱりやめておきます。僕が言うのも変ですし」
「どうした? 言いたいことがあるなら、遠慮せずに言え」

 俺が無表情だから、言い辛いのかロイが口ごもってしまう。表情はどうにもならないから、言葉で遠慮するなと伝えてみる。
 ただ無表情のせいで、あまり効果がなかったらしい。ロイは言葉をつづける事を、しなかった。

 きっとここで親しみやすい笑顔でも、浮かべられたのならロイも話してくれたかもしれない。
けれど俺には、そんな表情差分は存在しないんだ。こればかりはどうしもうない。

 ―― 怖がらせてなければいいが

 こうやって話を、してくれはするのだから嫌われてはいないとは思う。ただなにせ俺の表情が、変わらなさ過ぎていらぬ誤解を与えてないか心配になってくる。

「あの先輩!」
「どうした?」

 表情はどうにもならないから、緊張させないように声をかけてみよう。そう思った時だ。落ち込んだような様子を見せていたロイが、いきなりジルベールのことを褒め始める。かっこいいと言わせることには、失敗したがどうやら結果的に上手くいったらしい。

 きっとこれはあれだ。自分がジルベールに好意を寄せていることを、俺に伝えて牽制しているに違いない。
 安心するといい。俺には全くその気はない。
 きっと俺が、妙なことを頼むから変な誤解をしたのだろう。

 けれどあえて口にしない。ここで妙な勘違いをしているほうが、ロイがさらにジルベールに接近する可能性が高い。
 イベントが進んだら、きちんと伝えることにしよう。勘違いが加速して、俺の立ち位置が当て馬モブにでもなったら目も当てられないからな。俺は完全に蚊帳の外から、イベントを鑑賞したいんだ。

 今から楽しみだ。イベントを見られるその日を、妄想して笑い出しそうになる。だがいつも通りだが、表情は変わらない。
 まあ今は変わらないほうがありがたい。ここで笑いだしたらただの変人になってしまうからな。

「先輩、聞いてらっしゃいますか?」
「ああ」

 妄想に励んでいたから、気がそれていたらしい。ジルベールへの誉め言葉を、聞き流していたのをロイに気づかれてしまう。
 慌てて表情戻し……変わってなかったな。

 とりあえず頑張って聞いていると思わせるために、視線を合わせた。


しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!? ※表紙のイラストはたかだ。様 ※エブリスタ、pixivにも掲載してます ◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。 ◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

【完結】幽閉の王を救えっ、でも周りにモブの仕立て屋しかいないんですけどぉ?

北川晶
BL
 BLゲームじゃないのに、嫌われから溺愛って嘘でしょ? 不遇の若き王×モブの、ハートフル、ファンタジー、ちょっとサスペンスな、大逆転ラブです。  乙女ゲーム『愛の力で王(キング)を救え!』通称アイキンの中に異世界転生した九郎は、顔の見えない仕立て屋のモブキャラ、クロウ(かろうじて名前だけはあったよ)に生まれ変わる。  子供のときに石をぶつけられ、前世のことを思い出したが。顔のないモブキャラになったところで、どうにもできないよね? でも。いざ、孤島にそびえる王城に、王の婚礼衣装を作るため、仕立て屋として上がったら…王を助ける人がいないんですけどぉ? 本編完結。そして、続編「前作はモブ、でも続編は悪役令嬢ポジなんですけどぉ?」も同時収録。

処理中です...