130 / 151
<ジルベール>シリアス ルート
6
しおりを挟む―― 目が輝いてないか?
サイジェスの講義を受けているとき、視界に入ったロイの表情に目がいく。心なしか嬉しそうに見える。
―― もしや、サイジェスとの好感度が、上がり中なのだろうか
ロイの視線を追うように、サイジェスを観察する。
顔は攻略キャラだから、整ってはいる。愛想がないからそのぶん、マイナスイメージを抱かれやすいが好感度が上がっていけば、笑顔を見せることもある。親しい相手には、優しさもみせる。ゲームではみなかったが、歳の離れた妹を大切にしていて家族思いだ。
なによりロイを、とても大切にしていた。画面越しに見た萌えイベントが、頭をよぎる。
―― よし
主人公であるロイが、幸せならそれで全てOKだ。
結論が出るまで講義が、進んでしまっていた。慌てて書き写して、講義に集中する。
「以上だ」
―― やっぱりサイジェスの講義は、分かりやすい
講義は段階が上がっていくほど、当然だが難しくなっていく。だから講義を受けただけでは、理解するのが難しいことも多くなる。大抵はあとで自分で調べて理解を深めていくのだが、サイジェスの講義はすごく分かりやすくて自然に頭の中に入っていく。教え方が凄く上手い。
講義が終わると早々に出て行く姿を見送りながら、また次も受講しようと決める。
―― あれ
ロイがサイジェスを追いかけるように、出て行く。もしや萌えイベント到来だろうか。
こうしてはいられない。早く追いかけないと、見逃してしまうかもしれない。荷物を手早くまともて、鞄にしまう。
「あの、レイザード」
いざ行かん、萌えの楽園へと立ち上がると、ジルベールが声をかけてきた。そういえば講義室に入ったときに、声をかけられて隣に座ったんだった。
「なんだ」
早くしないと萌えイベントを、見逃してしまうかもしれない。焦りながら待つが一向に、続く言葉が聞こえない。
―― 一体なんだ
久しぶりに萌えを、摂取できるかもしれない。早々に立ち去りたいが、友達であるジルベールが声をかけてきているのに会話が終わる前に立ち去るのも気が引ける。
―― けど萌えが、イベントが!
友情と萌えが、せめぎ出す。少し前なら遠慮なく置いていけたのに、なんで悩んでいるんだとも思うが現状はジルベールを置いて行くのに抵抗を覚えている。
―― よし、こっちから言ってしまえ
萌えと友情が頭の中でバトルを開始し始めたとき、いいことを思いついた。ヴァルにジルベールの好きなものを聞いてくるって、約束していたからそれを聞くのに丁度良い。
「昼の予定は、あるか? ないならつきあえ」
「もちろん!」
―― 間違えた
予定がないなら、つきあってほしい。そう言おうとしたのに、偉そうな言い方に――いつものことか。そういつも通りだ。俺が無愛想なのも、ジルベールが寛大なのもだ。
―― ところで
なぜジルベールは、俺の手を握ってきたんだ。返事と同時だったが、意味が分からない。
謎の行動に頭を悩ませて、同性ボッチのジルベールが友達に昼食に誘われたと喜んで奇行に走ったのだと結論づける。きっと今までそういうことが、なかったのだろう。
友達に誘われて喜んでいる。理由が理由だけに、無理に振りほどけない。
―― 全く
友達の手なんぞ握らずに、好きな相手の手を握ってこい。そうすれば少しは進展もあるだろうに。
―― 無理か
俺を練習台にして何度も予行練習をしているというのに、デートに誘えたという報告の一つも無い。それにあれだ、特別な相手だから、逆に気安く出来ないんだろう。友達相手なら出来ることでも、好きな相手になると難易度があがる。特別だからこそ出来ない。ジレンマだな。
―― だが危険だな
ここはBLの世界である。いくら俺がモブであるからと言って、男相手に手を握っていたらジルベールが好きな誰かが誤解しかねない。モブ相手にと思いもするが主人公と攻略キャラが上手くいくための踏み台みたいに使われるモブも一定数いるから油断はならない。
「この前、話をした中庭に、先に行っててくれ。俺は用事を済ませてから行くから、先に食べていても良い」
「待っているよ」
色々と考えて今は、そんな場合ではないことを思い出す。頑張って早口で伝えれば、やっと手を離した。
「そうか」
萌えイベントを堪能してからだから、待っている間に腹が空くだろうと気を利かせたのだが無用だったようだ。笑顔で返してきたジルベールに頷き返してから、サイジェスとロイの後を追った。
136
あなたにおすすめの小説
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
美形令息の犬はご主人様を救いたい
皮
BL
シエノークは美しき侯爵令息ルスランの忠実なしもべであり、犬だった。ルスランを盲信し、王家に叛逆するルスランを支え、ルスランが王家の騎士に斬られて命を落とすまで傍にいた。その後、シエノークもまた命を落とし、──ベッドの上で目を覚ました。9歳に戻ったシエノークはご主人様であるルスランの破滅を防ぐことを決意する。/美形令息×美形令息の犬
【完結】幽閉の王を救えっ、でも周りにモブの仕立て屋しかいないんですけどぉ?
北川晶
BL
BLゲームじゃないのに、嫌われから溺愛って嘘でしょ? 不遇の若き王×モブの、ハートフル、ファンタジー、ちょっとサスペンスな、大逆転ラブです。
乙女ゲーム『愛の力で王(キング)を救え!』通称アイキンの中に異世界転生した九郎は、顔の見えない仕立て屋のモブキャラ、クロウ(かろうじて名前だけはあったよ)に生まれ変わる。
子供のときに石をぶつけられ、前世のことを思い出したが。顔のないモブキャラになったところで、どうにもできないよね? でも。いざ、孤島にそびえる王城に、王の婚礼衣装を作るため、仕立て屋として上がったら…王を助ける人がいないんですけどぉ?
本編完結。そして、続編「前作はモブ、でも続編は悪役令嬢ポジなんですけどぉ?」も同時収録。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる