あなたの月 8月

渋谷かな

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戦闘は飽きるので、飽きない日常を。

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「ニワトリ!?」
 目覚めた葉月に夢であったニワトリが頭に乗っていた。
「コケッ。」
(おはよう。葉月。)
 ニワトリは葉月の心に話しかける。
「ウワアアアアアー!? このニワトリ!? ニワトリ!? ・・・・・・卵を産んでいる!?」
「コケッ・・・・・・。」
(そっちか・・・・・・。)
 心に話しかけてくることよりも、頭の上で卵を産まれたことに驚く葉月。
「やったー! 今日のご飯はゆで卵!」
 生まれたての卵に喜ぶ食欲旺盛な葉月であった。
「はあ!? ニワトリが喋った!?」
「コケッ・・・・・・。」
(今更か・・・・・・。)
 ニワトリも呆れるしかない。
「あなたは!? 夢のニワトリ!?」
「コケッ。」
(その通りだ。)
 葉月が夢で見たニワトリである。
「人間と心が通じるなんて高く売れるわ! さっそくオークションに出品しなくっちゃ!」
「コケッ!?」
(コラー!?)
 さすがの大らかなニワトリも怒り、葉月を嘴で突きまくる。
「じょ、冗談です。」
「コケッ。」
(分かればいい。分かれば。)
 この勝負、ニワトリの勝ちであった。
「コケッ。」
(葉月よ。おまえの命は私が救ってやった。)
「ありがとう。チキン。」
「コケッ?」
(チキン?)
「今日からあなたの名前はチキンよ! フルネームは、フライド・チキン!」
「コケッ・・・・・・。」
(名前なんか、どうでもいい。)
「あまり乗り気じゃないみたいね? それならチキンカレー? チキンライス? チキン南蛮なんていう名前もあるわよ?」
「コケッ!?」
(全部食べ物の名前かよ!?)
 葉月の頭の中は煩悩の塊であった。
「コケッ。」
(まあ、いい。これからは酉の干支守として、世界の平和のために戦ってくれ。)
「チキンピザもあったわね。」
 未だにチキンに関する料理を研究中の葉月。
「コケッ!?」
(ズコー!?)
 さすがのチキンもこけた。
「コケッ。」
(ま、ま、まずは葉月。おまえが死ぬはずだった事故の原因を追究しよう。)
「私が死ぬはずだった自己の原因?」
「コケッ。」
(そうだ。全ての自己には原因があるのだ。) 
 遊んでいた葉月の動きが止まる。
「私の事故にも原因があるの!?」
「コケッ。」
(ある。アイドルとして歌を歌った時に、点検済みのセットの証明が落ちてくる。おかしいと思わないか?)
「確かに!?」
 初めて自分の事故に疑念を抱く葉月。
「コケッ。」
(葉月は、人気アイドルだから、他人の妬みや嫉妬を買いやすい。)
「エエー!? 妬みや嫉妬!? 私は何も悪いことしてないよ!?」
「コケッ。」
(他人の悪意は、本人がどうこうではない。相手がどう思うかだけだ。)
「そ、そんな!?」
「コケッ。」
(教えてやろう。この世の中で一番怖いのは、目で見えないものだ。)
「目で見えないもの?」
「コケッ。」
(例えば、他人の心とかな。相手がどう思っているかなんて、誰にも分からないからな。)
「他人の心か・・・・・・。」
 葉月は少し文学らしい作品になったと戸惑ったかもしれない。
 つづく。
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