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長月とドック
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「zzz。」
九月長月。趣味は寝ること。どこででも。
「ワン?」
犬が道端で捨てられている人間? 眠っている長月を見つけた。
「ワン。」
(遭難者か。助けなければ。)
犬は長月をくわえて道を引きづり交番にたどり着いた。
「ああ~長月ちゃんか。この子は寝ているだけだから大丈夫。」
「ワン?」
犬にはお巡りさんが何を言っているのか分からなかった。
「ほら、見ていてごらん。寝ながらでも自宅に歩いて帰るから。」
「ワン!?」
「zzz。」
寝ている長月がゾンビか、キョンシーのように動き出した。
「zzz。」
「ワン。」
心配な犬は長月についていくことにした。
「zzz。」
赤信号は止まり、バイクが来ては道端に退避する長月。
「ワン!?」
(こいつはいったい何者だ!? 神だ!? 神に違いない!?)
「zzz。」
寝ている長月は無敵だった。
「zzz。」
授業中や自宅では睡眠学習。
「zzz。」
もちろんテストの点数は100点満点。
「zzz。」
結果、寝ている長月は完全無敵なのであった。
「zzz。」
「ワン。」
長月は家に着いた。犬も長月について家にあがる。
「おかえりなさい。長月ちゃん。」
「zzz。」
出迎えた母親も寝ている娘に慣れているので、別に気にしない。
「ワン。」
「あら? かわいいワンちゃん。きっと娘のことが気に入ったのね。」
「ワン。」
「そうね。眠りながら外を歩くって危ないから、盲導犬の一匹でも飼おうかしらと思っていたのよね。ちょうど良かったわ。」
長月の母親は、眠っていてもテストの点数が100点、無事に家に帰って来るので、特に娘に疑問を抱くことはなかった。
「娘のことをよろしくね。ワンちゃん。」
「ワン。」
こうして犬は長月家の一員として迎えられたのであった。
「zzz。」
長月は服を着替える時も、ご飯を食べる時も、お風呂に入っている時も寝ていた。
「はあっ!? 今!? 何時だ!?」
そんな長月が目覚めた。
「ワン!?」
長月が目覚めるということは天と地が逆転するくらいの衝撃、世界に終わりを告げるインパクトがあった。
「歌番組を見なければ!」
長月が目覚める理由は歌番組を見るためだった。
「いいな~。私もアイドルになりたいな~。」
目覚めても夢見る少女の長月。彼女の夢はアイドルになることだった。
「ワン。」
(きっと長月ならなれるよ。アイドルに。)
犬は長月の夢を応援するのだった。
「ウワアアアアアー!? 犬がいる!?」
やっと初対面の長月と犬。
「ワン。」
「・・・・・・そうか、そうか。おまえも私がアイドルになれると言ってくれるんだな。カワイイ奴だ。飼ってあげよう。」
「ワンワン。」
こうして長月にも受け入れられた犬は大変喜んだ。
「そうだな。名前を付けなくっちゃな。アイドルらしく、zzz(トリプルz)はどうだ?」
「・・・・・・。」
「犬丸zとか?」
「・・・・・・・。」
長月のネーミングセンスは残念なものだった。
「分かった! 犬の大先輩から名前をいただいて、ヨーゼフにしよう。バロンでもコロンでもいいぞ。」
「・・・・・・。」
「面倒臭いからドックでいいや。」
「ワン。」
犬は普通の名前に喜んだ。
「よし! アイドルになるためにユーチューブに歌を投稿だ!」
現代人の発想は同じだった。
「ガーン・・・・・・。」
しかし長月は音痴でファンはできなかった。
「zzz。」
真夜中。
「ワン、ワン、ワワン! ワン! ワン! ワワン!」
謎の踊りを寝ながら踊る長月と犬のくせに歌が上手なドックがユーチューブに歌っている所を投稿した。
「はあっ・・・・・・おはよう。ドック。」
さすがの長月も朝は目覚めるみたいだった。
「ワン。」
ドックは何かを見せたいみたいだった。
「なに? 私は眠たいんだけど?」
「ワン。」
ドックは寝ぼける長月にパソコンの画面を見せた。
「なんじゃこりゃ!?」
珍しく長月の目が完全に覚めた。
「1億人!? 私の動画が1億人の人に見られたというのか!?」
「ワン。」
といっても寝ている長月の不思議な踊りと、ドックがワンワン歌っている映像なのだが。
「やったー! これで私もトップアイドルの仲間入りだ!」
「ワン。」
幸運を呼ぶ犬のドックと長月は不思議な眠り姫であった。
つづく。
九月長月。趣味は寝ること。どこででも。
「ワン?」
犬が道端で捨てられている人間? 眠っている長月を見つけた。
「ワン。」
(遭難者か。助けなければ。)
犬は長月をくわえて道を引きづり交番にたどり着いた。
「ああ~長月ちゃんか。この子は寝ているだけだから大丈夫。」
「ワン?」
犬にはお巡りさんが何を言っているのか分からなかった。
「ほら、見ていてごらん。寝ながらでも自宅に歩いて帰るから。」
「ワン!?」
「zzz。」
寝ている長月がゾンビか、キョンシーのように動き出した。
「zzz。」
「ワン。」
心配な犬は長月についていくことにした。
「zzz。」
赤信号は止まり、バイクが来ては道端に退避する長月。
「ワン!?」
(こいつはいったい何者だ!? 神だ!? 神に違いない!?)
「zzz。」
寝ている長月は無敵だった。
「zzz。」
授業中や自宅では睡眠学習。
「zzz。」
もちろんテストの点数は100点満点。
「zzz。」
結果、寝ている長月は完全無敵なのであった。
「zzz。」
「ワン。」
長月は家に着いた。犬も長月について家にあがる。
「おかえりなさい。長月ちゃん。」
「zzz。」
出迎えた母親も寝ている娘に慣れているので、別に気にしない。
「ワン。」
「あら? かわいいワンちゃん。きっと娘のことが気に入ったのね。」
「ワン。」
「そうね。眠りながら外を歩くって危ないから、盲導犬の一匹でも飼おうかしらと思っていたのよね。ちょうど良かったわ。」
長月の母親は、眠っていてもテストの点数が100点、無事に家に帰って来るので、特に娘に疑問を抱くことはなかった。
「娘のことをよろしくね。ワンちゃん。」
「ワン。」
こうして犬は長月家の一員として迎えられたのであった。
「zzz。」
長月は服を着替える時も、ご飯を食べる時も、お風呂に入っている時も寝ていた。
「はあっ!? 今!? 何時だ!?」
そんな長月が目覚めた。
「ワン!?」
長月が目覚めるということは天と地が逆転するくらいの衝撃、世界に終わりを告げるインパクトがあった。
「歌番組を見なければ!」
長月が目覚める理由は歌番組を見るためだった。
「いいな~。私もアイドルになりたいな~。」
目覚めても夢見る少女の長月。彼女の夢はアイドルになることだった。
「ワン。」
(きっと長月ならなれるよ。アイドルに。)
犬は長月の夢を応援するのだった。
「ウワアアアアアー!? 犬がいる!?」
やっと初対面の長月と犬。
「ワン。」
「・・・・・・そうか、そうか。おまえも私がアイドルになれると言ってくれるんだな。カワイイ奴だ。飼ってあげよう。」
「ワンワン。」
こうして長月にも受け入れられた犬は大変喜んだ。
「そうだな。名前を付けなくっちゃな。アイドルらしく、zzz(トリプルz)はどうだ?」
「・・・・・・。」
「犬丸zとか?」
「・・・・・・・。」
長月のネーミングセンスは残念なものだった。
「分かった! 犬の大先輩から名前をいただいて、ヨーゼフにしよう。バロンでもコロンでもいいぞ。」
「・・・・・・。」
「面倒臭いからドックでいいや。」
「ワン。」
犬は普通の名前に喜んだ。
「よし! アイドルになるためにユーチューブに歌を投稿だ!」
現代人の発想は同じだった。
「ガーン・・・・・・。」
しかし長月は音痴でファンはできなかった。
「zzz。」
真夜中。
「ワン、ワン、ワワン! ワン! ワン! ワワン!」
謎の踊りを寝ながら踊る長月と犬のくせに歌が上手なドックがユーチューブに歌っている所を投稿した。
「はあっ・・・・・・おはよう。ドック。」
さすがの長月も朝は目覚めるみたいだった。
「ワン。」
ドックは何かを見せたいみたいだった。
「なに? 私は眠たいんだけど?」
「ワン。」
ドックは寝ぼける長月にパソコンの画面を見せた。
「なんじゃこりゃ!?」
珍しく長月の目が完全に覚めた。
「1億人!? 私の動画が1億人の人に見られたというのか!?」
「ワン。」
といっても寝ている長月の不思議な踊りと、ドックがワンワン歌っている映像なのだが。
「やったー! これで私もトップアイドルの仲間入りだ!」
「ワン。」
幸運を呼ぶ犬のドックと長月は不思議な眠り姫であった。
つづく。
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