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10 最終章
18階
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5階からショートカットを使用することで、18階まで飛ぶことができる。
しかし、早く深くまで行けるからといって、安易に利用すると叩き潰される。
この階層にタワーはない。
いや正確には、ないってわけではないんだけど、魔物を掻い潜り、タワーを破壊することはできない。
スタート地点はどこかで見たような白い部屋だけど、その天井と壁はすぐに溶け落ちる。
舞台は古代の神殿に似た人工的建造物。
実際神殿を見たことはないけど。
中央に台座があり、その周囲は石柱に囲まれている。
頭上からは日光に似た光が降り注ぎ、部屋中が明るい。
代わりに1匹、巨大な宝石が鎮座している。
ただの水晶に見えるけど、これは魔物の一種。
宝石は微妙に浮いて、ゆっくり回転している。
移動はしないらしいけど、正面と背面があって、正面からの攻撃は通りにくいとか、なんとか。
要するにこれは、ボス戦だ。
ギラッ、と宝石が光った。
「フェンネル!」
「分かってる」
フェンネルさんが剣を払う。宝石から放たれた光線が四方八方に散る。
「ロイド、レイスとスードルを頼む! フェンネルは前へ、俺が援護する! シアトルは裏へ周れ! スズネ、フェンネルと交互に注意を引きつけろ! キースはこっちに隠れてろ、狙い撃ちされるぞ!」
ダンジョンのボスはほとんどダンジョン外では存在しない魔物で、この宝石もそれと同じだ。
意思があるのかないのかは分からないけど、正面と裏面があって、正面に対して最も自分に近い敵とか、多くダメージを与えた敵に対してロックオンを行い、ビームみたいなのを発射してくる。
当たれば無事では済まない。
無事では済まないというか、急所に当たれば死ぬし、掠っただけで火傷する。腕とか足は普通に貫通する。
18階という階層にしては、やや強すぎるような気もする。
こういうのが多いから、初見殺しダンジョンってことなんだと思う。
「はっ」
フェンネルさんは柱に隠れながら、光線を避けたり、剣で払う。
わたしは隙をつき、正面から走って近づく。
キラッ、とまた魔物が光る。ロックオン先が変更されたのだ。
「ディスク・エレメント・アクア!」
光線とはいえ、実体は魔術だ。
わたしは正面に水の円盤を作り、光線の勢いを殺して避ける。
実は、ダンジョン内では魔力の動きが複雑で、階層にもよるけど、大体自分の周囲2mくらいの範囲しか魔術の起点にできない。
スードルの力を借りればその限りではないけど、スードルもやりにくいみたいで、時間がかかったり、完璧に上手くいかなかったりしてしまう。
本当なら、宝石ごと水に沈めてしまえば、光線の動きも威力も弱まるだろうけど、それはできないってことだ。
「頑張りすぎ」
フェンネルさんが前に出て、一気に斬り込む。
剣は宝石に当たり、寒天みたいに切り裂かれた。
けれどそのくらいでは戦闘終了とはならず、切り口は回復していき、フェンネルさんを追撃するように次々と光線を放った。
「フェンネル、避けろ!」
フェンネルさんは即座に後退し、その隙にアリスメードさんが矢を放つ。突き刺さるけど、ダメージになってるのかどうか分からない。
だけどまた宝石が光る。
でも、アリスメードさんを狙わせるわけにはいかない。わたしは両脚に強化をかけて土を蹴り、フェンネルさんの真似をして宝石に斬りつける。
「う、わわ」
意外と硬く、フェンネルさんのように切り裂くことはできなかった。
剣は跳ね返され、わたしの体はバランスを崩して宙を舞う。
宝石はわたしに標的を変更して、攻撃してきた。
けれど半ば強引に自分の体を風で吹き飛ばして、避ける。
「ん……危険」
フェンネルさんがまた前に出て、わたしを庇ってくれた。
わたしは体勢を立て直し、フェンネルさんと一緒に後退する。
「フェンネル、詰めろ! 頼むぞシアトル! スズネは避けて! レイス、準備はいいな!?」
「もちろんだよー!」
シアトルさんが、上手く回り込めたみたいだ。
アリスメードさんの指示で、フェンネルさんは一気に走り出す。
わたしはレイスさんの射線に入らないように避ける。
宝石はフェンネルさんに反応し、光線を出そうとしたけど、そこで背後のシアトルさんに攻撃を受けた。
一瞬真っ赤に輝き、瞬時に180度回転する。
「発射ーー!」
レイスさんの声。と同時に宝石に攻撃が突き刺さる。
それは氷の槍だった。
鋭く尖った無数の槍が、ちょうど回転した宝石の背後にまともに直撃したらしい。
不意の攻撃に、宝石はもう一度体を反転させようとしたけど、明らかに弱っていた。
「これで……終わり……!」
フェンネルさんが跳び上がり、剣を振り下ろした。
「…………!!」
宝石は一刀両断され、何かが砕けた音がした。
しかし、早く深くまで行けるからといって、安易に利用すると叩き潰される。
この階層にタワーはない。
いや正確には、ないってわけではないんだけど、魔物を掻い潜り、タワーを破壊することはできない。
スタート地点はどこかで見たような白い部屋だけど、その天井と壁はすぐに溶け落ちる。
舞台は古代の神殿に似た人工的建造物。
実際神殿を見たことはないけど。
中央に台座があり、その周囲は石柱に囲まれている。
頭上からは日光に似た光が降り注ぎ、部屋中が明るい。
代わりに1匹、巨大な宝石が鎮座している。
ただの水晶に見えるけど、これは魔物の一種。
宝石は微妙に浮いて、ゆっくり回転している。
移動はしないらしいけど、正面と背面があって、正面からの攻撃は通りにくいとか、なんとか。
要するにこれは、ボス戦だ。
ギラッ、と宝石が光った。
「フェンネル!」
「分かってる」
フェンネルさんが剣を払う。宝石から放たれた光線が四方八方に散る。
「ロイド、レイスとスードルを頼む! フェンネルは前へ、俺が援護する! シアトルは裏へ周れ! スズネ、フェンネルと交互に注意を引きつけろ! キースはこっちに隠れてろ、狙い撃ちされるぞ!」
ダンジョンのボスはほとんどダンジョン外では存在しない魔物で、この宝石もそれと同じだ。
意思があるのかないのかは分からないけど、正面と裏面があって、正面に対して最も自分に近い敵とか、多くダメージを与えた敵に対してロックオンを行い、ビームみたいなのを発射してくる。
当たれば無事では済まない。
無事では済まないというか、急所に当たれば死ぬし、掠っただけで火傷する。腕とか足は普通に貫通する。
18階という階層にしては、やや強すぎるような気もする。
こういうのが多いから、初見殺しダンジョンってことなんだと思う。
「はっ」
フェンネルさんは柱に隠れながら、光線を避けたり、剣で払う。
わたしは隙をつき、正面から走って近づく。
キラッ、とまた魔物が光る。ロックオン先が変更されたのだ。
「ディスク・エレメント・アクア!」
光線とはいえ、実体は魔術だ。
わたしは正面に水の円盤を作り、光線の勢いを殺して避ける。
実は、ダンジョン内では魔力の動きが複雑で、階層にもよるけど、大体自分の周囲2mくらいの範囲しか魔術の起点にできない。
スードルの力を借りればその限りではないけど、スードルもやりにくいみたいで、時間がかかったり、完璧に上手くいかなかったりしてしまう。
本当なら、宝石ごと水に沈めてしまえば、光線の動きも威力も弱まるだろうけど、それはできないってことだ。
「頑張りすぎ」
フェンネルさんが前に出て、一気に斬り込む。
剣は宝石に当たり、寒天みたいに切り裂かれた。
けれどそのくらいでは戦闘終了とはならず、切り口は回復していき、フェンネルさんを追撃するように次々と光線を放った。
「フェンネル、避けろ!」
フェンネルさんは即座に後退し、その隙にアリスメードさんが矢を放つ。突き刺さるけど、ダメージになってるのかどうか分からない。
だけどまた宝石が光る。
でも、アリスメードさんを狙わせるわけにはいかない。わたしは両脚に強化をかけて土を蹴り、フェンネルさんの真似をして宝石に斬りつける。
「う、わわ」
意外と硬く、フェンネルさんのように切り裂くことはできなかった。
剣は跳ね返され、わたしの体はバランスを崩して宙を舞う。
宝石はわたしに標的を変更して、攻撃してきた。
けれど半ば強引に自分の体を風で吹き飛ばして、避ける。
「ん……危険」
フェンネルさんがまた前に出て、わたしを庇ってくれた。
わたしは体勢を立て直し、フェンネルさんと一緒に後退する。
「フェンネル、詰めろ! 頼むぞシアトル! スズネは避けて! レイス、準備はいいな!?」
「もちろんだよー!」
シアトルさんが、上手く回り込めたみたいだ。
アリスメードさんの指示で、フェンネルさんは一気に走り出す。
わたしはレイスさんの射線に入らないように避ける。
宝石はフェンネルさんに反応し、光線を出そうとしたけど、そこで背後のシアトルさんに攻撃を受けた。
一瞬真っ赤に輝き、瞬時に180度回転する。
「発射ーー!」
レイスさんの声。と同時に宝石に攻撃が突き刺さる。
それは氷の槍だった。
鋭く尖った無数の槍が、ちょうど回転した宝石の背後にまともに直撃したらしい。
不意の攻撃に、宝石はもう一度体を反転させようとしたけど、明らかに弱っていた。
「これで……終わり……!」
フェンネルさんが跳び上がり、剣を振り下ろした。
「…………!!」
宝石は一刀両断され、何かが砕けた音がした。
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