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第055話 水辺のダンス
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とまぁ、色々あった訳ですが。
私は元気です。
豪族さん?
知らない人ですね。
実際に、まだ会った事も無いですし。
もしかすると、会う事も無く排除されるかもしれないですし。
その片鱗を垣間見てしまいましたので。
いやぁ、そろそろ品薄かしらと御用聞きに行った際にですね。
「あぁ、生きていてくれたか……。助かった、本当に助かったよ」
なんて、出迎えられた訳ですよ。
領の高官さんに。
うちのかみさんがねとかいう人なので、ハンドクリームをお渡しした相手なんですが。
話を聞くと、どうやら豪族さんが私を殺して財貨を奪ったなんて話がまことしやかに囁かれているようで。
奥様から、ハンドクリームが手に入らないなら絶許とかって申し送りされていたようで。
旦那さんも気が気でなかったらしく、そりゃ顔を出したら安心顔な訳ですよ。
ちょっとした経緯を説明したら、お偉いさん方に流布してくれるそうなので頼む事にしました。
もうね。
一人一人に説明するのは面倒くさいのです。
あ。
お客様は別ですよ?
その他の有象無象です。
顧客の方々には、きちんと顔を出してご挨拶します。
引っ越し蕎麦の代わりですね。
どうも、隣に引っ越してきた新しい国でーす。
うん、斬新な感じ。
積み木とハンドクリーム絡みの人にはきちんとお会いして、事情の説明を済ませたら、おうちに帰ります。
いや、折角拠点も移ったので、新しい産物を生み出したいなと。
てちてち。
はい。
という訳で、やってきました。
湖。
朝ぼらけの薄い陽光が湖面に映り、淡く輝いているのが美しいです。
横には、ちょっと眠そうなリサさん。
いつもよりも大分早めに起こして準備していたので、ちょっと申し訳ないです。
本日は、この新アイテム。
釣竿を使っていこうかと思います。
いや、朝釣りがしたかっただけというのもありますが。
精霊さん達も何が始まるのかとわくわくしています。
ちなみに、針は縫い針から自分で作ったものです。
子供の頃に作った経験を生かしてみました。
ライギョとかよく釣ったものです。
今回は、フライフィッシングでマス系を狙ってみたく思います。
そんな懐かしい思い出を噛み締めながら、オーバーヘッドキャスト。
針の重さと勢いだけで飛んでいった毛針が湖面に触れた刹那。
フィッシュオン。
その間、0.8秒です。
どんだけスレてないんでしょうか。
何回か試行しないと駄目かなと思っていたのですが。
冬場の湖面には餌があまりないのか、腹ペコさんのようです。
「う……ぉ!?」
しかも、呻く程度に重い。
針は自家製、ラインは頼りない細い毛糸。
切れないようにだけ慎重に引き込んで、引き込んで。
釣り上げるというよりも、そっと引っ張って誘導する感じで岸辺に上げてみると……。
『おおもの』
『ぬし』
『はくげい!!』
最後のだと、沈められちゃいます。
いやぁ。
しょっぱなから、三十センチ前後のマスっぽいやつがかかりました。
リサさん曰く、川でも住んでいる毒の無い美味しいやつとお墨付きを頂きました。
「面白そう……」
あたふたとお魚さんと格闘する様が良かったのか、珍しくリサさんも前向きです。
そんな事もあろうかと。
釣竿ー(濁声)。
ちゃんと二人分用意しています。
間違いなくラインは切るので、大量に用意しましたよ?
針は……。
少ないですが。
という訳で、お魚さんの食いつきが悪くなる一時間ほどの間。
二人の岸辺のダンスは続いたのでした。
私は元気です。
豪族さん?
知らない人ですね。
実際に、まだ会った事も無いですし。
もしかすると、会う事も無く排除されるかもしれないですし。
その片鱗を垣間見てしまいましたので。
いやぁ、そろそろ品薄かしらと御用聞きに行った際にですね。
「あぁ、生きていてくれたか……。助かった、本当に助かったよ」
なんて、出迎えられた訳ですよ。
領の高官さんに。
うちのかみさんがねとかいう人なので、ハンドクリームをお渡しした相手なんですが。
話を聞くと、どうやら豪族さんが私を殺して財貨を奪ったなんて話がまことしやかに囁かれているようで。
奥様から、ハンドクリームが手に入らないなら絶許とかって申し送りされていたようで。
旦那さんも気が気でなかったらしく、そりゃ顔を出したら安心顔な訳ですよ。
ちょっとした経緯を説明したら、お偉いさん方に流布してくれるそうなので頼む事にしました。
もうね。
一人一人に説明するのは面倒くさいのです。
あ。
お客様は別ですよ?
その他の有象無象です。
顧客の方々には、きちんと顔を出してご挨拶します。
引っ越し蕎麦の代わりですね。
どうも、隣に引っ越してきた新しい国でーす。
うん、斬新な感じ。
積み木とハンドクリーム絡みの人にはきちんとお会いして、事情の説明を済ませたら、おうちに帰ります。
いや、折角拠点も移ったので、新しい産物を生み出したいなと。
てちてち。
はい。
という訳で、やってきました。
湖。
朝ぼらけの薄い陽光が湖面に映り、淡く輝いているのが美しいです。
横には、ちょっと眠そうなリサさん。
いつもよりも大分早めに起こして準備していたので、ちょっと申し訳ないです。
本日は、この新アイテム。
釣竿を使っていこうかと思います。
いや、朝釣りがしたかっただけというのもありますが。
精霊さん達も何が始まるのかとわくわくしています。
ちなみに、針は縫い針から自分で作ったものです。
子供の頃に作った経験を生かしてみました。
ライギョとかよく釣ったものです。
今回は、フライフィッシングでマス系を狙ってみたく思います。
そんな懐かしい思い出を噛み締めながら、オーバーヘッドキャスト。
針の重さと勢いだけで飛んでいった毛針が湖面に触れた刹那。
フィッシュオン。
その間、0.8秒です。
どんだけスレてないんでしょうか。
何回か試行しないと駄目かなと思っていたのですが。
冬場の湖面には餌があまりないのか、腹ペコさんのようです。
「う……ぉ!?」
しかも、呻く程度に重い。
針は自家製、ラインは頼りない細い毛糸。
切れないようにだけ慎重に引き込んで、引き込んで。
釣り上げるというよりも、そっと引っ張って誘導する感じで岸辺に上げてみると……。
『おおもの』
『ぬし』
『はくげい!!』
最後のだと、沈められちゃいます。
いやぁ。
しょっぱなから、三十センチ前後のマスっぽいやつがかかりました。
リサさん曰く、川でも住んでいる毒の無い美味しいやつとお墨付きを頂きました。
「面白そう……」
あたふたとお魚さんと格闘する様が良かったのか、珍しくリサさんも前向きです。
そんな事もあろうかと。
釣竿ー(濁声)。
ちゃんと二人分用意しています。
間違いなくラインは切るので、大量に用意しましたよ?
針は……。
少ないですが。
という訳で、お魚さんの食いつきが悪くなる一時間ほどの間。
二人の岸辺のダンスは続いたのでした。
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