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第二部 第三章「女王陛下と大怪盗」(3)
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※ご注意
今回も(2)(3)の二本立てで書きました。
ブックマークから飛んだ方は、前話からお読みくださいますよう、よろしくお願いします。
3
「うんま!! これうんまっ!!」
最初にルッ君が叫んだ。
「な、なんだこれ!! バカみてぇにうめぇ!! メルはいつもこんなうめぇもん食ってたのか!」
エスメラルダばあちゃんのパエリアをガツガツ食いながら、キムが次に叫んだ。
たしかに、バカみたいにうまい。
「ふふ、そうね。おばあちゃんのパエリア、ちょっと食べてないだけなのに、すっごく懐かしい感じがする」
メルが銀縁のメガネを湯気で曇らせながら、はふはふと食べている。
「あっはっは、たくさん作ってあるから、いくらでもた~んとお食べ」
「キム、今の『いくらでも』は一般人向けにおっしゃっているんだからね? アンタは鵜呑みにしちゃダメよ?」
「わ、わかってるよ……」
ユキに釘を刺されて、キムが唸るように言った。
そんなことを言っているユキもキムに負けないハイペースだ。
「本当、すごく美味しい……。ジェルディクのお米と違って、粘り気が少ないのね」
「エスパダの米はね、陸稲なんだよ。田植えをせずに、畑で育てるのさ」
「へぇー!」
アリサに説明するばあちゃんの言葉に、僕は耳を傾ける。
畑でもお米って育つのか……。
ちょっとベルゲングリューン市でも作ってみようかな。
咖喱用のお米を水田で作って、パエリア用のお米を畑で作ったりして。
「でもこれ、アサリの殻がちょっと邪魔だよな。これがなけりゃ、もさもさもさって食えるのによ」
「もさもさもさって食べない料理なのよん。アンタはなんでもかんでも、もさもさ食べすぎなの」
花京院のことを、教育係のジョセフィーヌがきっちり指導している。
一方のキムは、アサリの殻など気にせずにもさもさ食っていた。
「卿よ、なぜそんなにニヤニヤしながら食べているんだ?」
「幸せなんだよ、閣下。僕は今、新しい文化との出会いに感動しているんだ」
「あっはっは、あんたも大げさだねぇ」
ジルベールの問いに僕が答えると、おばあちゃんが楽しそうに笑った。
「これがエスパダの料理なんだなぁ……。素晴らしい文化だ!!」
「ふふ、貴様はずっとエスパダの風土料理を楽しみにしていたものな」
ヒルダ先輩が慈愛の眼差しを向けて笑う。
ヒルダ先輩、ギルサナス、アーデルハイド、オールバック君、ミスティ先輩はパエリア経験者なのだそうだ。
でも五人とも食べてビックリするぐらい、メルのおばあちゃんのパエリアは絶品らしい。
「この食文化は絶対ヴァイリスの庶民も味わうべきだね。ベルゲングリューン市の次の目標はこれにしよう。今度ギュンターさんと相談だ」
「ギュンターさんって、最近ベルくんのお仕事ばっかりやっているんじゃない? 本業の方は大丈夫なのかしら」
ミスティ先輩が言った。
「ミスティ先輩、知ってます? ギュンターさんの商会の名前」
「もちろん知ってるわよ。ジェルディクでも大手の商会だもの。ツェーザル商会でしょ?」
ミスティ先輩の言葉に、ユキがぶんぶんと首を振った。
「それが、今は違うんですよ。『ベルゲングリューン商会』って名乗ってます」
「ぶっ……」
ミスティ先輩がパエリアを噴いて、アーデルハイドが信じられないものでも見るようにミスティ先輩を見た。
「……ごめんあそばせ」
「……い、いえ、いいんですのよ。ちょっとびっくりしただけですわ」
口元をナプキンで拭くミスティ先輩に、アーデルハイドが言った。
「ベルゲングリューンランドの時に、ギュンターさんから申し出があったんだよ。出資するからこれからは全部一緒にやっていきたいって」
「ヴェンツェル、彼はどこに向かおうとしているんだ?」
「オールバック君、私にもわからん。私は子貴族家として、ベルに付いていくまでさ」
美少女にしか見えないヴェンツェルがめちゃくちゃかわいくパエリアを頬張りながら、達観したようにオールバックくんの問いに答える。
「子貴族家か……、それもいいな。ウチもそうしてもらうか」
「ちょ、あ、あなた、自分が何を言っているのかわかっているんですの?! 由緒あるバルテレミー伯爵家が、名実ともに有力貴族とはいえ、新興の貴族家の子貴族入りだなんて!」
アーデルハイドがオールバックくんにツッコむと、一同が全員顔を上げてアーデルハイドのことを見た。
「な、なんですの……、皆さんのその目は……」
「なんだかんだ、認めてるんだ」
アリサがぼそっと言った。
「名実ともに有力貴族ですって。よかったね、ベルくん」
「い、いや、そ、それは……こ、言葉の綾ですわ!!」
ミスティ先輩の冷やかしに、アーデルハイドが顔を真っ赤にする。
アーデルハイドは僕にツンデレするんじゃなくて、ミヤザワくんにデレた方がお似合いだと思うんだけどなぁ。
ミヤザワくん、もっと頑張れ!!
あれ、ミヤザワくんは。
あ、いた。
……魚介類が好きだから、気配を消して無心でパエリアを食べていた。
「うわ、ブッチャーまでいるじゃん」
「ぐえ」
おばあちゃんが用意してくれたのだろう。
ミヤザワくんの足元にお皿が置かれていて、ブッチャーが美味しそうにパエリアを食べていた。
「こいつパエリア食うんか……、しかもアサリの殻ごといっとるぞ……」
「ブッチャーはなんでも食べるんだよ。でも、今日はすごく喜んでる」
「ぐえぐえ」
太っちょちびドラゴンがご機嫌な様子で返事をした。
……ミヤザワくんは恋愛をする前から子育てに夢中だった。
「そんで、この後はどーすんの?」
アサリをがじがじしながら、ルッ君が言った。
「僕はちょっと、屋敷を見てこようかと思って」
「屋敷って?」
「なんか、女王陛下からもらったんだよね。ここのすぐ近所の」
「えっ!? それってもしかして?!」
顔を上げたメルに、エスメラルダばあちゃんがうなずいた。
「あそこのお屋敷らしいよ。ご縁っていうか、女王陛下も粋な計らいをなさるじゃないか」
「私、子供の頃からあのキレイなお屋敷、すっごく憧れだったの……」
メルこと、メルティーナの名前の由来であるメルセデス女王陛下は、メルにとって憧れの人だったらしく、子供の頃からお屋敷を眺めて育ったのだそうだ。
「素敵……、あれがベルのお屋敷になるのね」
「結婚したら二人のものだよ、メル……あだっ!! うわっ!!」
僕がそう言うと、女性陣から一斉にアサリの殻が飛んできた。
「って、今ルッ君も投げただろ!」
「すっげぇチャラいこと言ってんのに、なんでお前が言うとチャラくなんないんだよ」
ものすごくお行儀が悪いことをしているのに、エスメラルダおばあちゃんはすごく楽しそうに笑っていた。
「ね? ルクスちゃん。海賊団のお宝をエスパダ王国に返すのがもったいないって言った時に、ワタシ、言ったでしょ? 『まつおちゃんがタダであげるわけないじゃない』って」
「永続的な自由渡航権に事実上の独占的な通商権、爵位に屋敷。……たしかに、タダどころの話ではないな」
ルッ君にドヤ顔をするジョセフィーヌに、ジルベールが同意する。
「祖父殿がボヤいていたぞ。貴様が大使をやりこめるのを楽しんで見ていたら、いつのまにか自国の利益以上の利益を貴様にぶん取られたとな。……通商権だけは祖父殿も予想外だったらしい」
ヒルダ先輩が楽しそうに言った。
「貴様のせいで、祖父殿は急いでエスパダとの通商条約を結びたいらしいが、エリオット国王陛下がエスパダとの積極外交に及び腰でいらっしゃるそうで難航しているらしい」
……直前にエスメラルダばあちゃんの話を聞いたから、その理由はなんとなくわかる。
昔に色々あった二人にとっては、ちょうどいい距離感っていうものがあるんだろう。
国益だなんだといっても、そうした人間くさい、もやもやっとした感情が影響するんだと思うと、ちょっと政治の世界も面白いのかもな、と思った。
「ま、そんなわけで、ご飯を食べ終わったらちょっと見に行くつもりなんだけど……、みんなも来る?」
僕がそう言うと、一同は全員大きくうなずいた。
「……でも、その前に……、おばあちゃん、パエリアおかわり!!」
今回も(2)(3)の二本立てで書きました。
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「うんま!! これうんまっ!!」
最初にルッ君が叫んだ。
「な、なんだこれ!! バカみてぇにうめぇ!! メルはいつもこんなうめぇもん食ってたのか!」
エスメラルダばあちゃんのパエリアをガツガツ食いながら、キムが次に叫んだ。
たしかに、バカみたいにうまい。
「ふふ、そうね。おばあちゃんのパエリア、ちょっと食べてないだけなのに、すっごく懐かしい感じがする」
メルが銀縁のメガネを湯気で曇らせながら、はふはふと食べている。
「あっはっは、たくさん作ってあるから、いくらでもた~んとお食べ」
「キム、今の『いくらでも』は一般人向けにおっしゃっているんだからね? アンタは鵜呑みにしちゃダメよ?」
「わ、わかってるよ……」
ユキに釘を刺されて、キムが唸るように言った。
そんなことを言っているユキもキムに負けないハイペースだ。
「本当、すごく美味しい……。ジェルディクのお米と違って、粘り気が少ないのね」
「エスパダの米はね、陸稲なんだよ。田植えをせずに、畑で育てるのさ」
「へぇー!」
アリサに説明するばあちゃんの言葉に、僕は耳を傾ける。
畑でもお米って育つのか……。
ちょっとベルゲングリューン市でも作ってみようかな。
咖喱用のお米を水田で作って、パエリア用のお米を畑で作ったりして。
「でもこれ、アサリの殻がちょっと邪魔だよな。これがなけりゃ、もさもさもさって食えるのによ」
「もさもさもさって食べない料理なのよん。アンタはなんでもかんでも、もさもさ食べすぎなの」
花京院のことを、教育係のジョセフィーヌがきっちり指導している。
一方のキムは、アサリの殻など気にせずにもさもさ食っていた。
「卿よ、なぜそんなにニヤニヤしながら食べているんだ?」
「幸せなんだよ、閣下。僕は今、新しい文化との出会いに感動しているんだ」
「あっはっは、あんたも大げさだねぇ」
ジルベールの問いに僕が答えると、おばあちゃんが楽しそうに笑った。
「これがエスパダの料理なんだなぁ……。素晴らしい文化だ!!」
「ふふ、貴様はずっとエスパダの風土料理を楽しみにしていたものな」
ヒルダ先輩が慈愛の眼差しを向けて笑う。
ヒルダ先輩、ギルサナス、アーデルハイド、オールバック君、ミスティ先輩はパエリア経験者なのだそうだ。
でも五人とも食べてビックリするぐらい、メルのおばあちゃんのパエリアは絶品らしい。
「この食文化は絶対ヴァイリスの庶民も味わうべきだね。ベルゲングリューン市の次の目標はこれにしよう。今度ギュンターさんと相談だ」
「ギュンターさんって、最近ベルくんのお仕事ばっかりやっているんじゃない? 本業の方は大丈夫なのかしら」
ミスティ先輩が言った。
「ミスティ先輩、知ってます? ギュンターさんの商会の名前」
「もちろん知ってるわよ。ジェルディクでも大手の商会だもの。ツェーザル商会でしょ?」
ミスティ先輩の言葉に、ユキがぶんぶんと首を振った。
「それが、今は違うんですよ。『ベルゲングリューン商会』って名乗ってます」
「ぶっ……」
ミスティ先輩がパエリアを噴いて、アーデルハイドが信じられないものでも見るようにミスティ先輩を見た。
「……ごめんあそばせ」
「……い、いえ、いいんですのよ。ちょっとびっくりしただけですわ」
口元をナプキンで拭くミスティ先輩に、アーデルハイドが言った。
「ベルゲングリューンランドの時に、ギュンターさんから申し出があったんだよ。出資するからこれからは全部一緒にやっていきたいって」
「ヴェンツェル、彼はどこに向かおうとしているんだ?」
「オールバック君、私にもわからん。私は子貴族家として、ベルに付いていくまでさ」
美少女にしか見えないヴェンツェルがめちゃくちゃかわいくパエリアを頬張りながら、達観したようにオールバックくんの問いに答える。
「子貴族家か……、それもいいな。ウチもそうしてもらうか」
「ちょ、あ、あなた、自分が何を言っているのかわかっているんですの?! 由緒あるバルテレミー伯爵家が、名実ともに有力貴族とはいえ、新興の貴族家の子貴族入りだなんて!」
アーデルハイドがオールバックくんにツッコむと、一同が全員顔を上げてアーデルハイドのことを見た。
「な、なんですの……、皆さんのその目は……」
「なんだかんだ、認めてるんだ」
アリサがぼそっと言った。
「名実ともに有力貴族ですって。よかったね、ベルくん」
「い、いや、そ、それは……こ、言葉の綾ですわ!!」
ミスティ先輩の冷やかしに、アーデルハイドが顔を真っ赤にする。
アーデルハイドは僕にツンデレするんじゃなくて、ミヤザワくんにデレた方がお似合いだと思うんだけどなぁ。
ミヤザワくん、もっと頑張れ!!
あれ、ミヤザワくんは。
あ、いた。
……魚介類が好きだから、気配を消して無心でパエリアを食べていた。
「うわ、ブッチャーまでいるじゃん」
「ぐえ」
おばあちゃんが用意してくれたのだろう。
ミヤザワくんの足元にお皿が置かれていて、ブッチャーが美味しそうにパエリアを食べていた。
「こいつパエリア食うんか……、しかもアサリの殻ごといっとるぞ……」
「ブッチャーはなんでも食べるんだよ。でも、今日はすごく喜んでる」
「ぐえぐえ」
太っちょちびドラゴンがご機嫌な様子で返事をした。
……ミヤザワくんは恋愛をする前から子育てに夢中だった。
「そんで、この後はどーすんの?」
アサリをがじがじしながら、ルッ君が言った。
「僕はちょっと、屋敷を見てこようかと思って」
「屋敷って?」
「なんか、女王陛下からもらったんだよね。ここのすぐ近所の」
「えっ!? それってもしかして?!」
顔を上げたメルに、エスメラルダばあちゃんがうなずいた。
「あそこのお屋敷らしいよ。ご縁っていうか、女王陛下も粋な計らいをなさるじゃないか」
「私、子供の頃からあのキレイなお屋敷、すっごく憧れだったの……」
メルこと、メルティーナの名前の由来であるメルセデス女王陛下は、メルにとって憧れの人だったらしく、子供の頃からお屋敷を眺めて育ったのだそうだ。
「素敵……、あれがベルのお屋敷になるのね」
「結婚したら二人のものだよ、メル……あだっ!! うわっ!!」
僕がそう言うと、女性陣から一斉にアサリの殻が飛んできた。
「って、今ルッ君も投げただろ!」
「すっげぇチャラいこと言ってんのに、なんでお前が言うとチャラくなんないんだよ」
ものすごくお行儀が悪いことをしているのに、エスメラルダおばあちゃんはすごく楽しそうに笑っていた。
「ね? ルクスちゃん。海賊団のお宝をエスパダ王国に返すのがもったいないって言った時に、ワタシ、言ったでしょ? 『まつおちゃんがタダであげるわけないじゃない』って」
「永続的な自由渡航権に事実上の独占的な通商権、爵位に屋敷。……たしかに、タダどころの話ではないな」
ルッ君にドヤ顔をするジョセフィーヌに、ジルベールが同意する。
「祖父殿がボヤいていたぞ。貴様が大使をやりこめるのを楽しんで見ていたら、いつのまにか自国の利益以上の利益を貴様にぶん取られたとな。……通商権だけは祖父殿も予想外だったらしい」
ヒルダ先輩が楽しそうに言った。
「貴様のせいで、祖父殿は急いでエスパダとの通商条約を結びたいらしいが、エリオット国王陛下がエスパダとの積極外交に及び腰でいらっしゃるそうで難航しているらしい」
……直前にエスメラルダばあちゃんの話を聞いたから、その理由はなんとなくわかる。
昔に色々あった二人にとっては、ちょうどいい距離感っていうものがあるんだろう。
国益だなんだといっても、そうした人間くさい、もやもやっとした感情が影響するんだと思うと、ちょっと政治の世界も面白いのかもな、と思った。
「ま、そんなわけで、ご飯を食べ終わったらちょっと見に行くつもりなんだけど……、みんなも来る?」
僕がそう言うと、一同は全員大きくうなずいた。
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