『「稀世&三朗」のデートを尾行せよ!」謎の追跡者の極秘ミッション~偽りのチャンピオン・アナザーストーリー』

M‐赤井翼

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「ホテルランコッド大阪宿泊編」

「中之島 ホテルランコッド大阪③ お風呂」

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「中之島 ホテルランコッド大阪③ お風呂」

 「かどま酒」のおかげですっかり稀世と三朗の間のぎくしゃくした雰囲気は強い風で一気に霧が晴れるように、部屋の澱んだ空気は消え去った。
 三朗がチョイスしたルームサービスの3種のオードブルは「かどま酒」にベストマッチで次々と2人でグラスを空けていった。16度の日本酒は二人の心の緊張を取り去り、幅3.5メートルのワイドソファーの中央80センチの幅で肩を寄せ、常に密着して二人で飲み続け、今日一日の話から始まり、三朗が初めて見に行ったプロレスでデビュー戦の稀世に一目惚れした話などで盛り上がった。

 改めて共に「年齢イコール彼氏(彼女)いない歴」であることを自虐的に告白し、笑いあった。あっという間に「かどま酒」は空になり、冷蔵庫の中の缶ビールも全て空いた。ほろ酔い以上に気分が高揚した稀世がハイテンションで
「サブちゃん、せっかく地上200メートルの高さから大阪の夜景が見られるお風呂があるんやから一緒に入ろうや!ここで入っとかな絶対後悔するでなぁ!」
と誘うと、三朗は酔った顔をさらに赤くして
「えっ、そりゃめちゃくちゃうれしいですけど、僕らまだ手を繋いでおんぶしてハグをしただけで、間接キスまでの関係ですのにいきなり一緒にお風呂ってそんなことしてええんですか?」
と踊る心に反して正論を持ち出すので、稀世はジム帰りの荷物から水着を取り出し三朗に見せると反論を突きつけた。
「これで問題ないやろ!私もすっぽんぽんを見られるのは恥ずかしいし、サブちゃんのすっぽんぽん見るのも恥ずかしいから二人で水着着て入るんやったらノープロやん?公衆浴場のホットスパや混浴ジャグジーかてみんな水着を着て入ってるやん!」
 
 三朗は稀世の勢いに建前の「正論」を引っ込め、本音の「歓喜」が前に出た。
「そうですよね!水着着て入るお風呂は温水プールみたいなもんでやましいことなんかありませんよね!じゃあ、早速僕も「海パン」に履き替えてきます!」
とシャツを脱ぎながら脱衣場にスキップして向かった。
 稀世もドレッサールームに行くと、さっとパンツとブラウスを脱ぎ去り、鏡の中の自分に向かって(私の事をサブちゃんは「好き」と言うてくれた。私もサブちゃんのことが「好き」。いきなり「H」するわけやあれへんし、水着を着てのお風呂くらいかまへんよな!)と自問自答して、まだ湿っている水着に着替えた。

 リビングに出ると三朗がもろ童貞の「中学生・・・」の顔をして待っていた。
「もう、お湯は張ってありますからいつでも入れますよ!さあ、稀世さんからどうぞ。」
と稀世を夜景の見えるガラス張りの浴室へといざなった。
 照れ隠しに「四番サード掛け湯。」と大阪オヤジの定番ギャグを交えつつ、夜景の見える窓に向かって湯船に入った。少しぬるめのお湯がお酒で火照った体に心地よい。(勢いでここまでしてしもたけど、サブちゃんに限って襲ってきたりせえへんやろな…?心配なんは今日のお化け屋敷みたいに、条件反射で「サブちゃんを瞬殺」してしまわへんかなんよな…。彼氏を「色気」で瞬殺するのは許されても、「プロレス技」で瞬殺するのは刑事罰に値するやろし…。)と約1分考え込んでしまったが、三朗は入ってくる様子はない。

 「サブちゃん、どないしたん?入れへんの?」
稀世が声をかけると股間を両手で押さえて「あの…、ほ、ほんまにいいんですか?」と歯切れが悪い返事が返ってきた。(あぁ、根っから真面目でいい人やねんな。勝手な想像してごめんな…。)と自己反省しながら
「ええに決まってるやん。サブちゃんが私と入るのが嫌やって言うんやったらしゃあないけど…。ぴえん。」
とわざと拗ねて見せると
「そ、そんな。嫌なはずがあるわけないやないですか。何か「夢」みたい過ぎて、僕が入った瞬間に稀世さんが「直さん」になって「なっちゃんと陽菜ちゃん」が「どっきり成功」って看板持って飛び出てきそうな気がして…。」
と訳の分からないことを言う三朗に、
「もう、私が入れてあげる!」
稀世は立ち上がり、バスタブ越しに三朗の脇と膝の下に腕を入れると「お姫様抱っこ」して湯船に三朗を入れた。

 しかし、そそくさと窓側の向かいに移って座る三朗に少し不満を感じて稀世は意地悪を言った。
「そんなに私の横が嫌?なんかすごく悲しくなってきたなぁ…。サブちゃんと並んでこの素敵な夜景を見たかったのに…。くすん。」
「い、いや、僕にとっては「夜景」よりも「稀世さん」の方が価値がありますから。でも、稀世さんがそう言ってくれはるなら横に行かせていただきます。」
と緊張した敬語で話し稀世の横に腰を落ち着けた
 稀世は三朗の肩に頭を預け、大阪の夜景に酔いしれるつもりだったが、「フゴー、フゴー」と興奮した三朗の荒い鼻息に少し笑いが出た。
「何かおかしいことありましたか?」
という三朗に、
「何でもない。UFOが空で「ムーンサルトドロップ」してただけ。くすくす。
あっ、ごめん…。せっかくの雰囲気を壊してしもて…。こんな素敵な夜景をサブちゃんとお風呂の中から見られるって、今までの23年の人生の中で今が一番幸せかも…。」
と稀世が囁くと三朗も同じように呟いた。
「僕も28年の一生の中で今日が最高の日です…。」

 約20分、湯につかりながら取り留めのない話をした。小さかった時の話、学生時代の話、互いの知らなかったことが真綿に染み込む水のように次ぎ次ぎと入ってきた。稀世がふと呟いた一言が第4の事件に繋がるきっかけになった。
「あー、SNSやってる人やったら「ランコッド・スイートなう」とか言って記録に残すんやろな?この夜景を背景にして写真撮ったりしてな…。」

 三朗は稀世の顔を間近で見て耳元で優しく一つの提案をした。
「SNSはやってなくても、思い出を写真に残すのは「あり」やないですか?この夜景を背景に写真を撮りましょう。いや、残すべきです。きれいな稀世さんをこのきれいな夜景をバックに残さないのは「人類の損失」ですよ!」
 大げさな物言いをして「ちょっと失礼しますね。」と三朗はバスタブを出てザクッとだけバスタオルで体に残る湯を拭い、タオルを腰に巻いてリビングに戻っていった。

 戻ってきたときにはデジカメと足を延ばした三脚を手にしていた。稀世を窓側に移るように頼み、デジカメをセットした。
「稀世さんのシングルショットから入りますね。夜景をバックに撮りますから、カメラ目線でお願いしますねー!」
 「パシャッ!」フラッシュが点灯し、三朗はデジカメの液晶画面を確認し「すみません、もう一回撮り直します。」と稀世にお願いし、再度シャッターを切った。
「うーん、ブレブレです。スマホで昼間に撮るのと違って難しいですね。」
とぶれまくった写真のイメージ映像を稀世にも見せた。その画面を確認した稀世が三朗に言った。
「そりゃしゃあないよ。間接照明だけの部屋で手持ちでは無理やで。次は三脚を立てて、2秒タイマーにしてシャッターを切ってみてくれる?」 


「おまけ」







(※なぜか突然出て来た「Tatoo稀世ちゃん&刺青サブちゃん」(笑)!ほんとAI君のセンスはよくわかりません!)
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