『「稀世&三朗」のデートを尾行せよ!」謎の追跡者の極秘ミッション~偽りのチャンピオン・アナザーストーリー』

M‐赤井翼

文字の大きさ
18 / 41
「ホテルランコッド大阪宿泊編」

「中之島 ホテルランコッド大阪⑦ 成敗」

しおりを挟む
「中之島 ホテルランコッド大阪⑦ 成敗」

 稀世の目の前で三朗が胸を刺された。刺した蘇高は動揺し、更にナイフをもう一本取り出すと右手に持ち、慌ててきびすを返すと玄関に走った。
「サブちゃん!大丈夫か?」
尋ねる稀世の前にまっすぐジャケットに突き立ったナイフが残された三朗が仰向けに倒れた。両目をつぶった三朗の顔が目に入った。
「あかん、サブちゃん死んだらあかん!目を開けて!私を見て!私らお互いに告白しただけでキスもしてへんやん!私を残して逝かんといて!」
叫ぶ稀世の膝の上で三朗がゆっくりと目を開け、弱々しい声で言った。
「稀世さん、やつを追いかけて…。稀世さんにしかできへんことですよ。このホテルには、老人や子供のように力ない人がたくさんいます。そんな人たちを悪者から守ってあげられるのは稀世さんだけです…。僕のことはいいですから行ってください…。」

 それだけ言い残すと、ガクッと三朗の首が傾いた。
「わ、わかったよ…。サブちゃん、すぐに仇を取って戻ってくるから待っててや…。ごめん、行くわ!」
稀世は三朗の頭を優しく、高級絨毯の上に降ろすと、蘇高の後を追った。廊下に出ると、蘇高は廊下でサングラスの二人組と闘っていた。
「あんたら、あかん!その男ナイフを持ってる!逃げて!」
 稀世の叫びに関係ない部屋の客もドアを開け廊下の騒動に顔を出し、「えっ、映画の撮影?」、「何のアトラクション?」とスマホを向けだした。その騒動の中、稀世は20メートル先の格闘戦に参加する前にほぼ勝負はついた。

 小さいサングラスが蘇高を前に腕を差し伸べるとその瞬間、蘇高を270度宙で回転させ背中から落とした。さらに立ち上がってきた蘇稿を大きいサングラスがひざ下とわきに両腕を入れた瞬間、今度は横に270度回転させ頭から廊下に落とした。二人のコンビネーションは完璧で蘇高は起き上がる都度、いいように転ばされ、放り投げられ6回目の攻撃で意識もうろうで幽霊のようにナイフを片手に立っているのがやっとだった。
 まさにサングラスコンビの圧勝だった。大きいサングラスが稀世に向かって言った。
「最後は稀世に譲ったろ!決めてしまえ!」

 その声に条件反射で稀世は廊下に溢れる聴衆を割って走り、蘇高の膝を支点に縦宙返りの左足のサマーソルトキックでナイフを蹴り飛ばし、そのまま右足で顎を蹴り上げた。一回転して着地した0.1秒後、脳を揺らされ膝が崩れ落ちる蘇高の顎に渾身のローリングソバットが決まり、廊下の観衆から大きな歓声と拍手が起こった。蘇高の背後に周ると、7秒のチキンウイングフェイスロックで意識を刈り取った。

稀世は歓声の中、ナイフで刺され倒れた三郎の事を思い出し、蘇高をそのままにして大急ぎでキングエグゼクティブスイートにダッシュで戻った。ナイフを胸に立てたまま仰向けに倒れたままの三朗の頭を膝の上に載せて抱きしめて稀世が泣いていると、サングラスの二人が入ってきた。
 小さいサングラスが稀世の膝の上の三朗の頭を蹴飛ばした。
「こら、あほボン!なに「ち〇こ」でかくして寝とんねん。生意気に死んだふりすんな!稀世ちゃんのおっぱいに顔埋めて思いっきり鼻の穴と股間を膨らましてるやないか!そんなんやったら間接キスなんかで喜んでんと「ぶっちゅー」の一つでもしたらんかい!」
「ぎゃははは、サブちゃんは稀世の「Gカップ」の「貧乳・・」でええんか?私の「Hカップ」の「巨乳」も揉まんとそんなちゃちな「乳」で満足してたらあかんで!それにしても昨晩は稀世と一緒に風呂まで入って「何もせえへん」ってサブちゃんは男として認められへんぞ!」
  
 「えっ、その声は?」
稀世が振り向くとサングラスを外した直と粋華が立っていた。
「な、なんでそのことを直さんと粋華が知ってんの?それになんでここに居んの?いったいどういうこと?」
 稀世は予期せぬ直と粋華の登場に驚いたがすぐに三朗に視線を戻し叫んだ。
「サブちゃん、生きてるの?鼻膨らませて息してるの?「下」を大きくしてるの?ナイフ刺さって死んだんじゃないの?」
 確かに三朗の胸からは血の一滴も出ていないし、スラックスの股間が膨らんでいるように見えるしブラウスを通して、温かい「鼻息」も感じる。直が三朗の股間をグリグリと踏みつけると息が荒くなり「はふんっ!」の声と同時に腰が跳ね上がり、三朗の身体がピクン、ピクンと跳ね、稀世の膝の上で目を閉じたまま満面の笑顔を浮かべた。

 「あっ、こいつ出しやがったな!この状況で「イク」か、普通?まあ、夢の中では稀世ちゃんに踏まれて喜んでるんやろうけどな。ほんま三朗は「草食系」で「ドM」ってどうしようもない奴やのう。カラカラカラ。」
「そうですね、師匠の足で「イッちゃった」みたいですね!まあ、昨日のひらパーのハグ、ジムでの稀世のお尻と水着見て、最後に一緒に風呂入ってで、頭の中に「エロ」がずっと「溜まってた」んでしょう。10秒踏まれただけで出てしまうのは正真正銘の「童貞」の証拠ですわな。ケラケラケラ。」
 直と粋華が大声で笑う中、稀世は三朗が生きていただけで涙が出た。稀世が三朗の胸に突き刺さったナイフを引き抜くとジャケットの下から大きな刺し傷が残されたデジカメが出て来た。

 直が目を覚まさない三朗のいまだに膨らんだままの股間をきつく踏むと「ふぎゃっ!」と言って三朗が目を覚まし、稀世の膝枕の上で起き上がった。その弾みで三朗の頭が稀世のおでことぶつかり完全に目が覚めた。
「稀世さん、ナイフの男は?マフィアの殺し屋はどうなったんですか?」
と稀世の膝の上で取り乱す三朗のおでこに直が「デコピン」を入れた。
「あれ?直さん…。それに粋華さんまで…。ん、後ろにいるのは森先生と副島さん?なんでみんなここに…。」
 
 三朗の言葉に稀世が顔を上げると複数台のノートパソコンと大きな紙袋を抱えた金城司法書士事務所の森と副島が立っていた。
「安さん、データはみんな取り返したったで。クラウドに上げてる感じもなかったんでこのパソコンとハードディスクにみんな映像は残ってると思うわ。昨晩からご苦労さんやったな。そこのポーターに変装してる支配人さんにサービスしてもろて「朝湯」と「朝酒」でもごちそうになろか!カラカラカラ。」
 副島が笑うと、直はポーターの衣装の男に
「ちなみにお前は何してたんや?稀世ちゃんの邪魔しただけか?身体だけデカくて役に立たんやっちゃなぁ…。今のままではわしの弟子失格やから、後で鍛え直したらなあかんな。悪者デバガメは粋華が縛ってこの部屋の入口に転がしてるから、馴染みの刑事に目立たんように迎えに来させるわな。」
と言うと手を貸し、倒れていた支配人を引き起こした。

 「えっ、直さんはこの支配人さんと知り合いなんですか?お弟子さんってどういうこと?あと、なんでここに直さんと粋華がいてるんですか?昨日、伏見稲荷と京都競馬場とひらパーにいたサングラスも直さんと粋華やったんですか?
 うーん、頭の中が「グルグルリン」ですよ…。」
首をかしげる稀世以上に三朗は伏見稲荷のキツネにつままれたような顔で何も言えずにトランクスの中が濡れた股間を押さえて稀世と一緒に首をひねっていた。

 「まあ、三朗がナイフで刺されたんは想定外やったけど、稀世ちゃんの「裸」が入ったデジカメが稀世ちゃんに変わって身を守ってくれたんやからお前は稀世ちゃんに感謝せえよ。
 とりあえず、支配人権限で一件落着の祝いの酒と料理の差し入れしてわしらをねぎらうくらいせんかい!」
と直がソファーに深く腰掛けると粋華と森、副島がそれに賛成し、支配人は内線で「ルームサービス」のオーダーをかけた。

 ルームサービスが到着すると乾杯前に門真署の馴染みの刑事「坂井三郎」とバディーの載田と私服警官と複数の鑑識が到着し、各部屋に仕掛けられた盗撮カメラの確認と証拠品回収に入った。
 リビングでは支配人の差し入れでの朝宴会が始まった。事情が全く分からない三朗だけは乾杯後、ビールに口をつけず、「御加美神社奥社」の「ゆる狛犬」のようにぽかんと口を開け黙って座っていた。


「おまけ」






しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...