『「稀世&三朗」のデートを尾行せよ!」謎の追跡者の極秘ミッション~偽りのチャンピオン・アナザーストーリー』

M‐赤井翼

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「やくざビル前格闘戦編」

「門真市植山町 やくざビル前① 「3つのさいきょう」とウルトラマン」

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「門真市植山町 やくざビル前① 「3つのさいきょう」とウルトラマン」

 荷物が次々とアルファードの後部ハッチドアから積み込まれていくのを稀世たち4人は物陰から見守った。府警が到着するにはまだ時間がかかる。5分程経過した時だった。手錠をかけられた太田が3人のやくざに囲まれて正面入り口を出てくるのが見えた。
 稀世は一も二もなく飛び出し、直と粋華もそれに続いた。
「あと15分で応援が来ますから、ちょっと待って!」
と三朗は叫んだが聞く耳を持たず3人の猛女アマゾネス達は、複数のやくざに徒手空拳で突っ込んでいった。
 やくざたちは女3人が刺客と知らず、完全に不意打ちを食った。太田の右に着いた男の正面から顔面に稀世のドロップキックが決まり、5メートル吹っ飛ばした。続いて太田の左わきを抱えた男には延髄切りをかまし、崩れ落ちたところ顔面に渾身の膝蹴りを叩き込んだ。「ゴリッ」っと鼻の骨が折れる鈍い音が響いた。その前後では直と粋華が華麗な合気術の連舞れんぶで次々とやくざを放り投げている

 「おい!女三人の鉄砲玉の殴り込みや!事務所に居る奴全員、応援に出て来い!」一人の幹部と思われる高級スーツ姿の男が叫ぶと十人近くの若い衆が慌てて出て来た。短刀や拳銃を持っているものもいる。
至近距離では同士討ちになる可能性がある為、銃が使用されることはなかったが「白刃の短刀」を持ち出した多数のやくざの前に一歩も引かず3人は闘い続けた。
 しかし、そこは多勢に無勢。相手は十数人を超え、倒した相手も数分後には復活して戦線に戻ってくる。徐々に3人への包囲網は縮まり、アルファードをバックに半円状に追い詰められていった。そんな中、三朗がビルの前の粗大ゴミ置き場に捨てられた座面がはがれたパイプ椅子を見つけ、「稀世さん、これ使って!」とパイプ椅子を放り投げた。

 三朗はすぐにやくざに囲まれたが怯まずに「稀世さん、頑張れぱにゃにゃんだー!」と声をかけた。三朗は「おめえもこいつらの仲間か!」とやくざたちから袋叩きに合い、鼻血で顔面を真っ赤に染めた。その瞬間、稀世に「怒りの電流」が流れた!
「今、サブちゃんを蹴った奴!貴様は今から私が地獄に送ったるから覚悟せえよ!」
とパイプ椅子を剣道の中段の構えのように斜めに振り上げ構えた。
 短刀を持ったチンピラ組員たちが笑った。
「お姉ちゃん、恐怖で頭がおかしくなってしもたか?刃物持った15人に対して、3人とそんな壊れたパイプ椅子でいったい何をしようと考えてるんや?あんた「シャブ中」か?そんなもんが通じるんは「八百長のプロレス」だけやぞ!ギャハハハ!」

「なにぃ!「八百長」やと!プロレスを舐めんなよ!相手がどんなもんを持っていようが強かろうと挑まれたらプロレスラーは逃げたらあかんねや。
それに、世界最強の凶器はそんなちゃちな刃物やあれへん!今から私が、ほんまの「最強」で「最凶」で「最恐」の「凶器」っていうのが何なのかを教えたるわ!まずはサブちゃんに蹴り入れたお前ら3人からや!」
定番のセリフを言い終わる前に大きく踏みだした最初の一歩で1人目の腕が良からぬ方向に曲がった。振り返り際の二打目で次の男の片足の膝が逆「く」の字に折れた。0.3秒の間の惨劇に逃げようとした三朗の顔面に蹴りを入れた3人目の男の左右の肩口に連続してパイプ椅子のスチール製の脚が鎖骨の折れる音と共に10センチ食い込んだ。うごめく男の両膝と両肘にパイプ椅子を四度振り落すとうつぶせに倒れた男の上下半身は「卍」字になり自力で二度と動かせない「タコのような状態」になった。
 
 稀世の勢いに直と粋華も奮起し15対3の劣勢は2分の間に7対3にまで縮まり、勝機が見えた瞬間だった。
「ぷしゅっ」、「ぷしゅっ」っと稀世の耳元に空気が避ける音がした。
 振り返るとスーツ姿の男達がサイレンサーのついたオートマチック銃を5メートルの距離を保ち、稀世、直、粋華に向けていた。稀世が半歩足を出すとそのつま先3センチ先に「ぷしゅっ」っと音がすると同時にアスファルトがはじけ路面に丸い弾痕が空いた。
(畜生!わたしはええけど直さんと粋華をこれ以上巻き込むわけにはいけへん…。万事休すか!)と稀世が思った瞬間、一番身なりの良いやくざのスマホが鳴った。幹部であろう男は銃口を向けたままスマホを見ると「若頭」と表示されていた。受信ボタンを押すと、副島の声が「うちの女と男に手を出すな!M78星雲系ウルトラマン組ヒットマン「ウルトラ13サーティーンの出番やでー!」と響いたかと思うと、アルファードの後部側面にいきなり「ガンッ!」という大きな音と共に10センチの大穴が空き、中に積まれたサーバーが破裂した。

 「なにっ!防弾仕様のアルファードやぞ!」
やくざが叫び終わる前に「ガンッ!」、「ガンッ!」、「ガンッ!」、「ガンッ!と1秒間隔で黒塗りのベンツの左ハンドルの運転席のガラスとアルファードの助手席ガラスが粉砕し、ハンドルやメーター類、カーナビ、ダッシュボードが車内で爆発したかのように粉砕し、飛び散った。
続いてベンツとアルファードのリアホイールが弾け飛んだ。弾着から4.5秒後、遠くから「ダーン」、「ダーン」、「ダーン」、「ダーン」、「ダーン」と朝10時過ぎの街に銃声がこだました。
「なんじゃこりゃ!大砲でも撃ち込んできやがったんか!」
やくざの幹部が叫ぶと、足元「30センチ前」から10センチ刻みで「20センチ」、「10センチ」とアスファルトの10センチの穴が近づいた。驚いたスーツ姿のやくざは尻もちをつき、腰を抜かし失禁した。
 遠くから複数のパトカーのサイレンが近づいて来た。

やくざたちは一歩でも動くとその都度、足元に10センチの大穴が空くので誰も動くことはできなくなり、坂井たちの乗ったパトカーが大型の護送車の機動隊員たちと一緒に到着し、事件はあっさりと終末を迎えた。
太田は手錠を解かれ、三朗は路上で稀世に抱きしめられ、稀世の白いブラウスを赤く染めながらハンカチで鼻血をぬぐってもらった。
「サブちゃんごめんね!おかげで助かったよ!ピンチに陥ってた私にはパイプ椅子を投げてくれたサブちゃんは「電人ザボーガー」か「デカレンジャー」に見えたで…。カッコよすぎて惚れ直してしもたわ!でも、もう絶対に危険なマネはしないって約束してな。サブちゃんの身に何かあったら私もう生きて行かれへんから…。」

 照れることなく投げかけられた「ド直球」の稀世の言葉に返事ができない三朗に直がため息をつきながら言い捨てた。
「三朗、ほんまはお前が言わなあかんセリフをみんな稀世ちゃんが言ってしもてるやないか。とほほ、情けない奴やのう…。まあ、、そうは言いつつ、わしもちょっとは見直したったぞ!ご褒美にわしのおっぱいを触らせたろか!なんやったら稀世ちゃんとする前に練習で「ファーストキス」と「初体験」もわしがさせたるで!カラカラカラ!」
「直さん、それだけは堪忍してください…。それこそ、ほんまに「死んでしまいます」から…。」
三朗が神妙な顔をして呟くと粋華が馬鹿笑いしていた。

 坂井が直の元に行くと丁寧に頭を下げ、太田の肩をポンと叩くとパトカーで去っていった。残された稀世たち5人のラインに森からメッセージが入ってきた。
「ランコッド大阪の支配人さんが今日、明日スイートを解放してくれるそうです。料理はレストランのビュッフェから提供、アルコールもホテルの指定銘柄であれば飲み放題とのこと。12時からパーティー開始に付き、時間厳守で戻ってきてください。」
 直が代表して「了解!今から5人で戻る。「ウルトラマン・・・・・・にお礼言うといてや。よろひこー!」とメッセージを打つと三朗の軽バンとメディアクリエイトのライトバンに分乗し中之島に向かって出発した。
 直と粋華は稀世に気を利かせ太田の車に乗り込んでいた。
 中之島に戻るまでの間、助手席に座る稀世の右手はずっとシフトノブ上の三朗の左の上に重ねられていた。



「おまけ」







(※あいかわらず「パイプ椅子」は持ってくれません!)





まあ、ひとまず「めでたし、めでたし」ですね!
(。-人-。) 
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