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「4月1日」
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「4月1日」
平年の桜の開花より1日遅い3月24日開花だった令和7年の宮崎の桜が満開となった4月1日を迎えた。都城駐屯地では新年度訓示で今年度の有事への備えへの訓練の徹底と日々の安全管理の徹底が部隊長から語られた。
訓示が終わり、入隊5年目を迎えたやや疲れた顔の颯は同僚と駐屯地内にあるコンビニエンスストア「ローソン」に飲み物を買いに行った。施設科の仲間に頼まれた缶コーヒーやペットボトル飲料をかごに入れ、支払いの為レジの前まで行った瞬間に固まった。
「颯さん、本日よりめでたく「一般財団法人防衛弘済会ローソン陸上自衛隊都城駐屯地店」に配属されました新人社員の邂逅邦です。週5日、8時間勤務になりますのでよろしくお願いします!」
とカウンター内で敬礼する邦の姿を前にして、10秒間の沈黙があった。
「ほ、本当に来ちゃったんだ。」の後の言葉が続かない颯に邦は「カラッ」と笑った。
「WACは私には無理そうだったけど、コンビニなら自衛隊の皆さんの役に立てるかなってね。幸い、「家から通えるエリア」と「令和4年台風14号被災時の命の恩人の部隊」って言ったら、すんなりここの勤務で内定出ちゃったんですよ!
颯さんに話そうかとも思ったんですけど「サプライズ」で再会する方がいいかなってね!ところで袋は有料ですがご入用ですか?くすくす。」
首を振って出した颯のエコバッグに缶とボトルを詰めながら、「私、今日は午後6時半であがりのシフトなんですけど、颯さんの予定はどうですか?」の問いに、ようやく事態を把握できた颯は、「僕も7時には終わるから、邦ちゃんの就職祝いで近くのファミレスにご飯でも食べに行こうか。」と誘ってくれた。
久しぶりの再会と初めての外食に邦の胸はときめいた。初日のシフト勤務を無事に終え、バックヤードで店長と短いミーティングを終えると、お気に入りの白いパーカーにデニムのミニスカートの普段着に着替えた。更衣室でスマホを取り出すと「私は終わりました。いつでもOKでーす!」とメッセージを送ると、「少し遅れるかもしれません。ジョイフル都城鷹尾店で待っててください。7時半には行ける予定です。」とすぐに返事が来た事から、部隊での勤務は既に終わっている事は想像できたが、何をしているかまでは予想できなかった。
「了解!」、「待ってまーす!」のスタンプを送り、國江に「颯さんとご飯して帰るので、先に食べててね。」と電話を入れて駐屯地の正門を出た。
ファミレスに着くと「再来颯少尉」に関する颯からもらった過去情報をプリントアウトしたファイルをカバンから取り出し、読み返した。
去年の夏から颯に調べてもらった自衛隊内の資料の旧日本陸軍とアメリカ太平洋艦隊の記録を見比べたが、「再来颯少尉」の所属する「第20振武隊」は新たに出撃があった事が分かった3月30日と4月26日と知覧特攻平和会館で語り部ボランティアが調べてくれた4月1日、2日、12日と5月4日までで特攻攻撃は終わっていた。
不時着や機体不良で特攻に至らなかった4人の隊員のうち4月26日出撃の3名は1993年に公開された映画「月光の夏」で存在が明らかになった、出撃するも敵連合国艦隊まで到着できず帰隊した帰還搭乗員が収容されたとされる、福岡にある通称「振武寮」の記録が見つかった。
大日本帝国陸軍第6航空軍に接収された福岡女学院の寄宿舎は5月からの1月半ほどの稼働であったが陸軍の公式記録に残っていない為、その収容者は50名から80名と諸説ある。
3月30日に出撃して行方不明になっていた、生死が判明していなかった第20振武隊最後のひとりも5月23日に奄美大島守備隊に収容されて6月10日に福岡に送られた事が分かったが、いずれにしても4月半ばから5月30日まで都城西基地に存在していたと國江が主張する「再来颯軍曹」は、記録上、4月2日沖縄方面の南洋で特攻死したという公式記録による事実は揺らがない。
(うーん、やっぱりおばあちゃんの記憶違いなんかな…。それとも、誰かが「再来颯」を名乗ってたとか?いや、そんな事しても何のメリットもあれへんよな。)とひとりで悩んでいると平時の陸上自衛隊の制服である常装冬服姿の颯が大きな紙封筒を持って現れた。
「ごめんね、遅くなっちゃって。何も頼まずに待っててくれたんだ。おばあさんの事で調べものの協力を頼んでた上司から呼ばれてて…。まずはご飯頼もうか。」
と遅れた言い訳の前に、お腹を空かせているであろう邦を気遣い、グランドメニューを邦に差し出し向かいの席に座った。
颯と直接会うのは正月以来になるのだが、その時と比べると明らかに目は落ちくぼみやつれた感じがある。
「颯さん、えらい疲れた顔してるけど仕事きついん?きちんとご飯食べられてる?きちんと睡眠とれてんの?目の下のクマが凄いで…。まさか病気ってことはないよね?」
颯の顔を覗き込み心配そうな顔をする邦に「そんなに酷いですか?」と申し訳なさそうな声で、自分の顔は気にせず好きなものを食べるよう再度メニューを差し出した。
食事のオーダーを済ませ、ドリンクバーで飲み物を入れて席に戻ると、颯は改めて邦に「ウエルカム・トゥー・都城駐屯地!よもやの同じ基地での勤務になるとは思ってなかったんで驚きましたよ。もしかしてエイプリルフールのジョークだったりします?いやいや、ここはまずは乾杯ですよね。」
とりとめのない言葉を続けながらジュースのグラスを軽く当てて「乾杯」と声をかけた。
「はーい、颯さんの熱い国防の心にひかれて追いかけてきちゃいました。「いち店員」ではありますが、これからお付き合いよろしくお願いします。「返杯」でーす!」
と邦も軽くグラスタッチした後、再び疲れの見える颯を気遣って質問を繰り返した。
「5つ年下の邦ちゃんに話すことじゃないんだけど…、」颯は前振りをしたうえで、3月に入ってから「夢見」が悪く睡眠不足が続いているという。起きると夢の中身はぼやけてしまい記憶には残らないのだが、まだ肌寒さを感じる真夜中や明け方に「汗びっしょり」で目が覚めるとその夢の後味の悪さだけが残り、その後はなかなか寝られないという事だった。
「ふーん、夢診断アプリでどんな精神状況なのか調べて見よか。夢診断って結構当たるんやで。人間の深層心理に抱えた悩みや不安なんかが浮き彫りに出てくるねん。ちょっとスピリチュアルな話になってしまうけど、未来を予知したり、前世の記憶が夢に出たりした事例はめちゃくちゃあるし、心に抱えた「何か」があるんやったらそれを取り除くヒントになったりするねん。まずは颯さんが見た夢を断片的にでもどんなものやったのか教えてもらえる?」
邦がメモ帳とペンをバッグから取り出し、「ちょっと録音させてもらうね。」とスマホのレコーダーアプリを立ち上げた。颯は少しいぶかしげな表情を見せたものの真剣な表情を見せる邦に言われるがままに語り出した。
「うーん、基本的に色の薄い夢のイメージかな…。白黒っていうかセピアカラーっていうか、少なくとも鮮やかな色はあまり出てきた覚えはない…。あと、夢の中の僕の姿は見えない。うまく言えないけど、自分が見ている視野が夢に出てるって感じかな。
あと、ここのところ、ずっと同じような夢が続いてる…。もちろん、毎日同じ夢を見るっていう事じゃないんだけど、見てる夢に何か一貫性があるっていうのかな。それまでは、楽しい夢や嫌な夢、まるで映画の中の様な夢、亡くなった「おやじ」や「おかん」の夢みたいに全然関係性のない夢を見てたんやけど、そこがどうも最近の夢ははっきりしないけどなんとなく繋がってるような気がするかな。こんな話し方でいいのかな?
ここ数週間で見た夢は目が覚めた時に恥ずかしい話だけど「泣いてる」事がある。あっ、お正月に邦ちゃんの家で食べた卵焼きっぽいものが載った丼の夢を見た時も泣いてた…。お正月も邦ちゃんのお料理を食べてた時に感じた「何か」と同じものなのかもしれない…。」
と呟き、一度、小休止を入れた。
その後、オーダーがサーブされたので先に食事を済ませた。その後、ヒアリングを続けると「高いところから落ちていくイメージ」、「肉体的にきつい「G」がかかっているイメージ」、「空腹のイメージ」、「呼吸が苦しいイメージ」、「上司に叱責されたり暴力を振るわれるイメージ」という悪いイメージだけでなく、その後に「癒しや安らぎのイメージ」があったり「仲間と楽しく騒いでいるイメージ」もあるという。
他には、具体的ではないが「多数のメーター類」、「椅子の左右にある多くのレバーやスイッチ」、「両足の間にあるスティック」等、陸上自衛隊でも使用している攻撃ヘリコプターや兵員輸送ヘリコプターのコックピットを予想させるものもあったが、施設科一筋である颯は重機や大型車両の運転の経験はあるがヘリコプターの操縦席には座ったこともないという事だった。
約30分に渡り颯が話すことを聞き、メモを取り続けた邦は自身の持つ知識で対応しきれないことを認識し、スマホで「AI」に問いかけてみた。
AIの出した回答は「夢診断ができるメンタルクリニックや精神科医による診察を受ける事」を提案してきた。
「うーん、邦ちゃん、もうええよ。そんな専門的な病院となると東京や大阪に出ないとあれへんやろ。めったに連休は取れないし、まあ、たかが「夢」だから命にかかわるようなことじゃないだろうし、隊医にでも相談してみるよ。」
と申し訳なさそうに話す颯に、
「そんな甘く見たらあかんよ。悪夢が続いて、寝不足でトラックの運転中に居眠りしたり、夢が元で隠れた「うつ病」や「PTSD」が発見されたりすることもあるんやで。颯さん、人の命に真剣になりすぎるところがあるから知らんうちに「ストレス」をため込んでしまってるかもしれへんやん。自衛隊内では聞きにくい事もあるやろうから、ここは私にも協力させて。「防衛弘済会」の福利厚生制度の紹介の中で医療関係のものもあったから明日にでも店長を通じて支部に聞いてもらうわ。」
邦はそこで颯の「悪夢」から話題を意図的に変え、颯が調べてきてくれた「振武寮」と「帰還搭乗員」について質問を投げかけた。
「おまけ」
今回はイラストが少なくてすみません。
「旧ドク」の皆さんから「イラスト見たい!」というリクエストをそこそこいただいてましたので、
「邦ちゃん就職祝い(笑)」でちょっとだけアップさせてもらいますねー!
明日から「昭和20年」ストーリーが混ざってきますよー!
ややこしくなりますので先に謝っておきます!
ごめんなさーい!(。-人-。) ゴメンネ!
平年の桜の開花より1日遅い3月24日開花だった令和7年の宮崎の桜が満開となった4月1日を迎えた。都城駐屯地では新年度訓示で今年度の有事への備えへの訓練の徹底と日々の安全管理の徹底が部隊長から語られた。
訓示が終わり、入隊5年目を迎えたやや疲れた顔の颯は同僚と駐屯地内にあるコンビニエンスストア「ローソン」に飲み物を買いに行った。施設科の仲間に頼まれた缶コーヒーやペットボトル飲料をかごに入れ、支払いの為レジの前まで行った瞬間に固まった。
「颯さん、本日よりめでたく「一般財団法人防衛弘済会ローソン陸上自衛隊都城駐屯地店」に配属されました新人社員の邂逅邦です。週5日、8時間勤務になりますのでよろしくお願いします!」
とカウンター内で敬礼する邦の姿を前にして、10秒間の沈黙があった。
「ほ、本当に来ちゃったんだ。」の後の言葉が続かない颯に邦は「カラッ」と笑った。
「WACは私には無理そうだったけど、コンビニなら自衛隊の皆さんの役に立てるかなってね。幸い、「家から通えるエリア」と「令和4年台風14号被災時の命の恩人の部隊」って言ったら、すんなりここの勤務で内定出ちゃったんですよ!
颯さんに話そうかとも思ったんですけど「サプライズ」で再会する方がいいかなってね!ところで袋は有料ですがご入用ですか?くすくす。」
首を振って出した颯のエコバッグに缶とボトルを詰めながら、「私、今日は午後6時半であがりのシフトなんですけど、颯さんの予定はどうですか?」の問いに、ようやく事態を把握できた颯は、「僕も7時には終わるから、邦ちゃんの就職祝いで近くのファミレスにご飯でも食べに行こうか。」と誘ってくれた。
久しぶりの再会と初めての外食に邦の胸はときめいた。初日のシフト勤務を無事に終え、バックヤードで店長と短いミーティングを終えると、お気に入りの白いパーカーにデニムのミニスカートの普段着に着替えた。更衣室でスマホを取り出すと「私は終わりました。いつでもOKでーす!」とメッセージを送ると、「少し遅れるかもしれません。ジョイフル都城鷹尾店で待っててください。7時半には行ける予定です。」とすぐに返事が来た事から、部隊での勤務は既に終わっている事は想像できたが、何をしているかまでは予想できなかった。
「了解!」、「待ってまーす!」のスタンプを送り、國江に「颯さんとご飯して帰るので、先に食べててね。」と電話を入れて駐屯地の正門を出た。
ファミレスに着くと「再来颯少尉」に関する颯からもらった過去情報をプリントアウトしたファイルをカバンから取り出し、読み返した。
去年の夏から颯に調べてもらった自衛隊内の資料の旧日本陸軍とアメリカ太平洋艦隊の記録を見比べたが、「再来颯少尉」の所属する「第20振武隊」は新たに出撃があった事が分かった3月30日と4月26日と知覧特攻平和会館で語り部ボランティアが調べてくれた4月1日、2日、12日と5月4日までで特攻攻撃は終わっていた。
不時着や機体不良で特攻に至らなかった4人の隊員のうち4月26日出撃の3名は1993年に公開された映画「月光の夏」で存在が明らかになった、出撃するも敵連合国艦隊まで到着できず帰隊した帰還搭乗員が収容されたとされる、福岡にある通称「振武寮」の記録が見つかった。
大日本帝国陸軍第6航空軍に接収された福岡女学院の寄宿舎は5月からの1月半ほどの稼働であったが陸軍の公式記録に残っていない為、その収容者は50名から80名と諸説ある。
3月30日に出撃して行方不明になっていた、生死が判明していなかった第20振武隊最後のひとりも5月23日に奄美大島守備隊に収容されて6月10日に福岡に送られた事が分かったが、いずれにしても4月半ばから5月30日まで都城西基地に存在していたと國江が主張する「再来颯軍曹」は、記録上、4月2日沖縄方面の南洋で特攻死したという公式記録による事実は揺らがない。
(うーん、やっぱりおばあちゃんの記憶違いなんかな…。それとも、誰かが「再来颯」を名乗ってたとか?いや、そんな事しても何のメリットもあれへんよな。)とひとりで悩んでいると平時の陸上自衛隊の制服である常装冬服姿の颯が大きな紙封筒を持って現れた。
「ごめんね、遅くなっちゃって。何も頼まずに待っててくれたんだ。おばあさんの事で調べものの協力を頼んでた上司から呼ばれてて…。まずはご飯頼もうか。」
と遅れた言い訳の前に、お腹を空かせているであろう邦を気遣い、グランドメニューを邦に差し出し向かいの席に座った。
颯と直接会うのは正月以来になるのだが、その時と比べると明らかに目は落ちくぼみやつれた感じがある。
「颯さん、えらい疲れた顔してるけど仕事きついん?きちんとご飯食べられてる?きちんと睡眠とれてんの?目の下のクマが凄いで…。まさか病気ってことはないよね?」
颯の顔を覗き込み心配そうな顔をする邦に「そんなに酷いですか?」と申し訳なさそうな声で、自分の顔は気にせず好きなものを食べるよう再度メニューを差し出した。
食事のオーダーを済ませ、ドリンクバーで飲み物を入れて席に戻ると、颯は改めて邦に「ウエルカム・トゥー・都城駐屯地!よもやの同じ基地での勤務になるとは思ってなかったんで驚きましたよ。もしかしてエイプリルフールのジョークだったりします?いやいや、ここはまずは乾杯ですよね。」
とりとめのない言葉を続けながらジュースのグラスを軽く当てて「乾杯」と声をかけた。
「はーい、颯さんの熱い国防の心にひかれて追いかけてきちゃいました。「いち店員」ではありますが、これからお付き合いよろしくお願いします。「返杯」でーす!」
と邦も軽くグラスタッチした後、再び疲れの見える颯を気遣って質問を繰り返した。
「5つ年下の邦ちゃんに話すことじゃないんだけど…、」颯は前振りをしたうえで、3月に入ってから「夢見」が悪く睡眠不足が続いているという。起きると夢の中身はぼやけてしまい記憶には残らないのだが、まだ肌寒さを感じる真夜中や明け方に「汗びっしょり」で目が覚めるとその夢の後味の悪さだけが残り、その後はなかなか寝られないという事だった。
「ふーん、夢診断アプリでどんな精神状況なのか調べて見よか。夢診断って結構当たるんやで。人間の深層心理に抱えた悩みや不安なんかが浮き彫りに出てくるねん。ちょっとスピリチュアルな話になってしまうけど、未来を予知したり、前世の記憶が夢に出たりした事例はめちゃくちゃあるし、心に抱えた「何か」があるんやったらそれを取り除くヒントになったりするねん。まずは颯さんが見た夢を断片的にでもどんなものやったのか教えてもらえる?」
邦がメモ帳とペンをバッグから取り出し、「ちょっと録音させてもらうね。」とスマホのレコーダーアプリを立ち上げた。颯は少しいぶかしげな表情を見せたものの真剣な表情を見せる邦に言われるがままに語り出した。
「うーん、基本的に色の薄い夢のイメージかな…。白黒っていうかセピアカラーっていうか、少なくとも鮮やかな色はあまり出てきた覚えはない…。あと、夢の中の僕の姿は見えない。うまく言えないけど、自分が見ている視野が夢に出てるって感じかな。
あと、ここのところ、ずっと同じような夢が続いてる…。もちろん、毎日同じ夢を見るっていう事じゃないんだけど、見てる夢に何か一貫性があるっていうのかな。それまでは、楽しい夢や嫌な夢、まるで映画の中の様な夢、亡くなった「おやじ」や「おかん」の夢みたいに全然関係性のない夢を見てたんやけど、そこがどうも最近の夢ははっきりしないけどなんとなく繋がってるような気がするかな。こんな話し方でいいのかな?
ここ数週間で見た夢は目が覚めた時に恥ずかしい話だけど「泣いてる」事がある。あっ、お正月に邦ちゃんの家で食べた卵焼きっぽいものが載った丼の夢を見た時も泣いてた…。お正月も邦ちゃんのお料理を食べてた時に感じた「何か」と同じものなのかもしれない…。」
と呟き、一度、小休止を入れた。
その後、オーダーがサーブされたので先に食事を済ませた。その後、ヒアリングを続けると「高いところから落ちていくイメージ」、「肉体的にきつい「G」がかかっているイメージ」、「空腹のイメージ」、「呼吸が苦しいイメージ」、「上司に叱責されたり暴力を振るわれるイメージ」という悪いイメージだけでなく、その後に「癒しや安らぎのイメージ」があったり「仲間と楽しく騒いでいるイメージ」もあるという。
他には、具体的ではないが「多数のメーター類」、「椅子の左右にある多くのレバーやスイッチ」、「両足の間にあるスティック」等、陸上自衛隊でも使用している攻撃ヘリコプターや兵員輸送ヘリコプターのコックピットを予想させるものもあったが、施設科一筋である颯は重機や大型車両の運転の経験はあるがヘリコプターの操縦席には座ったこともないという事だった。
約30分に渡り颯が話すことを聞き、メモを取り続けた邦は自身の持つ知識で対応しきれないことを認識し、スマホで「AI」に問いかけてみた。
AIの出した回答は「夢診断ができるメンタルクリニックや精神科医による診察を受ける事」を提案してきた。
「うーん、邦ちゃん、もうええよ。そんな専門的な病院となると東京や大阪に出ないとあれへんやろ。めったに連休は取れないし、まあ、たかが「夢」だから命にかかわるようなことじゃないだろうし、隊医にでも相談してみるよ。」
と申し訳なさそうに話す颯に、
「そんな甘く見たらあかんよ。悪夢が続いて、寝不足でトラックの運転中に居眠りしたり、夢が元で隠れた「うつ病」や「PTSD」が発見されたりすることもあるんやで。颯さん、人の命に真剣になりすぎるところがあるから知らんうちに「ストレス」をため込んでしまってるかもしれへんやん。自衛隊内では聞きにくい事もあるやろうから、ここは私にも協力させて。「防衛弘済会」の福利厚生制度の紹介の中で医療関係のものもあったから明日にでも店長を通じて支部に聞いてもらうわ。」
邦はそこで颯の「悪夢」から話題を意図的に変え、颯が調べてきてくれた「振武寮」と「帰還搭乗員」について質問を投げかけた。
「おまけ」
今回はイラストが少なくてすみません。
「旧ドク」の皆さんから「イラスト見たい!」というリクエストをそこそこいただいてましたので、
「邦ちゃん就職祝い(笑)」でちょっとだけアップさせてもらいますねー!
明日から「昭和20年」ストーリーが混ざってきますよー!
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