54 / 99
第二章
27.恋バナ
しおりを挟む
後期試験の結果は散々だった。
前回は二位だったのに、今回は六位まで順位を落としてしまった。
いまいち試験に集中出来ていなかったと自分でも反省している。
今回も首位はライル様、そして二位はソフィアだ。
ついでにリィナは二十八位とかなり順位を落としていた。
ソフィアは今回かなり自信があったようで、その分非常に悔しがっていたが、もはや満点を取るしかないんだわ…!と新たに闘志を燃やしていた。
ライル様とはあの時以来、会話をしていない。相変わらず忙しいせいなのか、私を避けているのか、試験が始まる直前に来て、試験が終わるとすぐに帰ってしまっていた。
今でもリィナと逢瀬を重ねているのか分からないが、私にはそれを知る手立ても、度胸もなかった。
今日は久々にソフィアに誘われて、貴族街のカフェテリアに来ていた。ここのカフェテリアは、ソフィアのお父様が所有しているお店らしく特別室に案内してもらえた。
…さすがルデンス公爵家。
「やっと後期試験が終わったわね。
私もよく我慢したものだわ!」
ソフィアはそう言って、紅茶を一口飲むと、それを味わうように目を閉じた。そんなに試験が終わるのが待ち遠しかったのだろうか。
「そうだね。ソフィア、二位、おめでとう!」
「まぁ、今回はアンナが本調子じゃなかったからね。」
「へ?別に体調崩してなかったけど…」
「体調じゃないわよ。色んなことに心乱されてたでしょ?最近よくぼーっとしてるし。」
「え…そ、そんなことー」
ない、と答える前に私の眼前にソフィアがずいっと迫る。
……すごい圧だ。今日は逃げられないかも……。
「ほら、洗いざらい話しなさい。」
「な、何を話すって言うの?」
「いいわ、話しにくいなら質問形式にするから。
んー…どれから話してもらおうかしら?」
「ど、どれからって…」
「まずは殿下とのことでしょ?勿論お兄様のことも聞かなきゃいけないし。ユーリも最近様子がおかしいしね。」
ライル様と、ジョシュア様はともかく……。
「ユーリ?……ユーリに何かあったの?」
「あれ?違ったかしら?
ユーリ、最近元気ないでしょ?私はてっきりアンナ関連かと思ったんだけど…」
「ううん。私、知らない……。
ユーリが元気ないのも…気付いてなかった……。」
自分のことでいっぱいで、ユーリの変化に気付かなかった自分が恥ずかしい。困った時には一番に力になりたい、と思ったばかりなのに。
私が俯くと、机上に置かれた手にソフィアの手が添えられる。暖かくて、柔らかい手だ。
「そんなに落ち込まないの。私の勘違いかもしれないし。それに、ユーリは私もちゃんと見てるから大丈夫。」
「うん、ありがとう…。」
「そんな、御礼を言われるようなことしてないわ。ユーリは私にとっても大事な友人だもの。」
ソフィアはそう言って優しく笑う。その笑顔でソフィアがユーリのことを大切に思っていることが分かり、私まで嬉しくなる。
「そっか…。嬉しいな、二人が仲良くなってくれて。」
「ふふっ。そうね。私もアンナがいなかったら、ユーリのようなタイプとは友人になれていなかったと思う。
……いつもアンナは私の世界を広げてくれるわ…ありがとう。」
「私は何もしてないよ!皆、ソフィアと話して、ソフィアの魅力に気付くだけ。」
本当にそうだと思う。ソフィアは美しくて、可愛くて、優しくて、賢くて、完璧な公爵令嬢なんだもの!出会った時からずっと彼女は私の憧れだ。
ソフィアは照れたように視線を落とす。
「魅力だなんて…アンナは大袈裟なんだから。
それに魅力があるのは、アンナの方でしょ?殿下に続いて、お兄様も夢中にさせてるんだから。」
「…なっ!!」
なんでソフィアがジョシュア様の気持ちを知ってるの?!
私の心を見透かすようにソフィアはニコッと笑った。
「ふふっ。ずっと知ってたわよ、お兄様がアンナに想いを寄せていることくらい。」
「ず、ずっと?!」
「えぇ。トマスさんとのことをアンナが解決してあげた時から。お兄様からも聞いてたし。」
「えぇ?!ソフィアに言ってたの?!」
もう驚きすぎて、空いた口が塞がらない。
「えぇ。諦めた方がいいとは分かってるんだがーって悩んでたことがあったのよ。あのいつでも自信たっぷりのお兄様が、よ?
だから、アンナは殿下が好きで、婚約したわけじゃないってことを教えてあげたの。
というか、ようやくお兄様は自分の気持ちをアンナに伝えたのね。」
「はっ!!……いや、何というかー」
これはバレてよかったのかな?!ジョシュア様も私みたいなのに告白したことなんて隠してて欲しかったんじゃー
「別に隠さなくてもいいじゃない。おめでたいことよ。頭でばっかり考えて、言い訳ばかりのお兄様が一歩踏み出したんですもの。」
ジョシュア様…随分な言われよう…。
ソフィアは満足そうに頷いた後、また一口手元の紅茶を美味しそうに嚥下した。紅茶のふわっとした芳醇な香りが漂う。
「……で、でもー」
私がジョシュア様の想い人なんて、ソフィアは嫌じゃないだろうか…?
「私はアンナが義理姉になってくれたら、嬉しいわ。」
「え、えぇ?!」
話が飛躍しすぎている。
大体私はライル様の婚約者で…。
「本心よ。
アンナと家族になれたら…と何度夢見たことか。」
二人で手を取り合って、色んな行事に出ることを想像する。
…確かにそれはとても楽しいような気がした。
「…そりゃあ私もソフィアと家族になれたら嬉しいけどー」
それでも、やっぱり私の脳裏に浮かぶのはライル様で…。ずっと話してもいない、喧嘩したままだと言うことを思い出し、胸がツキンと痛む。
ティーカップの中で揺れる紅茶に映る私は、不安そうに揺れていた。
「ふふっ。やっぱり殿下への気持ち自覚したのね?」
「へ?」
ソフィアの言葉に思わず顔を上げるー
が、すぐにそれを後悔した。
ソフィアはフフッと声を出して笑う。
「目が泳いでるし、顔も真っ赤よ。感情隠すの下手なんだから、正直に話せば良いじゃない。まぁ、話したくないなら、止めるけど。」
「あ…ご、ごめん。
話したくないわけじゃ…ない、の。
ただ……は、恥ずかしくて…。」
俯きがちにボソボソと喋れば、向かい側に座るソフィアからは小さくため息が漏れた。
……もしかして、呆れられたのかな?と、不安になった次の瞬間、ソフィアがぽそっと呟いた。
「はぁ……可愛い。」
「…は、はぁ?!」
私は恥ずかしくなって、ついはしたない声を上げてしまう。ソフィアの厳しい目線が飛ぶ。
「アンナ。
令嬢が『はぁ?』なんて言うものじゃないわ。」
「ご、ごめん。」
怒られて肩を落とした私を見て、ソフィアが微笑む。
「ふふっ。で、どうする?
この話、止める?」
そう問われて…迷った。けれど、やっぱりソフィアに聞いて欲しかった。
杏奈の時も含めて、恋なんてしてこなかった私には、ライル様への恋心と、ジョシュア様から向けられる好意……とてもじゃないが一人で対処できそうになかったから。
私は、ティーカップを両手でぎゅっと握り、言った。
「……聞いて、ください。」
「そうこなくっちゃ!はい、どうぞ!」
ニッコニコと楽しそうにソフィアは私を見つめる。
私はポツポツとライル様への恋心を自覚した経緯とその後に喧嘩をしたこと、そしてジョシュア様から告白された流れを、リィナとのやり取りも含めて説明した。
私が全て話し終えると、ソフィアは眉を下げた。
「ライル様への気持ちを自覚したのは良いとして…
そのきっかけがリィナ…っていうのは、辛かったわね。」
「うん……。リィナもやけに自信があるようだったし、ライル様も会っていることは否定しなかったし……正直何を信じて良いのか分からないの。」
そう。ライル様を信じて良いのか分からない。
正直この一年間、ライル様ルートで発生したイベントは殆ど起こらなかった。ライル様があまりにもリィナを避け、私と一緒にいたので、最初は緊張していたイベントの日も途中からはそのイベントの時期が過ぎるとふと胸を撫で下ろす程度になっていた。ここ数ヶ月は学園自体にも来ていなかったし…。
けれど、ここに来て、二人は急接近している。私の見えない王宮の中で。ライル様ルートで王宮のシーンなど一度もなかったと言うのに。
グルグルと考えて俯く私にソフィアは言う。
「そんな時、お兄様から告白を受けて、気持ちが揺れてしまった…と。」
ドキッと胸が跳ねる。
ジョシュア様の真っ直ぐな紺碧な瞳を思い出してしまう。
「気持ちが揺れるって言うか……
ずるいのは分かってるんだけど、真っ直ぐに嘘偽りなく私を想っているのが伝わってきて…嬉しかったの…。胸の奥がじんわり温かくなるような感じで…。
ライル様の婚約者である私は、そんなこと思っちゃいけない立場なのにー。」
「それに別にまだ結婚してないし、構わないんじゃない?他の人を想いながらも、政略結婚をする人だって沢山いるんだし。私は結婚したら、相手の方に誠意を尽くすべきだと思うけど、まだアンナは婚約者でしょ。
あと、人を好きになるきっかけなんて何でもいいじゃない。ずるくなんかないわ。」
「で、でも、そんな、好きとか……じゃ、まだなくて。
ジョシュア様をそんな風に見たことなかったから……。」
「分かってるわよ。でも、惹かれているアンナもいるってことでしょ。きっとお兄様はそれだけでも跳んで喜ぶわよ。」
ソフィアは悪戯に笑う。
ジョシュア様が跳んで喜ぶところを想像するが……
あまりにも似合わない。私は思わず吹き出してしまった。
「ぷっ。そんなはずないじゃない。」
「どうかしらね。
お兄様の名誉の為にこれ以上は黙っておくわ。」
そう言ったソフィアと顔を見合わせて、二人で声を上げて笑った。
前回は二位だったのに、今回は六位まで順位を落としてしまった。
いまいち試験に集中出来ていなかったと自分でも反省している。
今回も首位はライル様、そして二位はソフィアだ。
ついでにリィナは二十八位とかなり順位を落としていた。
ソフィアは今回かなり自信があったようで、その分非常に悔しがっていたが、もはや満点を取るしかないんだわ…!と新たに闘志を燃やしていた。
ライル様とはあの時以来、会話をしていない。相変わらず忙しいせいなのか、私を避けているのか、試験が始まる直前に来て、試験が終わるとすぐに帰ってしまっていた。
今でもリィナと逢瀬を重ねているのか分からないが、私にはそれを知る手立ても、度胸もなかった。
今日は久々にソフィアに誘われて、貴族街のカフェテリアに来ていた。ここのカフェテリアは、ソフィアのお父様が所有しているお店らしく特別室に案内してもらえた。
…さすがルデンス公爵家。
「やっと後期試験が終わったわね。
私もよく我慢したものだわ!」
ソフィアはそう言って、紅茶を一口飲むと、それを味わうように目を閉じた。そんなに試験が終わるのが待ち遠しかったのだろうか。
「そうだね。ソフィア、二位、おめでとう!」
「まぁ、今回はアンナが本調子じゃなかったからね。」
「へ?別に体調崩してなかったけど…」
「体調じゃないわよ。色んなことに心乱されてたでしょ?最近よくぼーっとしてるし。」
「え…そ、そんなことー」
ない、と答える前に私の眼前にソフィアがずいっと迫る。
……すごい圧だ。今日は逃げられないかも……。
「ほら、洗いざらい話しなさい。」
「な、何を話すって言うの?」
「いいわ、話しにくいなら質問形式にするから。
んー…どれから話してもらおうかしら?」
「ど、どれからって…」
「まずは殿下とのことでしょ?勿論お兄様のことも聞かなきゃいけないし。ユーリも最近様子がおかしいしね。」
ライル様と、ジョシュア様はともかく……。
「ユーリ?……ユーリに何かあったの?」
「あれ?違ったかしら?
ユーリ、最近元気ないでしょ?私はてっきりアンナ関連かと思ったんだけど…」
「ううん。私、知らない……。
ユーリが元気ないのも…気付いてなかった……。」
自分のことでいっぱいで、ユーリの変化に気付かなかった自分が恥ずかしい。困った時には一番に力になりたい、と思ったばかりなのに。
私が俯くと、机上に置かれた手にソフィアの手が添えられる。暖かくて、柔らかい手だ。
「そんなに落ち込まないの。私の勘違いかもしれないし。それに、ユーリは私もちゃんと見てるから大丈夫。」
「うん、ありがとう…。」
「そんな、御礼を言われるようなことしてないわ。ユーリは私にとっても大事な友人だもの。」
ソフィアはそう言って優しく笑う。その笑顔でソフィアがユーリのことを大切に思っていることが分かり、私まで嬉しくなる。
「そっか…。嬉しいな、二人が仲良くなってくれて。」
「ふふっ。そうね。私もアンナがいなかったら、ユーリのようなタイプとは友人になれていなかったと思う。
……いつもアンナは私の世界を広げてくれるわ…ありがとう。」
「私は何もしてないよ!皆、ソフィアと話して、ソフィアの魅力に気付くだけ。」
本当にそうだと思う。ソフィアは美しくて、可愛くて、優しくて、賢くて、完璧な公爵令嬢なんだもの!出会った時からずっと彼女は私の憧れだ。
ソフィアは照れたように視線を落とす。
「魅力だなんて…アンナは大袈裟なんだから。
それに魅力があるのは、アンナの方でしょ?殿下に続いて、お兄様も夢中にさせてるんだから。」
「…なっ!!」
なんでソフィアがジョシュア様の気持ちを知ってるの?!
私の心を見透かすようにソフィアはニコッと笑った。
「ふふっ。ずっと知ってたわよ、お兄様がアンナに想いを寄せていることくらい。」
「ず、ずっと?!」
「えぇ。トマスさんとのことをアンナが解決してあげた時から。お兄様からも聞いてたし。」
「えぇ?!ソフィアに言ってたの?!」
もう驚きすぎて、空いた口が塞がらない。
「えぇ。諦めた方がいいとは分かってるんだがーって悩んでたことがあったのよ。あのいつでも自信たっぷりのお兄様が、よ?
だから、アンナは殿下が好きで、婚約したわけじゃないってことを教えてあげたの。
というか、ようやくお兄様は自分の気持ちをアンナに伝えたのね。」
「はっ!!……いや、何というかー」
これはバレてよかったのかな?!ジョシュア様も私みたいなのに告白したことなんて隠してて欲しかったんじゃー
「別に隠さなくてもいいじゃない。おめでたいことよ。頭でばっかり考えて、言い訳ばかりのお兄様が一歩踏み出したんですもの。」
ジョシュア様…随分な言われよう…。
ソフィアは満足そうに頷いた後、また一口手元の紅茶を美味しそうに嚥下した。紅茶のふわっとした芳醇な香りが漂う。
「……で、でもー」
私がジョシュア様の想い人なんて、ソフィアは嫌じゃないだろうか…?
「私はアンナが義理姉になってくれたら、嬉しいわ。」
「え、えぇ?!」
話が飛躍しすぎている。
大体私はライル様の婚約者で…。
「本心よ。
アンナと家族になれたら…と何度夢見たことか。」
二人で手を取り合って、色んな行事に出ることを想像する。
…確かにそれはとても楽しいような気がした。
「…そりゃあ私もソフィアと家族になれたら嬉しいけどー」
それでも、やっぱり私の脳裏に浮かぶのはライル様で…。ずっと話してもいない、喧嘩したままだと言うことを思い出し、胸がツキンと痛む。
ティーカップの中で揺れる紅茶に映る私は、不安そうに揺れていた。
「ふふっ。やっぱり殿下への気持ち自覚したのね?」
「へ?」
ソフィアの言葉に思わず顔を上げるー
が、すぐにそれを後悔した。
ソフィアはフフッと声を出して笑う。
「目が泳いでるし、顔も真っ赤よ。感情隠すの下手なんだから、正直に話せば良いじゃない。まぁ、話したくないなら、止めるけど。」
「あ…ご、ごめん。
話したくないわけじゃ…ない、の。
ただ……は、恥ずかしくて…。」
俯きがちにボソボソと喋れば、向かい側に座るソフィアからは小さくため息が漏れた。
……もしかして、呆れられたのかな?と、不安になった次の瞬間、ソフィアがぽそっと呟いた。
「はぁ……可愛い。」
「…は、はぁ?!」
私は恥ずかしくなって、ついはしたない声を上げてしまう。ソフィアの厳しい目線が飛ぶ。
「アンナ。
令嬢が『はぁ?』なんて言うものじゃないわ。」
「ご、ごめん。」
怒られて肩を落とした私を見て、ソフィアが微笑む。
「ふふっ。で、どうする?
この話、止める?」
そう問われて…迷った。けれど、やっぱりソフィアに聞いて欲しかった。
杏奈の時も含めて、恋なんてしてこなかった私には、ライル様への恋心と、ジョシュア様から向けられる好意……とてもじゃないが一人で対処できそうになかったから。
私は、ティーカップを両手でぎゅっと握り、言った。
「……聞いて、ください。」
「そうこなくっちゃ!はい、どうぞ!」
ニッコニコと楽しそうにソフィアは私を見つめる。
私はポツポツとライル様への恋心を自覚した経緯とその後に喧嘩をしたこと、そしてジョシュア様から告白された流れを、リィナとのやり取りも含めて説明した。
私が全て話し終えると、ソフィアは眉を下げた。
「ライル様への気持ちを自覚したのは良いとして…
そのきっかけがリィナ…っていうのは、辛かったわね。」
「うん……。リィナもやけに自信があるようだったし、ライル様も会っていることは否定しなかったし……正直何を信じて良いのか分からないの。」
そう。ライル様を信じて良いのか分からない。
正直この一年間、ライル様ルートで発生したイベントは殆ど起こらなかった。ライル様があまりにもリィナを避け、私と一緒にいたので、最初は緊張していたイベントの日も途中からはそのイベントの時期が過ぎるとふと胸を撫で下ろす程度になっていた。ここ数ヶ月は学園自体にも来ていなかったし…。
けれど、ここに来て、二人は急接近している。私の見えない王宮の中で。ライル様ルートで王宮のシーンなど一度もなかったと言うのに。
グルグルと考えて俯く私にソフィアは言う。
「そんな時、お兄様から告白を受けて、気持ちが揺れてしまった…と。」
ドキッと胸が跳ねる。
ジョシュア様の真っ直ぐな紺碧な瞳を思い出してしまう。
「気持ちが揺れるって言うか……
ずるいのは分かってるんだけど、真っ直ぐに嘘偽りなく私を想っているのが伝わってきて…嬉しかったの…。胸の奥がじんわり温かくなるような感じで…。
ライル様の婚約者である私は、そんなこと思っちゃいけない立場なのにー。」
「それに別にまだ結婚してないし、構わないんじゃない?他の人を想いながらも、政略結婚をする人だって沢山いるんだし。私は結婚したら、相手の方に誠意を尽くすべきだと思うけど、まだアンナは婚約者でしょ。
あと、人を好きになるきっかけなんて何でもいいじゃない。ずるくなんかないわ。」
「で、でも、そんな、好きとか……じゃ、まだなくて。
ジョシュア様をそんな風に見たことなかったから……。」
「分かってるわよ。でも、惹かれているアンナもいるってことでしょ。きっとお兄様はそれだけでも跳んで喜ぶわよ。」
ソフィアは悪戯に笑う。
ジョシュア様が跳んで喜ぶところを想像するが……
あまりにも似合わない。私は思わず吹き出してしまった。
「ぷっ。そんなはずないじゃない。」
「どうかしらね。
お兄様の名誉の為にこれ以上は黙っておくわ。」
そう言ったソフィアと顔を見合わせて、二人で声を上げて笑った。
1
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる