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5 時は満ちた
しおりを挟むレーナさんは私の助言通りエドワード王子を虜にする為に奮闘している。
私はいつも通り過ごすだけ。地味な嫌がらせも今となれば可愛いものよ。
エドワード王子は月に一度のお茶の時間にも来なくなった。私は後ろにいる者に、
「記録を」
「確かに」
これで2ヶ月お茶の時間に来ない。
邸に帰り私室にいると、
「報告です」
「聞くわ」
「王子の私室で体の関係あり」
「そう、ありがとう」
レーナさんはついに体を使ったのね。それでもそれでいいの。王子妃には破瓜の確認があるけど側妃や愛妾にはないんだから。
どんなやり方でも虜にすればいいだけだもの。体に溺れる、いいじゃない。もっと溺れさせてエドワード王子の愛を掴み取って。
エドワード王子は私の存在が邪魔なようで目の敵にしてくる。
そうよね、私は愛しのレーナさんに嫌がらせをしていて、でも、婚約者の私の存在があるからレーナさんに直ぐに婚約しよう、とは言えないもの。
エドワード王子の今の心の内は、早く私に婚約破棄を言って、レーナさんと婚約してレーナさんを完全に自分のものにしたい、かしら。
卒業パーティーまで1ヶ月、エドワード王子はレーナさんの側を片時も離れない。完全にレーナさんの虜になったようね。
元々好意を持っていた女性と体の関係になれば溺れるのは男の性。王子といえど年頃の男、性に興味もあり一度は試してみたいと思うものだもの。高位貴族の令嬢は婚姻するまで絶対に体を許す事はないから。
例え王子でも堅苦しい制度には従わなくてはならない。そんな中、平民に近い男爵令嬢のレーナさんと体の関係になった。一度味わった快感に、性に貪欲になるのは手に取るように分かる。
二度が三度、それからは何度しても変わらないとどんどん女性の体に快感に溺れていく。
「だから男はバカなのよ」
「俺も男ですが」
「まだいたの?」
「いました。指示を」
「引き続きお願い」
「承知」
レーナさんの話しを聞いてから私は私で出来る事をした。その時の為に。
学園の校舎裏、
「シャーロット、これからどうすれば良いの?」
「レーナさんは言ったわよね、私は卒業パーティーで処刑されるって」
「悪くてね?」
「卒業パーティーで婚約破棄なんかしたら卒業パーティーは中止になると思うの」
「えー!それは嫌よ!だって私エドワードとダンス踊りたいもの。いっぱい練習したのよ?楽しみにしてるの。それにエドワードから可愛いドレスとアクセサリーも貰ったの。だから中止だけは絶対に嫌!」
「そうよね。だからね、卒業パーティーの前に婚約破棄は言った方がいいと思うの。それもそうね……、エドワード王子の私室がいいと思うわ」
「私室ね、分かったわ。エドワードに言うわ」
「それがいいわ。もしエドワード王子が何か言ってきたら、卒業パーティーは気兼ねなく出席したいと言えばいいと思うの。いっぱい練習したダンスを一緒に踊りたい事も、楽しみにしてる事も言えば大丈夫よ。
だってエドワード王子はレーナさんに虜なんだもの」
「へへ、そう見える?」
「ええ、誰から見てもエドワード王子はレーナさんを愛しているわ」
「良かった~」
レーナさんはスキップしながら立ち去った。
「あはははは!時は満ちたみたいね!」
雲一つない青空は私の門出を祝っているように見えた。
「どうします?」
「いたの?」
「います。指示を」
「そうね、叔父様に伝えて。近々顔を出すって」
「承知」
卒業パーティーの一週間前、エドワード王子から手紙が来たわ。
『明日、私室へ来い。話がある』
レーナさんが何て言ったかは分からないけど、目立ちたがり屋のエドワード王子が卒業パーティーではなくて私室ね…。
ふふっ、卒業パーティーなら卒業パーティーでも良かったけど、私室なら私室でもいいわ。
私は修道院かしら、それとも処刑?
ふふっ、エドワード王子がどう選択するのか今から楽しみだわ。
私は明日着ていくドレスを選んだ。どうせ最後だもの、綺麗に着飾りたいじゃない?
「お嬢様」
「メアリ、明日は綺麗にしてほしいの」
「分かりました」
「メアリもこれからは好きにしてね?」
「私はお嬢様の側を離れません」
「その気持ちは嬉しいけど」
メアリは私のメイド。見習いメイドの時からずっと側にいてもう10年。私に付いていたメイドはメアリだけになった。25歳になったメアリにも幸せになってほしい。
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