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4 健闘を祈る
しおりを挟む私は目の前で首をかしげているレーナさんに話しかけた。
「レーナさん、貴女が受けている嫌がらせは嫌がらせと言える程の事ではありません。どちらかと言えば要領が悪い部類です。
そんな事を誰かに言えば馬鹿にされます」
「そうなの?でもいやがらせはいやがらせだわ」
「そう思うのはレーナさんだけですが、まあいいでしょう。
レーナさんは処刑されるの嫌なのよね?」
「もちろんよ」
「それなら、これからもエドワード王子に嫌がらせをされた内容を言わない方がいいです。それを知ったエドワード王子の気持ちが冷める、かもしれません」
「分かったわ、言わない」
私は目の前のレーナさんに笑顔を見せ、
「私はレーナさんとエドワード王子の恋を応援するわ。だから私に協力させてくれないかしら」
「いいの?」
「ええ、だって私は婚約破棄される婚約者でしょ?それにエドワード王子は私を愛していないわ。私もエドワード王子を愛していないし。
でも臣下としてはエドワード王子には幸せになってもらいたいし、愛してる人と添い遂げてほしいと思うもの。そしてエドワード王子が愛した人はレーナさんでしょ?
だから私は二人を応援するわ」
「シャーロットって優しいのね」
レーナさんは溢れんばかりの笑顔を見せた。
「ふふっ、早速いいかしら」
「ええ!」
「レーナさんにはこれからしてほしい事があるの。それはね?エドワード王子を虜にしてほしいの。エドワード王子の心をレーナさんだけにするのよ?出来そう?」
「それは任せて」
「ふふっ、頼もしいわ。でもね?実際、男爵令嬢のレーナさんでは王子妃にはなれないの。なれて側妃、もしくは愛妾ね。でもそれでいいの。
面倒な王子妃は優秀な誰かにやってもらえばいいのよ。レーナさんはエドワード王子の愛を受け取るだけ。私と婚約破棄したエドワード王子が誰かと結婚してもそこは我慢してね?
聞いていい?レーナさんは王妃になりたいの?」
「なりたいわよ」
「王妃になるには厳しい教育が待ってるのよ?」
「厳しいって?」
「まさに地獄ね」
「嫌よ。私はエドワードの愛と綺麗なドレスと宝石、後は美味しい食事ね、それさえあればいいもの」
「案外レーナさんは欲張りなのね」
「そうかしら。王妃になれば手に入るものよ?」
「確かに手に入るものだけど、その分責任も付いてくるわ。責任を取らされ処刑、なんて事もあるのよ?」
「処刑は絶対嫌よ。なら私は王妃じゃなくていいわ。悲しいけどエドワードが誰かと結婚しても我慢する。
ねぇシャーロット、側妃でもそれは手に入るわよね?」
「入るわ。レーナさんがエドワード王子を虜に出来たらね」
「分かったわ」
「レーナさんいい?私が婚約破棄されるまでに必ずエドワード王子の心を掴んでほしいの。どんな手を使ってもいいわ。例えどんな令嬢に言い寄られてもなびかない、愛する女性はレーナさんだけ。
エドワード王子を虜に出来るかしら?」
「ええ!出来るわ!エドワードを虜にするわ!」
「ふふっ、では健闘を祈ります」
スキップして私の目の前から立ち去っていったレーナさんの姿を見つめる。
大丈夫、私はレーナさんの味方よ。
「どうするおつもりで」
「そうね、どうしようかしら」
「指示を」
「二人を監視して」
「承知」
私の頬を風が通り抜けた。
レーナさんに全てがかかっているのよ?私が婚約破棄される事も、レーナさんの幸せも、全てレーナさんにかかっているの。
だから頑張ってね?
私はレーナさんを応援するから。レーナさんとエドワード王子の恋を愛を応援するから。
レーナさん、健闘を祈ってるわ。
貴女なら出来ると私は信じてるの。
「ふふっ、ふふっ、あはははは!」
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