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しおりを挟む使用人の紹介をしてもらい、邸の案内をしてもらった。私の部屋は当主婦人の部屋でジルベーク様の自室と繋がっていて、結婚したら間の寝室で一緒に寝る事になる。後はジルベーク様の執務室、書斎、私の執務室、ジルベーク様が戦で邸を留守にする間、代わりに書類の仕事をする為に私専用の執務室があるみたい。後は客室が数部屋と図書室。
イザークとケイト、ベン家族、ベンの弟家族は邸の裏に各自家があり、夜は家に戻るそう。
夜はジルベーク様と私しか邸には居ないと言われた。夜、何か困った事があれば遠慮せず部屋に訪ねに来て欲しいとジルベーク様に言われたけど……、ね?無理よ。
ケイトに、ジルベーク様に言えないならいつでも家まで来てくれて構わないからと言ってくれた。息子達の部屋が空いてるからと。
後、騎士隊の宿舎と訓練場は邸からかなり離れていて、騎士達と会う事はない。ジルベーク様は基本騎士隊の施設に居て、訓練や指導をしていると。
一度、騎士達の訓練風景も見て見たかったのだけど、見せてもらえるのかしら?でも、ここに150人居るのよね?ちょっと怖いかも?
邸の案内も終わり、
「昨日は夜遅くて話す事が出来なかった。今から少し話さないか?」
「はい。私もお話がしたいです」
「なら、俺の執務室でいいか?」
「はい」
ジルベーク様の後について行き執務室に入った。執務室の中に一人の男性が居て、
「アリシア王女殿下、お初にお目にかかります。私は辺境の地の騎士隊の副隊長を務めます、キースと申します。これから度々顔を合わせる機会が増えると思いますのでよろしくお願いします」
キースは右手を左胸に当て、お辞儀をした。 私はカーテシーをしてから、
「キース様、私は第二王女アリシアと申します。以後お見知りおきを。これからこちらでお世話になります。こちらこそよろしくお願いします」
私も頭を下げた。キース様はとても気さくな方で「膝を付いた挨拶もしましょうか?」と、私は丁寧にお断りしたわ。
なんでも辺境の地では、命を掛けて戦う為、自分の心臓を掛けて忠誠を誓うという意味だと教えて貰った。
キース様と私の挨拶も終わり、ジルベーク様がソファーに座り、私は反対側のソファーに座った。キース様はジルベーク様の後ろに立ち、
「アリシア王女殿下、当分の間、キースに貴女の護衛をしてもらうつもりだ」
「護衛ですか?」
「俺が邸から離れる時は勿論だが、邸の外へ出掛ける時、邸にいる間も部屋の外で待機してもらうつもりだ。ゆくゆくは騎士隊の団長か副団長のどちらかを貴女に付ける予定だが、今は調整中だ」
「キース様もですが、団長様や副団長様にご迷惑ではありませんか?」
「国境では常に3部隊が任務に付いているが、貴女がこの邸に居る以上、邸が手薄になるのは困る。何かが起こってからでは遅いからな。貴女には悪いが我慢してくれ」
「分かりました。皆様にご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」
「もし街へ行きたいのなら出来れば早めに言って欲しい。街と言っても一時間以上かかるが、必ず数人の護衛と行動して欲しい。それでだな…未婚の女性が馬車の中という狭い空間に男性と乗るのは嫌だろうが、騎士一人と乗ってもらう事になる。貴女が馬車の中に乗っている事ぐらい敵も分かってるはずだからな。馬車の中で貴女を護る為だ。了承してくれ。万が一馬車から出て逃げる事になった場合、騎士が貴女を抱えて逃げる事があるかもしれない。その時は少し手荒になるかもしれんが騎士に従って欲しい」
「分かりました。その時は騎士の指示に従います。馬車の中に騎士が乗り込む事も了承しました。ですが、ジルベーク様は付いて来てくれないのですか?」
「いや、言われれば付いて行くが…」
「それならジルベーク様にお願いしたいです」
「ああ」
「王女殿下、ジルの予定はあってないようなものだからいつでも声を掛けてください」
「おい、キース」
「ふふっ、では今度お声掛けします」
「あ、ああ…」
ジルベーク様は何ともいえない顔をしていました。
今の所街へ行くつもりは無かったけど、今度お誘いしてみようかしら。
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