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しおりを挟むお父様の素早い行動のおかげで婚約は無事破棄になった。
家の馬車に乗り学園へ向かう。
「一人で乗るのって楽よね」
学園に着くと、皆に見られた。
それもそうよ。休み前まで一緒に通っていたマシュー様が隣にいなくて私は一人で来た訳だし。
今日からは学園生活も楽しめそう!
今迄は自分の好きな時間に来れなかったもの。
「アイラの支度が遅くて遅れそうだ」
私は貴方が来るずっと前に準備して待ってたから!それに馬車が着いたら直ぐに乗り込んだけど?
「今日は天気が良いな」
無理して会話しなくて良いから。それに今日は曇りです。
「教室まで送るよ。俺って本当に優しい婚約者だよな、アイラもそう思うだろ?」
優しい婚約者を見せたいだけでしょ?その証拠にいつも周りをキョロキョロと見てるじゃない。
「アイラ、昼に迎えにくる」
どこ見て言ってるの?私は目の前だけど?
マシュー様は周りから優しい婚約者だと思われたい人なの。
でも、それも休み前まで!
私は一人で教室に入った。
皆遠巻きに見てくるけど気にしない。
「ねぇアイラ、マシュー様はどうしたの?」
そんなに仲良くないクラスの子が話しかけてきた。
こういう子っているわよね。それほど仲良くないのに聞きたがる子。
「婚約破棄したけど?」
「え~!アイラ可哀想。いつでも相談してね。私、話聞くの好きなの。私は貴女の味方よ?」
そうね。話を聞いて誰に言うの?それに私別に可哀想じゃないから。
それに相談するなら本当に仲が良い子に相談するわよ。こんな時だけ寄って来る子に誰が相談するの?
あ!居たわ!その子結局貴女に相談して有る事無い事噂話を流されて泣いていたわよ?
「ありがとう。何か相談する時はお願いね?」
「いつでも言ってね」
「ええ」
何も聞き出せないと分かると興味も無くなるの。自分の席に戻って行ったわ。
「アイラおはよう。今日は早いじゃない」
「おはようレミー」
レミーは本当に仲が良いお友達。同じ子爵家なの。
「ついに?」
「ついによ」
「やったわね」
「ありがとう」
私達は小声で話した。
昼食の時間になり、
「アイラ一緒に行きましょ」
「そうね」
昼食は食堂がありそこで食べる。
いつもなら、
「アイラ迎えに来たよ」
笑顔をふりまいて迎えに来るマシュー様。
「アイラ、俺は先に席を取っておくよ」
「では先に並んでますね」
「折角座れた席を離れたら誰かに取られるかもしれないだろ?そんな事も分からないのか?
俺はAランチで良いよ」
「分かりました」
普通は一緒に並ぶか、女性を席に着かせてから食事を持ってきてくれると思うけど?
「アイラの方が美味しそうだな」
私はBランチ。
「交換しますか?」
「アイラが交換したいんだろ?仕方ないな」
そんな事が続いてから同じランチにした。
「アイラ?どうしたの?」
「いやね、懐かしいなと思って」
「懐かしいってこの前まではマシュー様と一緒に食べてたでしょ?」
「もうそれさえも懐かしいのよ。今日からは好きな物を食べれるわ」
私はハンバーグのAランチにした。レミーはシチューのBランチ。
二人で席を見つけ座り、
「で?マシュー様とよく婚約解消出来たわね」
「正確には破棄だけどね?」
「破棄?なんで?」
「ほら、例の男爵令嬢いるじゃない」
「あ~猫ちゃんね」
「その猫ちゃんをマシュー様は好きなんだって」
「そうなの?あの噂話知ってるの?」
「マシュー様はどうだろう?でも早急に手続きしたから私にはもう関係ないわ」
「猫ちゃん、ついに伯爵に来たのね」
「侯爵は終わったの?」
「そうじゃない?」
「マシュー様が一番手?」
「そのはずよ」
「でも最近伯爵家の人も婚約解消したって噂が流れたわよね?あれも?」
「あれは女性の方が違う人を好きになったらしいわよ?」
「へぇ~」
「それより私の話聞いてくれる?」
「どうしたの?」
「ついにキスしちゃったの!」
「良かったじゃない」
レミーは幼なじみの子爵令息と婚約している。レミーの婚約者はレミーにべた惚れだから心配ないわね。
私も今度は良い人がいいな!
マシュー様に言い返さなかった私も悪いけど、早々に諦めちゃったからな。
「アイラ、彼と猫ちゃんのご登場よ?」
レミーの目線の先、マシュー様と男爵令嬢が仲良く腕を組んで歩いていた。
自然と集まる私への視線…。
同情の視線はいらないから!止めてよ!と大声で叫びたい!
なんか近付いて来るけど…?
「アイラ、久しぶりだな」
昨日会ったけどね?
「アイラは寂しく友達と昼食か?俺は愛しい人と昼食だがな」
友達と食べる方が楽しいけど?
「俺達席が無いんだ、それくらい察しろよ。そんな事も分からないのか?気が利かない女はモテないぞ?」
「そうですか」
「それより俺は太陽が似合う男だと思わないか?」
太陽が似合う男ってどんな男よ!どっちかと言うとここ日が当たって暑いけど?
「アイラ、もう食べ終わったし教室戻りましょ?ここ暑いし」
「そうね」
私達は席を立ち、
「どうぞ?」
「アイラが俺の為に席を譲ってくれたなら座ってやろうかな?」
私は無視してレミーと教室に戻った。
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