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しおりを挟む「あの男何なの!」
レミーは食堂の一件で怒っている。
「あの人はいつも一言多い人なのよ」
「それでも言い方ってあるでしょ?」
「まぁね」
「人を小馬鹿にしすぎじゃない?」
「それがあの人よ」
「婚約破棄できて本当に良かったわ!」
「それだけは感謝してるわ」
テストが近付き図書室で少し勉強してから帰ろうと今は図書室で勉強中…。
そういえばここで一緒に勉強したわね。
「アイラは馬鹿だな?そのくらいも分からないのか?」
ちょっと聞いただけでこれ。
「まあ、俺の方が頭が良いからな、教えてやるよ」
頭が良いって別に学年で10番に入る訳じゃないわよね?確か私より5番上だから真ん中よね?
まぁ、私は貴方より5番下だから貴方の方が頭は良いかもしれないけど。
教えてもらっても説明が良く分からなかった。自分では分かっていても人に教えるのって難しいのよ?
「アイラは頭が悪いから理解ができないよな?悪い悪い、もっと簡単に教えるよ、頭が悪いアイラでも理解できるように」
悪いってそんな変わらないけど?
今はこんな嫌味を言われる事もないし本当に気が楽!
でも、分からない所は出てくる。先生に聞きに行こうと席を立った時、
「どこが分からないんだ」
「え?」
「分からない所があるんだろ?さっきから唸っていたぞ」
「え?私、唸ってました?」
「まあ、な…」
「すみません」
「で、どこだ」
私は座り、
「ここです」
教えてくれた人の説明は分かりやすく直ぐに理解が出来た。きっとこの人は頭が良いのね。
「ありがとうございます」
「また分からない所があったら直ぐに言えよ?遠慮なんかするな、一人で分からない所はどれだけ考えても分からない。時間の無駄だ」
「分かりました」
ちょっと言い方がキツい人だけど…。
それからまた黙々と勉強をする。区切りのついた所で帰ろうとさっきの人を見たら外を見ていた。
「すみません」
「お前か、どこだ?」
「いえ、私はもう帰ります。さっきはありがとうございました。助かりました」
「そうか」
そう言うとまた外を見ていた。
変わった人。外をというかただボーっと他事を考えているみたいな?同じ学年で見たことないから一つ年上の方かしらね。
違う日に図書室へ行くとまたその人は居た。軽く会釈だけして私は勉強をする。
何回か会うと自然と気になるのは仕方がない。
いつも勉強もせずただボーっと外を見ている。頭が良さそうだから勉強しなくても良いかもしれないけど…。
あれから聞く事もないから話した事はないけど、気になるとどうしても気になっちゃうのよね。
よし!
「あの、」
「どこか分からないのか?」
「はい」
「どこだ?」
「どうしていつも外を見ているのですか?」
「ん?」
「貴方の事が分からなくて」
「俺か…」
「はい、気になっちゃって」
「どうして人の気持ちは変わるんだ」
「人の気持ち、ですか?」
「好意を寄せられてると思っていたが実際は違った。他の男が良いらしい」
「そうですね…、実際は好意を持っていたかも知れませんよ?でももっと好意を持つ人が出来た、ただそれだけでは?」
「婚約者だったんだぞ?」
「私は婚約者の事大嫌いでしたよ?それでも婚約者だから我慢してました。婚約破棄になって万歳しちゃうほど喜びましたが」
「そうか」
「貴方は婚約者が好きでした?貴方も好意を見せていましたか?」
「好きか、それは分からないがだが婚約者として出かけ贈り物も贈った」
「出かけ贈り物を贈ればそれが好意ですか?それは婚約者として当然の行いです」
「確かにな」
「好きだとか、恥ずかしくて声にできないなら手紙や花言葉を使って伝えるとか、それだって自分の気持ちを伝えられます」
「花は贈った事がない。手紙もだが」
「婚約者の方も不安だったのでは?貴方が自分を好きなのか、それとも婚約者だから仕方なく一緒にいるのか、貴方の言動、行動一つで幸せにも不安にもなると思いますよ?これから伝えていけばまだ大丈夫ですよ、やり直せます」
「そうか…、だがもう今更遅い。婚約は解消した。彼女に好きな人が出来たらしい」
「それは何と言っていいのか…」
ん?女性に好きな人ができて婚約解消した?もしかして伯爵家の人?そんな、まさかね!
「好きな人とは誰だ」
「それは本人しか分かりません」
「お前も好きな人がいるのか?婚約破棄したんだろ?」
「私の場合は相手に好きな人が出来た方なので」
「そうか、俺と一緒か…」
「一緒ではないですね。私は婚約破棄になって喜んでいますから。貴方みたいにくよくよしていません」
「俺も!……くよくよしているな」
「はい」
「悩んでも無駄か」
「貴方の言葉を借りるなら、時間の無駄です」
「フッ、そうだな」
笑った顔素敵なのにいつも仏頂面してるから怖いと思われているんじゃないかな?
不器用なのか分からないけど損な性格の人ね。
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