婚約破棄ですか?勿論お受けします。

アズやっこ

文字の大きさ
4 / 18

しおりを挟む

「あの男何なの!」


レミーは食堂の一件で怒っている。


「あの人はいつも一言多い人なのよ」

「それでも言い方ってあるでしょ?」

「まぁね」

「人を小馬鹿にしすぎじゃない?」

「それがあの人よ」

「婚約破棄できて本当に良かったわ!」

「それだけは感謝してるわ」



テストが近付き図書室で少し勉強してから帰ろうと今は図書室で勉強中…。


そういえばここで一緒に勉強したわね。


「アイラは馬鹿だな?そのくらいも分からないのか?」

ちょっと聞いただけでこれ。


「まあ、俺の方が頭が良いからな、教えてやるよ」

頭が良いって別に学年で10番に入る訳じゃないわよね?確か私より5番上だから真ん中よね?

まぁ、私は貴方より5番下だから貴方の方が頭は良いかもしれないけど。

教えてもらっても説明が良く分からなかった。自分では分かっていても人に教えるのって難しいのよ?


「アイラは頭が悪いから理解ができないよな?悪い悪い、もっと簡単に教えるよ、頭が悪いアイラでも理解できるように」

悪いってそんな変わらないけど?



今はこんな嫌味を言われる事もないし本当に気が楽!

でも、分からない所は出てくる。先生に聞きに行こうと席を立った時、


「どこが分からないんだ」

「え?」

「分からない所があるんだろ?さっきから唸っていたぞ」

「え?私、唸ってました?」

「まあ、な…」

「すみません」

「で、どこだ」


私は座り、


「ここです」


教えてくれた人の説明は分かりやすく直ぐに理解が出来た。きっとこの人は頭が良いのね。


「ありがとうございます」

「また分からない所があったら直ぐに言えよ?遠慮なんかするな、一人で分からない所はどれだけ考えても分からない。時間の無駄だ」

「分かりました」


ちょっと言い方がキツい人だけど…。

それからまた黙々と勉強をする。区切りのついた所で帰ろうとさっきの人を見たら外を見ていた。


「すみません」

「お前か、どこだ?」

「いえ、私はもう帰ります。さっきはありがとうございました。助かりました」

「そうか」


そう言うとまた外を見ていた。


変わった人。外をというかただボーっと他事を考えているみたいな?同じ学年で見たことないから一つ年上の方かしらね。


違う日に図書室へ行くとまたその人は居た。軽く会釈だけして私は勉強をする。

何回か会うと自然と気になるのは仕方がない。

いつも勉強もせずただボーっと外を見ている。頭が良さそうだから勉強しなくても良いかもしれないけど…。

あれから聞く事もないから話した事はないけど、気になるとどうしても気になっちゃうのよね。

よし!


「あの、」

「どこか分からないのか?」

「はい」

「どこだ?」

「どうしていつも外を見ているのですか?」

「ん?」

「貴方の事が分からなくて」

「俺か…」

「はい、気になっちゃって」

「どうして人の気持ちは変わるんだ」

「人の気持ち、ですか?」

「好意を寄せられてると思っていたが実際は違った。他の男が良いらしい」

「そうですね…、実際は好意を持っていたかも知れませんよ?でももっと好意を持つ人が出来た、ただそれだけでは?」

「婚約者だったんだぞ?」

「私は婚約者の事大嫌いでしたよ?それでも婚約者だから我慢してました。婚約破棄になって万歳しちゃうほど喜びましたが」

「そうか」

「貴方は婚約者が好きでした?貴方も好意を見せていましたか?」

「好きか、それは分からないがだが婚約者として出かけ贈り物も贈った」

「出かけ贈り物を贈ればそれが好意ですか?それは婚約者として当然の行いです」

「確かにな」

「好きだとか、恥ずかしくて声にできないなら手紙や花言葉を使って伝えるとか、それだって自分の気持ちを伝えられます」

「花は贈った事がない。手紙もだが」

「婚約者の方も不安だったのでは?貴方が自分を好きなのか、それとも婚約者だから仕方なく一緒にいるのか、貴方の言動、行動一つで幸せにも不安にもなると思いますよ?これから伝えていけばまだ大丈夫ですよ、やり直せます」

「そうか…、だがもう今更遅い。婚約は解消した。彼女に好きな人が出来たらしい」

「それは何と言っていいのか…」


ん?女性に好きな人ができて婚約解消した?もしかして伯爵家の人?そんな、まさかね!


「好きな人とは誰だ」

「それは本人しか分かりません」

「お前も好きな人がいるのか?婚約破棄したんだろ?」

「私の場合は相手に好きな人が出来た方なので」

「そうか、俺と一緒か…」

「一緒ではないですね。私は婚約破棄になって喜んでいますから。貴方みたいにくよくよしていません」

「俺も!……くよくよしているな」

「はい」

「悩んでも無駄か」

「貴方の言葉を借りるなら、時間の無駄です」

「フッ、そうだな」


笑った顔素敵なのにいつも仏頂面してるから怖いと思われているんじゃないかな?

不器用なのか分からないけど損な性格の人ね。


しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ? 

青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。 チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。 しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは…… これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦) それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?

青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。 エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・ エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・ ※異世界、ゆるふわ設定。

【完結済み】婚約破棄したのはあなたでしょう

水垣するめ
恋愛
公爵令嬢のマリア・クレイヤは第一王子のマティス・ジェレミーと婚約していた。 しかしある日マティスは「真実の愛に目覚めた」と一方的にマリアとの婚約を破棄した。 マティスの新しい婚約者は庶民の娘のアンリエットだった。 マティスは最初こそ上機嫌だったが、段々とアンリエットは顔こそ良いが、頭は悪くなんの取り柄もないことに気づいていく。 そしてアンリエットに辟易したマティスはマリアとの婚約を結び直そうとする。 しかしマリアは第二王子のロマン・ジェレミーと新しく婚約を結び直していた。 怒り狂ったマティスはマリアに罵詈雑言を投げかける。 そんなマティスに怒ったロマンは国王からの書状を叩きつける。 そこに書かれていた内容にマティスは顔を青ざめさせ……

婚約者は…やはり愚かであった

しゃーりん
恋愛
私、公爵令嬢アリーシャと公爵令息ジョシュアは6歳から婚約している。 素直すぎて疑うことを知らないジョシュアを子供のころから心配し、世話を焼いてきた。 そんなジョシュアがアリーシャの側を離れようとしている。愚かな人物の入れ知恵かな? 結婚が近くなった学園卒業の半年前から怪しい行動をするようになった婚約者を見限るお話です。

最愛の人に裏切られ死んだ私ですが、人生をやり直します〜今度は【真実の愛】を探し、元婚約者の後悔を笑って見届ける〜

腐ったバナナ
恋愛
愛する婚約者アラン王子に裏切られ、非業の死を遂げた公爵令嬢エステル。 「二度と誰も愛さない」と誓った瞬間、【死に戻り】を果たし、愛の感情を失った冷徹な復讐者として覚醒する。 エステルの標的は、自分を裏切った元婚約者と仲間たち。彼女は未来の知識を武器に、王国の影の支配者ノア宰相と接触。「私の知性を利用し、絶対的な庇護を」と、大胆な契約結婚を持ちかける。

そちらがその気なら、こちらもそれなりに。

直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。 それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。 真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。 ※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。 リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。 ※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。 …ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº… ☻2021.04.23 183,747pt/24h☻ ★HOTランキング2位 ★人気ランキング7位 たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*) ありがとうございます!

《本編完結》あの人を綺麗さっぱり忘れる方法

本見りん
恋愛
メラニー アイスナー子爵令嬢はある日婚約者ディートマーから『婚約破棄』を言い渡される。  ショックで落ち込み、彼と婚約者として過ごした日々を思い出して涙していた───が。  ……あれ? 私ってずっと虐げられてない? 彼からはずっと嫌な目にあった思い出しかないんだけど!?  やっと自分が虐げられていたと気付き目が覚めたメラニー。  しかも両親も昔からディートマーに騙されている為、両親の説得から始めなければならない。  そしてこの王国ではかつて王子がやらかした『婚約破棄騒動』の為に、世間では『婚約破棄、ダメ、絶対』な風潮がある。    自分の思うようにする為に手段を選ばないだろう元婚約者ディートマーから、メラニーは無事自由を勝ち取る事が出来るのだろうか……。

処理中です...