婚約破棄ですか?勿論お受けします。

アズやっこ

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婚約解消か?受け入れただろ。

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今は学園の食堂で昼食を食べている。

私はレミーと食べていて、オスカー様は友達と少し離れた所で食べている。

目が合い微笑み合う。


「仲良いじゃない」


レミーがにこにこしながら話しかけてきた。


「そうなの」

「幸せそうで良かったわ」

「レミーこそ幸せじゃない」

「そうよ!私達は相思相愛だもの」


レミーと食堂を出て教室へ向かう途中、


「アイラ!やっぱり俺達は運命で結ばれているんだよ!」

「アイラ大丈夫?」

「一緒に居てくれる?」

「分かった」


レミーに側にいてもらい、


「話しかけないで、と前に言ったはずですが」

「可愛いアイラが目の前から来たら声をかけるだろ?」

「どうしてこのような事をしているのか興味もありませんが、私に声をかけても意味はありませんよ?

男爵令嬢のミアさんのお兄様」


今、目の前にいるのは例の男爵令嬢、猫ちゃんのお兄様。公園で見かけなかったら私も兄妹なんて気がつかなかったわ。


「ミアとは兄妹だけど俺はミアとは違う」

「違う?」

「俺は高位貴族か金を持ってる令嬢しか狙わない。それにミアみたいに婚約解消させたら捨てない。俺は跡取りだから嫁が必要だろ?」

「だからと言って何も婚約者がいる人をわざわざ狙わなくても」

「そこはミアと一緒で楽しいからだ。婚約者がいても俺が言葉巧みに話せば俺になびいてきて、それに婚約者から奪うのは一種の快感だな」

「だからオスカー様の元婚約者さんも奪ったんですか?」

「あれでも侯爵令嬢だしな、それに奪うのは簡単だった。だけどあんな我儘女、いくら侯爵令嬢だとしても妻にはしたくない。だからお前とは遊びだったって捨ててやった。

俺にだって選ぶ権利はあるだろ?結婚すれば夫婦になるんだ」

「だからと言って」

「アイラは我儘じゃないし、少し気が強い所も良かったんだがな」

「私は貴方にはなびきませんよ?」

「それも良かった」

「はい?」

「その方がやりがいがあるだろ?どんな手を使えば俺に落ちるのか、それも楽しいだろ?」

「そんな事をしていて貴方の妻は見つかるんですか?それよりも婚約者がいない人と婚約した方が見つかると思いますが」

「それだと楽しくないだろ?刺激は必要だ」

「貴方ね…」

「男爵家に嫁ぎたいと思う令嬢がいると思うか?」

「どこかにいるんじゃないですか?」

「貧乏でもか?」

「それはこれからの頑張り次第では?」

「領地も売ってないのにどうしろって言うんだ。それよりも高位貴族か金を持ってる令嬢を捕まえた方が早いだろ?

だけどな、婚約者がいない高位貴族の令嬢は男爵なんか相手にしない。家が金を持ってる令嬢もな、男爵なんかより高位貴族の令息と婚約しようと思うんだよ。

我儘女が簡単になびいて婚約解消したから我儘女と同じ男と婚約したお前も簡単に落とせると思ったんだがな」

「もし私が元婚約者と婚約中なら落とせたかもしれませんね」

「あいつか」

「ええ、あの人と比べると貴方でも素敵な男性だと思えたでしょうね。

ですが私はオスカー様が好きなので貴方にはなびきません。オスカー様以上の素敵な男性はいないと思っていますから」

「チッ!タイミングが悪かったか」

「縁とはそういうものです。貴方とは縁が無かった、ただそれだけです。

貴方にも貴方だけの縁がどこかにあります。その方が現れるまで待っていたらどうです?わざわざ婚約者がいる人を狙って貴方の評判を悪くするより、貴方と縁がある素敵な女性を見つけられると思いますよ?

貧乏でも男爵でも貴方自身を好きになった女性ならそんな些細な事と思うと思います。それに貴方もその女性の為に頑張ろうと思えます」

「他人事だと思って」

「私のお父様がそうでしたから。家は元々細々と暮らしていた貧乏子爵家でした。伯爵令嬢だったお母様は貧乏でも子爵でもお父様を好きになりました。お父様はお母様と結婚したいが為に努力し商会を大きくし今の子爵家にしました。

努力は簡単ではありません。ですが愛する人の為なら努力も苦じゃないとお父様は言っていましたよ?」

「努力は苦手だ」

「貴方が愛する女性が現れたら貴方も変わりますよ」

「惜しい事をしたな!元婚約者と婚約してる時にアイラに会っていたら良かった」

「妹のミアさんは見つけていましたが」

「ミアが手を出していたから除外してたんだよ」

「それが縁ですよ」

「あー!クソ!」

「あの…一つ良いですか?」


後ろにいたレミーが隣にきて、


「何だ」

「今の方が良いです。軽い男性はバカな女性には良いかもしれませんが、普通の令嬢なら軽い男性は警戒します」

「そうなのか?」

「はい、胡散臭いじゃないですか」

「胡散臭い、そうか、そう見えるのか」

「今の貴方の方が断然良いです」

「はぁぁ、そもそもそれから違ったか」

「残念ですが、そうですね」

「分かった。これからは軽い男はやめる」

「はい、素の貴方で勝負です。必ず出来ますから」

「ありがとな」

「頑張ってください」

「アイラも悪かったな」

「頑張ってください」


私とレミーはミアさんのお兄様と別れ教室へ向かった。



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