婚約破棄ですか?勿論お受けします。

アズやっこ

文字の大きさ
18 / 18
婚約解消か?受け入れただろ。

18

しおりを挟む

今日は両家集まり婚姻式の話しをする為にオスカー様の家に集まった。

オスカー様のお父様から、


「アイラ嬢、オスカーの元婚約者が迷惑をかけたようだがもう心配はいらないよ。

侯爵家にはきちんとお灸をすえたからね。それにちょっと口添えをしたら喜んでいたよ」


オスカー様のお父様の笑みが…、怖いんだけど…?


「口添えですか?」

「ああ、娘さんと婚姻する人がいないって困っていたからね、知り合いを紹介したんだ。ちょっと変わった趣向がある人だけど、それさえ我慢すればお金は持ってる紳士だからね。

これで侯爵家もお金の工面に悩まなくて済むと喜んでいたよ」

「オスカー君の元婚約者もですか!私もアイラの元婚約者の態度には目に余っていましてね。私もちょっと脅…いやいや、交渉をしましてね。あちらは泣いて喜んでいましたよ」

「「フフフッ」」


オスカー様のお父様とお父様は顔を見合わせ不気味な笑みをしていた。

それにお父様、脅したって言おうとしていたわよね?マシュー様が私の顔を見ると逃げるのはそのせいね。そのおかげで私に絡んでこなくなったから良かったけど、何をしたのかしら。


「お父様何をしたの?」

「なあに、取引先を少し潰しただけだ」


取引先を潰されたら私の顔を見たら逃げるわよね。



「俺は『目には目を歯には歯を』と言う言葉が好きでね」

「私は『やられたらやり返す』と言う言葉が好きなんですよ」

「「フフフッ」」


案外この二人馬が合うのね。


「これで厄介な邪魔者達がいなくなった。婚姻式は予定通りオスカーが卒業して直ぐに挙げよう」

「こちらは異存ありません」

「新居に離れを用意した。しばらくは新婚二人の方が何かと良いだろう」

「そうですね。新婚の時は特に二人の方が色々と都合が良いでしょうから。色々と」


私はお父様を睨み、


「お父様!」

「何だい?そんな怖い顔をしたらオスカー君に嫌われるよ?」

「オスカー様は嫌いません。それより下品な事を言うのはやめてください」

「何がだ?私は新婚のうちは二人きりで過ごしたいだろうと思っただけだぞ?オスカー君もご両親に気兼ねなくアイラと過ごしたいだろ?」

「俺ですか?はい、まあ…」

「オスカー様まで」

「そりゃあそうだろ、俺も男だからな」

「「ハハハッ」」


お父様達は同時に笑い、


「オスカーも男だな」

「跡取りもすぐですね」

「「ハハハッ」」


二人して満面の笑みで笑わなくても。


「旦那様?」

「あなた!」


オスカー様のお母様の静かに問う言い方。
お母様は叱るように言ういつもの言い方。


「「はいい!!」」


お父様達はピシっと背筋を伸ばし、


「俺が悪かった。冗談が過ぎた」

「ごめん。嬉しくてちょっと羽目を外した」


お母様達に謝り、子供達が目の前にいようが、オスカー様のお父様はお母様の手の甲にキスをし、お父様はお母様の頬にキスをした。

お母様達はなんだかんだ言いながらも許し、愛しい人を見つめ、お父様達のキスを受け入れている。


「アイラには先に言っておくが、っと言っても見ての通りだ。俺の両親は仲が良すぎるんだ」

「大丈夫です。家も同じなので」

「そのようだな」


両家の両親はオスカー様と私の目の前で夫婦二人の世界へ旅立った。



「どうする?」

「どうしましょうか」

「庭へ行くか」

「そうですね」


オスカー様に手を引かれ庭へ出て来て、


「言わなくても分かると思うが俺の両親はいつもあんなだ」

「家もいつもあれです」

「だが、両親のような夫婦に憧れもある」

「私もです。また?と子供心には思いますがそれでも両親のような夫婦に私もなりたいと思っています」

「俺はアイラとならなれると思う」

「私もオスカー様とならなれると思います」


オスカー様の顔が近づき、キスをした。

オスカー様と庭から戻ればまたお父様達は片手に妻の腰を、片手にワインを持ち、


「遅かったな」

「若い二人には色々ありますよ」

「そうだな」

「「ハハハッ」」


もう怒る気にもならないわ。




オスカー様は卒業し、私も学園を辞めた。レミーとはこれからも付き合っていくとはいえやっぱり寂しい。

学園最後の日、お互い真っ赤な目で、


「幸せにね」

「ありがとう。レミーも来年じゃない」

「式にはオスカー様と来てね」

「勿論行くわ。レミーもダニエルと来てね」

「絶対に行くわ」


レミーも学園を卒業したら婚約者のダニエルと結婚をする。



無事婚姻式が終わり、新居の離れの廊下をオスカー様と歩いている。


「アイラ?」


静かに問う言い方をされ、オスカー様はお義母様に似ているのね。


「どうしたの?」

「ウエディングドレスのアイラはとても綺麗だ」

「ありがとう」

「だが、分かるだろ?」

「ウエディングドレスは仕方がありません」

「そうだな。ウエディングドレスは仕方がない。寝室で待ってる」

「はい。では後ほど」


私は伯爵家のメイドの手によって磨かれ、夫婦の寝室へ入る。すでに待っていたオスカー様はベッドの上でくつろいでいた。


「遅くなりました」

「待ってないぞ」


オスカー様は優しい微笑みを見せた。


「アイラ」


オスカー様の差し出した手に手を重ねるとそのままベッドへ寝かされ、


「触れて良いか?」

「全てオスカー様のものです」


オスカー様は私の胸元へ顔を埋め、私はオスカー様の頭を抱きしめた。


「ああ、アイラの全てを独占できる」





            完結



しおりを挟む
感想 36

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(36件)

丼ママ
2025.01.06 丼ママ

はじめまして!
ヒーロー・ヒロインの元婚約者ズの
キャラの濃さ、、、
単体でもなかなか見ないぶっ飛び方でしたが
それが☓2って、、、!
猫ちゃんと、猫兄、父ズも含め
ここまでくると寧ろどのキャラも
清々しく感じます。
クセキャラの大渋滞!
とても面白かったです!!

解除
sarumaro
2023.05.08 sarumaro

面白かったー

2023.05.09 アズやっこ

sarumaro様

コメントありがとうございます。

厄介者の元婚約者を持った者同士の物語ですが面白いと思って頂けて嬉しいです。
他の作品もsarumaro様の目に止まることを願っています。

解除
nico
2022.06.03 nico

パパズ座右の銘?がサイコ~
元婚約者ザマアミロ(笑)
シツコイ害虫は徹底的に駆除しなきゃ。ウフッ
オスカーパパ離れまで新築してあげるとか、ス、テ、キ( ꈍᴗꈍ)
両親ズもラブラブかぁ💗
二人も負けず?にラブラブイチャイチャいっぱいしょう(ノ◕ヮ◕)ノ*.✧
お幸せに🎉🎉🎉🎉

完結お疲れ様でした
最初からオスカーが好青年で、安定して最後まで読ませていただきました。
次回作もお会いできますように。

2022.06.03 アズやっこ

nico様

コメントありがとうございます。
完結までお付き合い頂きありがとうございました。


パパズの座右の銘、パパズは同じ思考です。

両家の両親共に夫婦仲が良く、子供の前でもイチャイチャします。オスカーもアイラもそんな両親を見て育ってきたので間違いなくラブラブイチャイチャになるでしょう💕

新作を投稿する際にもnico様の目に止まる事を願っています😆

解除

あなたにおすすめの小説

(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ? 

青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。 チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。 しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは…… これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦) それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。

【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜

真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。 しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。 これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。 数年後に彼女が語る真実とは……? 前中後編の三部構成です。 ❇︎ざまぁはありません。 ❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。

(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?

青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。 エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・ エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・ ※異世界、ゆるふわ設定。

【完結済み】婚約破棄したのはあなたでしょう

水垣するめ
恋愛
公爵令嬢のマリア・クレイヤは第一王子のマティス・ジェレミーと婚約していた。 しかしある日マティスは「真実の愛に目覚めた」と一方的にマリアとの婚約を破棄した。 マティスの新しい婚約者は庶民の娘のアンリエットだった。 マティスは最初こそ上機嫌だったが、段々とアンリエットは顔こそ良いが、頭は悪くなんの取り柄もないことに気づいていく。 そしてアンリエットに辟易したマティスはマリアとの婚約を結び直そうとする。 しかしマリアは第二王子のロマン・ジェレミーと新しく婚約を結び直していた。 怒り狂ったマティスはマリアに罵詈雑言を投げかける。 そんなマティスに怒ったロマンは国王からの書状を叩きつける。 そこに書かれていた内容にマティスは顔を青ざめさせ……

婚約者は…やはり愚かであった

しゃーりん
恋愛
私、公爵令嬢アリーシャと公爵令息ジョシュアは6歳から婚約している。 素直すぎて疑うことを知らないジョシュアを子供のころから心配し、世話を焼いてきた。 そんなジョシュアがアリーシャの側を離れようとしている。愚かな人物の入れ知恵かな? 結婚が近くなった学園卒業の半年前から怪しい行動をするようになった婚約者を見限るお話です。

[完結]だってあなたが望んだことでしょう?

青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。 アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。 やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー

そちらがその気なら、こちらもそれなりに。

直野 紀伊路
恋愛
公爵令嬢アレクシアの婚約者・第一王子のヘイリーは、ある日、「子爵令嬢との真実の愛を見つけた!」としてアレクシアに婚約破棄を突き付ける。 それだけならまだ良かったのだが、よりにもよって二人はアレクシアに冤罪をふっかけてきた。 真摯に謝罪するなら潔く身を引こうと思っていたアレクシアだったが、「自分達の愛の為に人を貶めることを厭わないような人達に、遠慮することはないよね♪」と二人を返り討ちにすることにした。 ※小説家になろう様で掲載していたお話のリメイクになります。 リメイクですが土台だけ残したフルリメイクなので、もはや別のお話になっております。 ※カクヨム様、エブリスタ様でも掲載中。 …ºo。✵…𖧷''☛Thank you ☚″𖧷…✵。oº… ☻2021.04.23 183,747pt/24h☻ ★HOTランキング2位 ★人気ランキング7位 たくさんの方にお読みいただけてほんと嬉しいです(*^^*) ありがとうございます!

《本編完結》あの人を綺麗さっぱり忘れる方法

本見りん
恋愛
メラニー アイスナー子爵令嬢はある日婚約者ディートマーから『婚約破棄』を言い渡される。  ショックで落ち込み、彼と婚約者として過ごした日々を思い出して涙していた───が。  ……あれ? 私ってずっと虐げられてない? 彼からはずっと嫌な目にあった思い出しかないんだけど!?  やっと自分が虐げられていたと気付き目が覚めたメラニー。  しかも両親も昔からディートマーに騙されている為、両親の説得から始めなければならない。  そしてこの王国ではかつて王子がやらかした『婚約破棄騒動』の為に、世間では『婚約破棄、ダメ、絶対』な風潮がある。    自分の思うようにする為に手段を選ばないだろう元婚約者ディートマーから、メラニーは無事自由を勝ち取る事が出来るのだろうか……。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。