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あまりにも想定外な事態に立ち尽くしていた沖長は、自分に向かって飛来したモノを凝視したまま。
そしてその塊が自分の腹部へと当たったと思ったら、物凄い衝撃とともに後方へ弾かれてしまい、その先にあった街灯にぶつかって倒れ込んでしまった。
「フン! 今ので分かったろ? これ以上痛い目に遭いたくなかったらすぐにナクルから離れろよモブ!」
少年はそう言うと、鼻で笑いながらその場を去って行った。
それから沖長はというと、少ししてからむくりと起き上がる。
「痛たた……って、あれ? あんまり痛くはないな。ビックリはしたけど」
身体を起こして服に着いた汚れなどを払ってから小首を傾げる。
(とりあえず……今のは何だ?)
少年から放出された謎のエネルギー弾……のようなもの。
それに当たった瞬間に弾き飛ばされたということは、明らかに物理衝撃を対象に与えることを目的としたものなのは確かだ。
そういう漫画やアニメは見たことあるし、そういう力に憧れたこともある。しかしあくまでもそれは創作物語の管轄であり、現実では有り得ない事象であることも理解していた。
しかし実際に今、自分はその力らしきものを目にし、そして実感してしまった。つまりは何かしらの不可思議な能力を少年が持っていて、それを自分は受けたのは事実。
(え、何……この世界って、そういう不可思議ワールドなのか?)
てっきり前世とは違いこそあれど、そんなオカルト的なものは実在しないと思っていた。自分は確かにアイテムボックスという不思議能力はあるけれど、これはあくまでも転生特典というやつだから特別枠だと考えていたのである。
(ちょっと待てよ……コレは慎重に考えるべきことだよな。あのガキんちょが、たまたま俺みたいな特別な能力を持って生まれた奴である可能性だってあるし)
身体に痛みはないし怪我もしていないので、そのまま家に向かってゆっくりと考えながら歩き出す。
そこで不意に思い出す。それは転生時に、自分以外にも数人の人間がいたことを。
(もしかして神様、あそこにいた全員を同じ世界に転生させたのか?)
もしそうなら、あの赤髪少年の謎の能力についても転生特典ということで説明はつく。それにやっていることは確かに子供っぽいが、ここでの会話の内容が少し幼さとはかけ離れていたように思う。
同年代……六歳程度の子供が、他人をモブ呼ばわりしたり、沖長を自分の物語のイレギュラーと言い、悲劇を救うといった言葉を口にするだろうか。
ましてや全員を救い、自分のものにするといった発言をする六歳児なんて普通はいない……と信じたい。
だがそれが転生者だとしたらどうだろうか。見た目は子供でも、考え方はそれなりに熟した精神が引き起こしているとすればどこか納得できる。
「はぁ……マジかぁ」
思わず立ち止まって、こめかみを押さえつつ溜息が零れる。今の陰鬱な気持ちは神に向けてである。
(あんな事故勝手な考えの持ち主を一緒の世界……しかも近場に転生させるなんて。いや、待てよ。じゃああの銀髪もまさか……?)
赤髪少年と同じ言動をしていたということは、そういう可能性が非常に高い。
(……! そういや転生する時に――)
思い起こされるのはある場面。それは神様がこれから転生させる世界についての説明をした時だった。
『やったぜ! ●●の世界なんてツイてる!』
『マジで!? じゃあハーレム作り放題じゃん!』
『ククク、僕の時代が来たようだな。実に楽しみだよ』
そんな感じに上機嫌な発言をしていた三人の男がいた気がする。
(適当に聞いてたから詳しくは覚えてないけど、とにかく三人の男はノリノリだったはず)
その三人の言葉から、転生先の世界がどういうものであり、かつ三人にとっては非常に喜ばしいところだということが分かる。
(それがこの世界だとすると、三人はこの世界についての知識を予め知ってたってことか?)
だから転生先について幸運だと口にし、またハーレム作りができるなんて豪語できた。
そして忘れてはならないのは、赤髪少年が口にした様々な言葉である。
(特に度々ガキんちょが口にしてた物語って言葉。あれは本当にこの世界が何らかの創作物語の世界だとしたらどうだ?)
それならばガキんちょ二人が、ナクルの存在を初めから知っていたような言動や、これからナクルの物語が始めるみたいな言い方に理解が追いつく。
「……ちょっと待てよ。じゃあ何か、ここがアイツらの知ってる世界だとして、ナクルに執拗に迫るってことは……」
それは一つの真実を明るみにする。
「……ナクルが主人公、あるいはヒロインの物語ってことか?」
確かにナクルの背景は普通のそれとは違う。家が古武術をやっていたり、まだ小さいのにもかかわらず大人顔負けの動きをするなど、物語に出てくるキャラクターと言われても納得することができる。
沖長は推測ではあるものの、どんどん謎が紐解かれていくことに困惑してしまう。
そして最後に思い出したのは、転生する直前の神から発せられた言葉である。
『そっちの世界は大変だろうけど、できるだけフォローはしたつもりである。楽しんでくれたら何よりだ』
注目すべきは最初の〝そっちの世界は大変〟という言葉。
これは異世界につきもののモンスターバトルなどの危険性や、日本とは違う治安や文化レベルの低い世界でも頑張れという激励かと思ったが、この世界は現代日本とそう変わらないレベルだった。
それにもかかわらず大変ということは、何かしらの危険性が存在するということ。
もしここが漫画やアニメの原作世界だとするなら、その言葉に理屈が合う。
「つまりこの世界は…………ナクルが登場人物として出てくる原作の世界ってことか?」
その考えに至り、軽く目眩を覚えつつ近くにあった建物の外壁に背を預ける。
そして天を仰ぎ、またも大きな溜息を吐いた。
「神様ぁ…………そりゃねえよぉ」
それと同時に、もっと転生先の情報を聞いておけば良かったと嘆いた沖長だった。
そしてその塊が自分の腹部へと当たったと思ったら、物凄い衝撃とともに後方へ弾かれてしまい、その先にあった街灯にぶつかって倒れ込んでしまった。
「フン! 今ので分かったろ? これ以上痛い目に遭いたくなかったらすぐにナクルから離れろよモブ!」
少年はそう言うと、鼻で笑いながらその場を去って行った。
それから沖長はというと、少ししてからむくりと起き上がる。
「痛たた……って、あれ? あんまり痛くはないな。ビックリはしたけど」
身体を起こして服に着いた汚れなどを払ってから小首を傾げる。
(とりあえず……今のは何だ?)
少年から放出された謎のエネルギー弾……のようなもの。
それに当たった瞬間に弾き飛ばされたということは、明らかに物理衝撃を対象に与えることを目的としたものなのは確かだ。
そういう漫画やアニメは見たことあるし、そういう力に憧れたこともある。しかしあくまでもそれは創作物語の管轄であり、現実では有り得ない事象であることも理解していた。
しかし実際に今、自分はその力らしきものを目にし、そして実感してしまった。つまりは何かしらの不可思議な能力を少年が持っていて、それを自分は受けたのは事実。
(え、何……この世界って、そういう不可思議ワールドなのか?)
てっきり前世とは違いこそあれど、そんなオカルト的なものは実在しないと思っていた。自分は確かにアイテムボックスという不思議能力はあるけれど、これはあくまでも転生特典というやつだから特別枠だと考えていたのである。
(ちょっと待てよ……コレは慎重に考えるべきことだよな。あのガキんちょが、たまたま俺みたいな特別な能力を持って生まれた奴である可能性だってあるし)
身体に痛みはないし怪我もしていないので、そのまま家に向かってゆっくりと考えながら歩き出す。
そこで不意に思い出す。それは転生時に、自分以外にも数人の人間がいたことを。
(もしかして神様、あそこにいた全員を同じ世界に転生させたのか?)
もしそうなら、あの赤髪少年の謎の能力についても転生特典ということで説明はつく。それにやっていることは確かに子供っぽいが、ここでの会話の内容が少し幼さとはかけ離れていたように思う。
同年代……六歳程度の子供が、他人をモブ呼ばわりしたり、沖長を自分の物語のイレギュラーと言い、悲劇を救うといった言葉を口にするだろうか。
ましてや全員を救い、自分のものにするといった発言をする六歳児なんて普通はいない……と信じたい。
だがそれが転生者だとしたらどうだろうか。見た目は子供でも、考え方はそれなりに熟した精神が引き起こしているとすればどこか納得できる。
「はぁ……マジかぁ」
思わず立ち止まって、こめかみを押さえつつ溜息が零れる。今の陰鬱な気持ちは神に向けてである。
(あんな事故勝手な考えの持ち主を一緒の世界……しかも近場に転生させるなんて。いや、待てよ。じゃああの銀髪もまさか……?)
赤髪少年と同じ言動をしていたということは、そういう可能性が非常に高い。
(……! そういや転生する時に――)
思い起こされるのはある場面。それは神様がこれから転生させる世界についての説明をした時だった。
『やったぜ! ●●の世界なんてツイてる!』
『マジで!? じゃあハーレム作り放題じゃん!』
『ククク、僕の時代が来たようだな。実に楽しみだよ』
そんな感じに上機嫌な発言をしていた三人の男がいた気がする。
(適当に聞いてたから詳しくは覚えてないけど、とにかく三人の男はノリノリだったはず)
その三人の言葉から、転生先の世界がどういうものであり、かつ三人にとっては非常に喜ばしいところだということが分かる。
(それがこの世界だとすると、三人はこの世界についての知識を予め知ってたってことか?)
だから転生先について幸運だと口にし、またハーレム作りができるなんて豪語できた。
そして忘れてはならないのは、赤髪少年が口にした様々な言葉である。
(特に度々ガキんちょが口にしてた物語って言葉。あれは本当にこの世界が何らかの創作物語の世界だとしたらどうだ?)
それならばガキんちょ二人が、ナクルの存在を初めから知っていたような言動や、これからナクルの物語が始めるみたいな言い方に理解が追いつく。
「……ちょっと待てよ。じゃあ何か、ここがアイツらの知ってる世界だとして、ナクルに執拗に迫るってことは……」
それは一つの真実を明るみにする。
「……ナクルが主人公、あるいはヒロインの物語ってことか?」
確かにナクルの背景は普通のそれとは違う。家が古武術をやっていたり、まだ小さいのにもかかわらず大人顔負けの動きをするなど、物語に出てくるキャラクターと言われても納得することができる。
沖長は推測ではあるものの、どんどん謎が紐解かれていくことに困惑してしまう。
そして最後に思い出したのは、転生する直前の神から発せられた言葉である。
『そっちの世界は大変だろうけど、できるだけフォローはしたつもりである。楽しんでくれたら何よりだ』
注目すべきは最初の〝そっちの世界は大変〟という言葉。
これは異世界につきもののモンスターバトルなどの危険性や、日本とは違う治安や文化レベルの低い世界でも頑張れという激励かと思ったが、この世界は現代日本とそう変わらないレベルだった。
それにもかかわらず大変ということは、何かしらの危険性が存在するということ。
もしここが漫画やアニメの原作世界だとするなら、その言葉に理屈が合う。
「つまりこの世界は…………ナクルが登場人物として出てくる原作の世界ってことか?」
その考えに至り、軽く目眩を覚えつつ近くにあった建物の外壁に背を預ける。
そして天を仰ぎ、またも大きな溜息を吐いた。
「神様ぁ…………そりゃねえよぉ」
それと同時に、もっと転生先の情報を聞いておけば良かったと嘆いた沖長だった。
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