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第二章
断崖の出会い②
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「あなたのことを信じることが出来ませんが、とりあえず、イエヤスさん。その気味の、いえ、珍物な生き物はなんですか?」
男ことイエヤスさんにナーマが代表してゾウもどきが一体なんなのか質問をする。
彼にとっては相棒であるゾウもどきをさっき、気味の悪いと言ったことを少しばかり気にしているのかなんとか言い繕っていた。
いや、繕えているのだろうか‥‥‥。
「あ、この子の名前は直虎。メスだからね」
「いや、種族名を教えて欲しいんですけど」
イエヤスさんの紹介にすかさずナーマがツッコミを入れる。
また‥‥直虎って井伊直虎だよね、絶対。
なんなんだこの人。
「そゆこと。僕もこの種族の名前知らないんだ。ん~、適当にゾウとか飛ぶゾウとか言ってた」
「ゾウ‥‥?それが種族名ではないのですか?」
「うんうん。僕が知ってるゾウとはちょっと違うかな。そもそも飛べないし」
「突然変異とか?」
「どうかな。この子、異界から召喚したし、その可能性は無きにしも非ずって感じ」
「なきにしもあらず?ん?異界?何言ってるんだろうこの人」
この世界で生き、地球のことを知らないヒマリやレイトにとってはゾウも、異界も、無きにしも非ずも、理解が出来ないことだろう。
まぁ、異界だけは『異世界渡り』は五年前に起こったから理解できるかもしれないけれど。
それでも、信じられないものはどう足掻いても信じることができないというのが人間なのだ。
「あの、俺が質問することを端的に説明してください」
「ん、良いよ」
「では、一つ目、貴方は何者なのか。二つ目、異界とは何か。三つ目、何の目的でこの場にいるのか」
これ以上は話がややこしくなりそうで、話を進めるためにイエヤスさんに質問をする。
今までの会話で気になったこと、最適限の目的。
それは聞かなければいけないだろう。
「一つ目、僕は旅人さ。故郷ではそれなりの地位にいたんだけど、その生活に飽きて旅に出た。二つ目、異界とはこの世界とは隔絶した世界。この国の『異世界渡り』が良い例じゃないのかな。三つ目、目的は特にない。この子が思うがままに飛んでみたらこの場についた。あ、気になっているようだから、一応説明しておくけど、この子は魔物ではない。元々は羽がない生き物のはずなんだけど召喚してこの世界に適用したからかな、羽が生えた。満足してもらえたかな?」
胡散臭い笑い方で俺たちに質問してくる。
俺たちは互いが互いの顔を見合わせて、どうするべきか考えた。
「悪い人ではないと思う‥‥多分」
「あの生き物の能力が未知数な以上、下手に喧嘩売るのは、危険かもしれないな」
「うん。けど、このまま何もしないって言うのもね‥‥‥。ハルヤくんはどう思う?」
それぞれが個々にこの場をどうするか言い合う。
どうやらこの三人には大人を頼ると言う選択肢が欠如しているようだ。
まぁ、ナーマはもう仕事に就いているようなものだし、レイトとヒマリは貴族階級が集まる中で頼るなんてこと出来ないだろうから、必然といえばそうなのかもしれない。
だったら、俺がその考えを起こさせるだけだ。
「そうだな、俺たちだけではどうにも出来ない問題だと思う。イエヤスさんにしてもナオトラにしても。まずは村長を呼んで来るべきじゃないかな」
「「「あ‥‥」」」
「すっかり忘れてた」
「うん、僕も。村長に話さないと進まないね」
「さすがはハルヤ様。的確にアドバイスをなさるとは」
なんとか思い出させることに成功したらしい。
‥‥若干一人、変なことを言っている者がいるけれど聞かなかったことにしよう。
「というわけで、少々お待ちください」
「は~い」
緩い返事をイエヤスさんは返した。
「レイト、村長を呼んできてくれるか?」
「分かった」
「ナーマも森の中での護衛として付いってくれ」
「しかし‥‥」
森の中での護衛を頼むと、ナーマは複雑な表情を浮かべた。
俺の護衛としてこの場にいるナーマにとっては俺から離れるのはあってはいけないことだ。
俺もそれは分かっている。
が、俺の護衛だからといって他の人のことを蔑ろにしてはいけない。
それが分かっているからこそ、ナーマも複雑な表情を浮かべているのだろう。
「ハルヤ、僕は大丈夫だよ。ここは森っていっても、そんなに険しくないし、魔物だって弱いのしか出ないからさ」
「‥‥分かった。じゃあ、これお守りに持っていって」
ナーマの表情に気を使ったのか、レイトはナーマが護衛に付くのを断った。
レイトの表情にこれ以上の問答は無駄だと感じ、仕方なく折れ、お守りとして父様から俺や雫たちに配られたネックレスを渡した。
「ネックス?」
「お守り。何かあった時はそれが身代わりになってくれるから」
そう、このネックレスには装備者が怪我を負った場合、何度か身代わりとして怪我を負う機能がついている。
性格はあれだが、腕は一流なジングリアお手製だ。
「ありがとう。じゃあ、いってくる」
ネックレスを首につけるとレイトは森の中へ駆けて行った。
「あ、そうだ。そこのきみ、ちょいちょい」
レイトが森の中へ入っていくのを見届けると、イエヤスさんが何かを思い出したように、俺に来るように手招きをした。
手招きに応えてイエヤスさんの方へ向かおうとすると、目の前にナーマとヒマリが立ちはだかった。
「どうしたの?」
「危険です。ハルヤ様、危害を加える目的かもしれないんですよ」
「そうそう。村長に相談するだけで完全に信用したわけじゃないんだから」
二人はどうしても行かせたくないらしく、必死に壁を作っている。
けど、あの人が俺を呼んだと言うことは何かあるのだろう。
もしかしたら、それは地球のことかもしれないし。
それに、今ここでイエヤスさんの言うことを理解できるのは俺だけだ。
「大丈夫。何かあったら魔法で吹っ飛ばすから」
「‥‥‥分かりました。くれぐれもお気を付けて」
「ナーマくんっ!なんで了承しちゃうの?」
俺に対して盲信的になっていると思っているヒマリからするとナーマの発言はあり得ないものだったらしく、目を見開き驚いていた。
「ハルヤ様の魔法は王国魔法部隊と同等の威力を持っているからな。大丈夫だ」
「えっ、凄い!あ、でも、本当に気をつけてね」
「分かってる」
ナーマの説明で納得したらしいヒマリに声をかけると、俺はイエヤスさんの元へ向かった。
男ことイエヤスさんにナーマが代表してゾウもどきが一体なんなのか質問をする。
彼にとっては相棒であるゾウもどきをさっき、気味の悪いと言ったことを少しばかり気にしているのかなんとか言い繕っていた。
いや、繕えているのだろうか‥‥‥。
「あ、この子の名前は直虎。メスだからね」
「いや、種族名を教えて欲しいんですけど」
イエヤスさんの紹介にすかさずナーマがツッコミを入れる。
また‥‥直虎って井伊直虎だよね、絶対。
なんなんだこの人。
「そゆこと。僕もこの種族の名前知らないんだ。ん~、適当にゾウとか飛ぶゾウとか言ってた」
「ゾウ‥‥?それが種族名ではないのですか?」
「うんうん。僕が知ってるゾウとはちょっと違うかな。そもそも飛べないし」
「突然変異とか?」
「どうかな。この子、異界から召喚したし、その可能性は無きにしも非ずって感じ」
「なきにしもあらず?ん?異界?何言ってるんだろうこの人」
この世界で生き、地球のことを知らないヒマリやレイトにとってはゾウも、異界も、無きにしも非ずも、理解が出来ないことだろう。
まぁ、異界だけは『異世界渡り』は五年前に起こったから理解できるかもしれないけれど。
それでも、信じられないものはどう足掻いても信じることができないというのが人間なのだ。
「あの、俺が質問することを端的に説明してください」
「ん、良いよ」
「では、一つ目、貴方は何者なのか。二つ目、異界とは何か。三つ目、何の目的でこの場にいるのか」
これ以上は話がややこしくなりそうで、話を進めるためにイエヤスさんに質問をする。
今までの会話で気になったこと、最適限の目的。
それは聞かなければいけないだろう。
「一つ目、僕は旅人さ。故郷ではそれなりの地位にいたんだけど、その生活に飽きて旅に出た。二つ目、異界とはこの世界とは隔絶した世界。この国の『異世界渡り』が良い例じゃないのかな。三つ目、目的は特にない。この子が思うがままに飛んでみたらこの場についた。あ、気になっているようだから、一応説明しておくけど、この子は魔物ではない。元々は羽がない生き物のはずなんだけど召喚してこの世界に適用したからかな、羽が生えた。満足してもらえたかな?」
胡散臭い笑い方で俺たちに質問してくる。
俺たちは互いが互いの顔を見合わせて、どうするべきか考えた。
「悪い人ではないと思う‥‥多分」
「あの生き物の能力が未知数な以上、下手に喧嘩売るのは、危険かもしれないな」
「うん。けど、このまま何もしないって言うのもね‥‥‥。ハルヤくんはどう思う?」
それぞれが個々にこの場をどうするか言い合う。
どうやらこの三人には大人を頼ると言う選択肢が欠如しているようだ。
まぁ、ナーマはもう仕事に就いているようなものだし、レイトとヒマリは貴族階級が集まる中で頼るなんてこと出来ないだろうから、必然といえばそうなのかもしれない。
だったら、俺がその考えを起こさせるだけだ。
「そうだな、俺たちだけではどうにも出来ない問題だと思う。イエヤスさんにしてもナオトラにしても。まずは村長を呼んで来るべきじゃないかな」
「「「あ‥‥」」」
「すっかり忘れてた」
「うん、僕も。村長に話さないと進まないね」
「さすがはハルヤ様。的確にアドバイスをなさるとは」
なんとか思い出させることに成功したらしい。
‥‥若干一人、変なことを言っている者がいるけれど聞かなかったことにしよう。
「というわけで、少々お待ちください」
「は~い」
緩い返事をイエヤスさんは返した。
「レイト、村長を呼んできてくれるか?」
「分かった」
「ナーマも森の中での護衛として付いってくれ」
「しかし‥‥」
森の中での護衛を頼むと、ナーマは複雑な表情を浮かべた。
俺の護衛としてこの場にいるナーマにとっては俺から離れるのはあってはいけないことだ。
俺もそれは分かっている。
が、俺の護衛だからといって他の人のことを蔑ろにしてはいけない。
それが分かっているからこそ、ナーマも複雑な表情を浮かべているのだろう。
「ハルヤ、僕は大丈夫だよ。ここは森っていっても、そんなに険しくないし、魔物だって弱いのしか出ないからさ」
「‥‥分かった。じゃあ、これお守りに持っていって」
ナーマの表情に気を使ったのか、レイトはナーマが護衛に付くのを断った。
レイトの表情にこれ以上の問答は無駄だと感じ、仕方なく折れ、お守りとして父様から俺や雫たちに配られたネックレスを渡した。
「ネックス?」
「お守り。何かあった時はそれが身代わりになってくれるから」
そう、このネックレスには装備者が怪我を負った場合、何度か身代わりとして怪我を負う機能がついている。
性格はあれだが、腕は一流なジングリアお手製だ。
「ありがとう。じゃあ、いってくる」
ネックレスを首につけるとレイトは森の中へ駆けて行った。
「あ、そうだ。そこのきみ、ちょいちょい」
レイトが森の中へ入っていくのを見届けると、イエヤスさんが何かを思い出したように、俺に来るように手招きをした。
手招きに応えてイエヤスさんの方へ向かおうとすると、目の前にナーマとヒマリが立ちはだかった。
「どうしたの?」
「危険です。ハルヤ様、危害を加える目的かもしれないんですよ」
「そうそう。村長に相談するだけで完全に信用したわけじゃないんだから」
二人はどうしても行かせたくないらしく、必死に壁を作っている。
けど、あの人が俺を呼んだと言うことは何かあるのだろう。
もしかしたら、それは地球のことかもしれないし。
それに、今ここでイエヤスさんの言うことを理解できるのは俺だけだ。
「大丈夫。何かあったら魔法で吹っ飛ばすから」
「‥‥‥分かりました。くれぐれもお気を付けて」
「ナーマくんっ!なんで了承しちゃうの?」
俺に対して盲信的になっていると思っているヒマリからするとナーマの発言はあり得ないものだったらしく、目を見開き驚いていた。
「ハルヤ様の魔法は王国魔法部隊と同等の威力を持っているからな。大丈夫だ」
「えっ、凄い!あ、でも、本当に気をつけてね」
「分かってる」
ナーマの説明で納得したらしいヒマリに声をかけると、俺はイエヤスさんの元へ向かった。
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