11 / 36
第一章
ことの真相
しおりを挟む
急に謝られ、呆気に取られてしまった。
「は!あの、急に謝られても状況説明をお願いしたいんですけど」
無理やり意識を戻すと、女の人は申し訳なさそうな顔をした。
「そうですね。しっかり説明しますね。まず、ハルヤさんは地球とこの世界の事を知っていますよね」
「はい、知っています」
「では、この世界、いや、シーリス王国に伝わる儀式も知っていますよね」
「はい」
女の人は中々本題を切り出せないのか、細かい質問ばかりしてくる。
にしても、この人どっかで見たことがあるような気がするんだよな。
「『異世界渡り』この儀式が行われるようになった所以を知っていますか?」
「はい、知っていますけど。確かこの世界の女神と異世界の神がお互いの世界の者を送り合う、でしたっけ」
「はい、その通りです。そこでハルヤさんが異世界、つまり地球に飛ばされたんです。それで、その、あの、この世界の女神というのが私でして‥‥‥、今回起きた地球からの召喚についてご説明に伺った次第です」
申し訳なさそうに女の人‥‥女神ルルーユが言った。
見たことがあると思ったのは王都の教会で女神像を見たからか。
そんな似るもんかね。
そんなことよりも、現状の把握が一番だな。
「それで、今回の事はどういった経緯で起きたんですか?」
「ふぅ。まず、私たち神もお互いの世界に干渉する事は至難の業です。そこで、関係を保つ為に行われたのが『異世界渡り』です。元々、地球にはそういった書物が人気だったこともあり、『異世界渡り』‥‥地球の場合は転生ですね。が、受け入れられました。しかし、この世界のでは中々受け入れられず、唯一定着したのがシーリス王国でした。定着っていう言い方もおかしいですが」
遠くを見つめるように、女神ルルーユは言った。
女神ルルーユの話を聞いていると、ある疑問が頭の中に浮かんだ。
「あの、もしかして、俺がこの世界に転生したのも『異世界渡り』ですか?」
「あ、いえ。ハルヤさんがこの世界に来たのは『異世界渡り』とは関係ありません。この件は詳しくは教える事が出来ません。ただ一つだけ、不慮の事故だったと言うことだけ記憶に止めておいて下さい」
「は、はい」
女神ルルーユの目は出会ってまだ少ししか経っていないけれども、本当に真剣だった。
「本題に戻しますが、今回起きた召喚の件は言い訳になってしまいますが私は事前に把握することができていませんでした。突然でしたので、言語理解もままならない状態で、迎えてしまい本当に申し訳ありません」
「え?把握出来ていなかったって‥‥。じゃあ、地球の神はどうしたんですか?それに一方的に召喚出来るならこっちの世界から地球に帰すことも出来るんじゃないんですか?」
俺が聞くと女神ルルーユは何と答えるべきかと言わんばかりの顔で悩んでいた。
「その事を説明する前に時空之扉について説明しますね。時空之扉は各世界を繋ぐ門の役割を果たしています。この世界と地球も例外ではありません。何度もお互いの世界の者を行き来させていたせいで、この世界の時空之扉が緩くなっていたらしく簡単に皆さんをこの世界に引き摺り込んでしまったことが今回が、事前に把握出来なかった理由です」
女神ルルーユはここで一息付くと再び説明を始めた。
「ここからハルヤさんの疑問に答えると、まず地球の神は現在連絡が取れません。ですから私はこれ以上状況を知ることが出来ないです。そして、地球には今の所、帰すことが出来ません。地球の神が戻ってこないと時空之扉は開かないからです」
「えっと、つまりその地球の神の所在が分からないことにはどうのしようもないって事ですか?」
「はい、その通りです。ですので、しばらくこの世界に居ていただくほかないんです」
申し訳なさそうに女神ルルーユは言った。
地球にしばらく帰れない、か。
俺はこの世界のこともある程度知っているし、問題はないだろけど、雫達は問題過ぎるよな。
言語理解もまともに出来ていないのに、魔物や盗賊、地球と比べてあまりに治安が悪すぎる。
自衛の方法と言語の理解が課題か。
「事情は分かりました。一つお願いがあるんですけど」
「何でしょう。叶えられる範囲なら何でも言ってください」
「雫‥‥召喚者達への言語理解と自衛の手段を神の加護として頂けませんか?」
俺は女神ルルーユにダメ元でお願いしてみた。
そう易々と加護を与えるのは女神としてよくないと思うからだ。
「ん~。そうですね、それくらいさせていただかないと今回のお詫びとしては不十分ですね。では、ランダムに魔法と剣、盾の才、そして召喚者達全員には言語理解を加護をとして付与させていただきます」
「ありがとうございます」
俺は安堵して女神ルルーユにお礼を言った。
「だいぶ長居をさせてしまいました。現実へ引き戻しますね。ハルヤさんは聖之間に来た要領で現実、つまりここに来るまでいた場所を思い浮かべてください。なるべく正確に」
「はい」
俺は返事をすると寝ていた部屋を思い浮かべた。
五年振りで帰って来て居たのも少しだったため、思い出すのは少し時間がかかってしまった。
「思い出せたようですね。では、行きます。現実に戻れ!」
女神ルルーユは女神とは思えない大声で言うと俺の意識は落ちた。
まるで誰かに喝を入れているようだった。
「うぅん?ふぁぁ~」
目を覚ました時には王城の部屋にいた。
置き時計というものがないから体内時計になるけど大体四時くらいだと思う。
起こされるまでもう少し寝ていよう。
「は!あの、急に謝られても状況説明をお願いしたいんですけど」
無理やり意識を戻すと、女の人は申し訳なさそうな顔をした。
「そうですね。しっかり説明しますね。まず、ハルヤさんは地球とこの世界の事を知っていますよね」
「はい、知っています」
「では、この世界、いや、シーリス王国に伝わる儀式も知っていますよね」
「はい」
女の人は中々本題を切り出せないのか、細かい質問ばかりしてくる。
にしても、この人どっかで見たことがあるような気がするんだよな。
「『異世界渡り』この儀式が行われるようになった所以を知っていますか?」
「はい、知っていますけど。確かこの世界の女神と異世界の神がお互いの世界の者を送り合う、でしたっけ」
「はい、その通りです。そこでハルヤさんが異世界、つまり地球に飛ばされたんです。それで、その、あの、この世界の女神というのが私でして‥‥‥、今回起きた地球からの召喚についてご説明に伺った次第です」
申し訳なさそうに女の人‥‥女神ルルーユが言った。
見たことがあると思ったのは王都の教会で女神像を見たからか。
そんな似るもんかね。
そんなことよりも、現状の把握が一番だな。
「それで、今回の事はどういった経緯で起きたんですか?」
「ふぅ。まず、私たち神もお互いの世界に干渉する事は至難の業です。そこで、関係を保つ為に行われたのが『異世界渡り』です。元々、地球にはそういった書物が人気だったこともあり、『異世界渡り』‥‥地球の場合は転生ですね。が、受け入れられました。しかし、この世界のでは中々受け入れられず、唯一定着したのがシーリス王国でした。定着っていう言い方もおかしいですが」
遠くを見つめるように、女神ルルーユは言った。
女神ルルーユの話を聞いていると、ある疑問が頭の中に浮かんだ。
「あの、もしかして、俺がこの世界に転生したのも『異世界渡り』ですか?」
「あ、いえ。ハルヤさんがこの世界に来たのは『異世界渡り』とは関係ありません。この件は詳しくは教える事が出来ません。ただ一つだけ、不慮の事故だったと言うことだけ記憶に止めておいて下さい」
「は、はい」
女神ルルーユの目は出会ってまだ少ししか経っていないけれども、本当に真剣だった。
「本題に戻しますが、今回起きた召喚の件は言い訳になってしまいますが私は事前に把握することができていませんでした。突然でしたので、言語理解もままならない状態で、迎えてしまい本当に申し訳ありません」
「え?把握出来ていなかったって‥‥。じゃあ、地球の神はどうしたんですか?それに一方的に召喚出来るならこっちの世界から地球に帰すことも出来るんじゃないんですか?」
俺が聞くと女神ルルーユは何と答えるべきかと言わんばかりの顔で悩んでいた。
「その事を説明する前に時空之扉について説明しますね。時空之扉は各世界を繋ぐ門の役割を果たしています。この世界と地球も例外ではありません。何度もお互いの世界の者を行き来させていたせいで、この世界の時空之扉が緩くなっていたらしく簡単に皆さんをこの世界に引き摺り込んでしまったことが今回が、事前に把握出来なかった理由です」
女神ルルーユはここで一息付くと再び説明を始めた。
「ここからハルヤさんの疑問に答えると、まず地球の神は現在連絡が取れません。ですから私はこれ以上状況を知ることが出来ないです。そして、地球には今の所、帰すことが出来ません。地球の神が戻ってこないと時空之扉は開かないからです」
「えっと、つまりその地球の神の所在が分からないことにはどうのしようもないって事ですか?」
「はい、その通りです。ですので、しばらくこの世界に居ていただくほかないんです」
申し訳なさそうに女神ルルーユは言った。
地球にしばらく帰れない、か。
俺はこの世界のこともある程度知っているし、問題はないだろけど、雫達は問題過ぎるよな。
言語理解もまともに出来ていないのに、魔物や盗賊、地球と比べてあまりに治安が悪すぎる。
自衛の方法と言語の理解が課題か。
「事情は分かりました。一つお願いがあるんですけど」
「何でしょう。叶えられる範囲なら何でも言ってください」
「雫‥‥召喚者達への言語理解と自衛の手段を神の加護として頂けませんか?」
俺は女神ルルーユにダメ元でお願いしてみた。
そう易々と加護を与えるのは女神としてよくないと思うからだ。
「ん~。そうですね、それくらいさせていただかないと今回のお詫びとしては不十分ですね。では、ランダムに魔法と剣、盾の才、そして召喚者達全員には言語理解を加護をとして付与させていただきます」
「ありがとうございます」
俺は安堵して女神ルルーユにお礼を言った。
「だいぶ長居をさせてしまいました。現実へ引き戻しますね。ハルヤさんは聖之間に来た要領で現実、つまりここに来るまでいた場所を思い浮かべてください。なるべく正確に」
「はい」
俺は返事をすると寝ていた部屋を思い浮かべた。
五年振りで帰って来て居たのも少しだったため、思い出すのは少し時間がかかってしまった。
「思い出せたようですね。では、行きます。現実に戻れ!」
女神ルルーユは女神とは思えない大声で言うと俺の意識は落ちた。
まるで誰かに喝を入れているようだった。
「うぅん?ふぁぁ~」
目を覚ました時には王城の部屋にいた。
置き時計というものがないから体内時計になるけど大体四時くらいだと思う。
起こされるまでもう少し寝ていよう。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる